第9話

翌日。


俺は骸骨師匠と向かい合っていた。


骸骨師匠は言った。


「模擬戦をして私を唸らせたらそれで十分だ」


俺たちのことは家族みんなが見ていた。

父さん母さんミーシャ。


「だが私は全力でお前と戦わせてもらうぞ」


そう言ってきたジョニー。


「お前のようなかわいいやつを世界に行かせたくは無いからな。お前の人生の難易度は知っている。知っていてお前を捻り潰す。ここでレベル1に戻してやる。努力を水の泡にしてやる」


そう言ってくるジョニー。


それだけで俺の事を家族と思ってくれているのは伝わってくるけど。


「またカブトムシに突進されて倒れるレベルに戻してやるよ」


そう言って剣を構えてジョニーは走ってきた。


父さんが口を開いた。


「ま、まだ開始の合図すらまだなのに!」

「決闘に開始の合図などあるか!戦闘、戦争、全てに開始の合図などない!」


カッ。


俺はジョニーの剣を受け止めた。


そして


【パリィ】


弾き返すとカウンターで蹴りを入れた。


800ダメージ。



名前:ジョニー

体力:1200/2000



「なるほど。最低3発ってところか」

「ぐっ……」


腹を抑えるジョニーに俺は素早く突っ込んで


「【刺突】」


剣を突き出した。


ザスッ!


「残り一発」


剣を引きもう一度振ろうとしたらジョニーが呟いた。


「闇よ」


瞬間俺の足元に穴が空いた。


「うそだろ!」


足が取られた。


「あだっ!」


ゴン!

頭ぶつけたけど。

左手で穴の外側を掴んで体を支え直して俺は強引にジョニーに向かって飛んでいくように体を動かした。


「な、なんだその動きは!」


困惑しているジョニーに告げる。


「ウルフが教えてくれたんだよ。勝負は一気に決めろってな」


牽制?

技の見せ合い?

戦いのセオリー?

相手の出方を待つ?


そんなもの俺には必要ない。


「必要なのはただ、ソッコーで相手を叩きのめすだけの圧倒的攻撃力さ。アリを踏み潰すのに、必要なのはそれだけだろう?」


バコン!


俺はジョニーの頭部に剣を振り下ろした。


「ぐぅ……」


膝を着いたジョニー。


体力は0。


これで戦闘不能だ。


俺の勝ちが決まった。


満場一致の拍手とは行かなかった。


全員の中にきっと葛藤があるはずだ。


家族として俺の夢を応援したいという気持ちと。


俺の境遇を知っていて、世界に行かせたくないという気持ちと。


そんなものがない混ぜになってるんだろう。


だが、そんな空気を吹き飛ばすようにジョニーが笑った。


「はっはっは。負けだよ負け。全力で行ったのに負かされるとは、恐るべき戦闘センスってところか」


そう言って俺を見てきた。


それから父さんに目を向けるジョニー。


「祝えよ。お前の息子は強いよ」


そう言われて父さんはやっと拍手をしてきた。


それからやっと複雑な標所を消した。


「頑張れよ。エース」


それ以上の言葉は要らない。

そう言いたげな父さんだった。


実際俺も要らないと思う。


それから父さんはジョニーに目を向けた。


「姉さん。私はあなたのことが忘れられなかった。だからエースの件は素直に喜べなかったが、今なら喜べるよ」


って言ってて俺の頭は????????で埋まった。


「姉さん?」


だから聞いてみると父さんは言った。


「ジョニーは私の姉さんだ。こうなったのは16くらいの頃だ」

「ぬはははは。私は永遠の16歳になったのだ。そう考えたら骸骨生活も悪くないぞ?エース」


そう言ってきて俺は叫んだ。


「はぁぁぁぁあ?!!!姉さん?!女?!!!」


俺が叫んでいるとジョニーは呟いた。


「【投影】」


ズズズズ。


骸骨だったジョニーの体に肉が着き始める。


そして、骸骨だったはずの彼女の体は柔らかい女の体を得ていって、それから服を着ていた。


それは俺が夢見ていたいわゆる冒険者と呼ばれる人たちの姿だった。


で、当の本人はすんごい美人になっていた!

俺が見つめていると気付いたように口を開いた。


「エースも男ということかな。私の体に目を奪われているのかな」


クスクス笑って俺を見てくる。


目の前で起きたことが信じられずにジョニーの体に手を伸ばしてみたけど、スっと手はすり抜けた。


そして骨を触ってた。


「ただの魔法だ。私に肉は無い。骨のままだ。それにエースよ。よりによって触ろうとするところが胸なのだな」

「うぐ、だって、一番肉がついてそうだったから」

「まぁいい」


そう言いながらもジョニーは父さんに言った。


「エースの旅路には私が同行しよう。お前もそれでいいな?同行者が骸骨であれば問題はないだろう。骨とやれるものなどおらんからな」

「まぁ、それはそうだが」


そう言ってジョニーは俺を見てきた。


「ということでお前の人生におけるヒロイン交代だな。エース。妹のミーシャとはお別れを済ませておけよ」


そう言われて俺はミーシャを見た。


「兄さん、ほんとに行っちゃうの?」


そう言われて俺は頷いた。


「悪いけどさ、行くよ。でも定期的に帰るつもりだから。婚約者もいるしね」

「う、うん」


そう言って頷いてくれてそれから俺に抱きついてきた。


「約束だよ」


そう言ってキスしてきた。


挨拶のものじゃなかった。


「お?!おぉぉぉぉぉぉん?!!!」


俺が叫んでると両親はにこやかにしてた。


「これならエースも戻ってきてくれそうだな」

「そうねぇ」


そんなことを両親は言ってた。


そして俺のファーストキスが妹のミーシャになってしまった決定的瞬間なのであった!


それと



【急募】骸骨の犯し方!!

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