第4話 一年後 新たなステージ
「よし。今日も」
この世界の虫は、モンスターのように倒されたら湧いてくる形式の生き物らしく。
毎日倒しても倒しても次から次に湧いてきて無限にレベルアップが出来た。
そして一年後俺はレベル99となっていた。
ついに俺は次のステージが見え始めていた。
そして残すところの経験値量はあと1だ。
「兄さん、あと1匹だね!」
「うん」
ミーシャの言葉に頷いて俺は記念すべき最後の一匹を踏み潰した。
すると
【レベルが上がりました。レベル99→1】
俺のレベルは1に戻った。
原作通りだ。
そしてそこから
【プレステージが1上がります。更なる経験を積んでいきましょう】
俺のステータスに変化が訪れる。
名前:エース
レベル:1【P1】
攻撃力:303
防御力:303
体力:3000
AP:10
俺のレベルはめちゃくちゃ上がっていた
それに伴ってステータスも上がっていたが、体力と防御力の数字はあまりあてにならない。
体力は3000あろうと、1だろうとそこまで変わらないから。
だってどうせワンパンだからね俺は。
でも攻撃力がここまで上がったのは本当にでかいと思う。
攻撃力は意味のあるステータスだから。
それからAPだ。
初めは2しかなかったAPもレベルを上げると10まで増えた。
そのお陰で色々とアビリティを付けれるようになった。
現在のアビリティはこんな感じだ。
【アビリティ】
・たえる AP2
・自動回復 AP3
・回復中無敵 AP5
俺のたえるだが、HPが2以上あれば何度でも1で耐える仕様だ。
だからHP2が1になってしまっても直ぐに自動で回復するように【自動回復】のアビリティをセットしている。
これのお陰で俺の戦闘継続能力はグッと上がったことになる。
俺はこの時になって確信していた。
この難易度だけど序盤が有り得ないくらいきついけど、終盤になるほど楽になるかもっていう事だ。
極端な話攻撃力を9999とかまであげたらこれでワンパンできない敵キャラはいなくなる。
ってことは先に先手を取って攻撃を当てれば俺はダメージを喰らわない。
なら、俺がワンパンがどうとかっていう話もどうでもよくなるからだ。
そして、ぶっちゃけもうこれくらいのレベルから十分強いと思う。
そんなふうに状況を整理していたらミーシャが話しかけてきた。
「おめでと、兄さん。プレステージやっとあがったね」
ニッコリ笑ってお祝いしてくれたので俺も口を開く。
「ミーシャこそ3ヶ月でレベル100になったのは驚いたよ」
ミーシャは僅か3ヶ月でレベルがカンストしていた。
イージーモードは与えるダメージも多いし得られる経験値も多いし文字通りイージーなのだ。
俺のマストダイとは対極にある難易度。
「兄さんが頑張ってるのに私だけサボるのはダメだしね」
みたいなことを言ってた。
まぁ俺はそのお陰でめちゃくちゃ置いていかれてたんだけどね。
それからミーシャは言った。
「私達もそろそろ貴族の子供としての人生が始まりますね」
「そうだな」
俺たちは貴族の子だ。
そして貴族の子であるのならば、とうぜん義務や責任などもある。
例えば婚約の話などがその代表だ。
「兄さん、ここまでの努力無駄にしないように頑張りましょうね」
そう言ってくれるミーシャに頷いた。
「とうぜんだよ。ここからはもう負けない。膝も地に付けない。俺は勝ち続ける」
不敵に笑いながらそう言った。
そのとき、木の下で会話していた俺たちのもとに父親がやってきた。
「ふたりとも行こうか。向こうさんもお待ちのようだからね」
「「はい」」
俺はこの1年で自分の立ち振る舞いを叩き込まれた。
いくら身内と言えど、表向きの時は礼儀を弁えるということ。
父親が庭に着ていた馬車に乗り込んだ。
俺達もそれに続いて乗り込む。
父親が口を開いた。
「これから向かう場所は知っているね?」
俺は答えた。
「ユグドラシル家ですよね?」
俺たちがこれから向かうのはとある貴族の家。
そこから婚約の話が俺宛に届けられたのだ。
いわゆる政略結婚というやつだけど。
こう見えてうちの父さんはけっこう偉い人みたいだから。
「あぁ。そうだ」
軽く頷く父さん。
「くれぐれも失礼のないようにな、分かったな?」
そう言われ俺は頷いた。
ガタガタガタガタ。
馬車が揺れる。
雨が降り始めていた。
ただでさえ、悪路で視界も悪いなんて、着いてないよな。
俺はそう思いながらもミーシャに聞いてみた。
「ミーシャ、周りに敵はいないのか?」
「いないよ」
「そうか。それは安心だ」
俺たちは貴族。
だからいつ命を狙われるか分からない。
そしてこういう悪路で視界の悪い時こそ狙われやすいのだが。
索敵が得意なミーシャがいないと言えばいないのだろう。
そう思っていたらミーシャは言った。
「馬車を止めてください」
キッ。
馬車が止まった。
俺はミーシャに聞いた。
「なにか反応が?」
「はい。2時の方向、獣がいます。こちらには気がついていないようです」
俺は父さんに目を向けて相談する、
「父さんはどうする?」
俺としては戦う準備も済ませてはいるが
「不必要に挑発する必要もないだろう。この雨だ。案外見逃してくれるかもな」
父さんがそう言った。
ならば俺もその方向に舵を切ろうと思う。
「気配遮断の魔法を使いました。よっぽど向こうの嗅覚がするどくなければ、問題なく突破できることでしょう」
俺はみんなにそう言った。
この雨だ。
においはほとんどないはずだし、俺の気配遮断で気配はほぼ消えている。
バレるならよっぽどの獣ということになる。
そうして俺たちは息を潜めて獣の気配がする道を抜けた。
「大丈夫ですね。バレなかったみたいです」
そう言うとミーシャが口を開いた。
「兄さん、また腕を上げたね。さすが、私の兄さんだよー。不必要な戦闘は回避する。それが一番だからね」
そう言ってくれると俺も努力のしがいがあるってものだ。
こうして俺たちを乗せた馬車はユグドラシル家へと向かっていくのであった。
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