第4話 李昭皇(ベトナム・李朝:在位1224.10~1226.1.11)
前話で取り上げた武則天は、良くも悪くも自らの手で運命を切り拓いた女性でしたが、今回の主人公・
唐王朝の滅亡を機に中国の支配を脱したものの、短命政権が続いたベトナム(正確にはベトナム北部のトンキンデルタを中心とした地域)に、ようやく長期政権を樹立(1009年)した
彼女の父・
そして、無能な
まあ、同い年の母方の従兄弟ですから、その点だけから見れば決して不自然な組み合わせというわけではないのですが……。数え年で8歳ですからね。
小倉貞男氏の『物語ヴェトナムの歴史』によると、当初
東南アジアなどの地域では、ヤシ科植物のビンロウの種子を細かく刻み、少量の石灰と共にコショウ科植物キンマの葉にくるんで噛むことを、嗜好品として
ちなみに、今日でも台湾などではビンロウを購入することはできるようですが、
そして、年は明けて1226年1月11日には、
それと同時に、
ついでに、
しかし、彼女の不幸はまだこれだけでは終わりません。
と、その前に、彼女の姉のことについても語っておきましょう。
この
もちろんこれは、
妻を胎内のわが子ごと奪われた
ちなみに、
さて、散々な目に
1257年、モンゴル軍が
翌1258年にかけての両軍の戦いは、食糧の不足やベトナムの風土がモンゴル兵に合わなかったことなどもあって、
一時は首都
そしてその後、見事モンゴル軍を撃退した際に、軍功第一等とされたのが、
そして同時に、一人の女性も賜ります。それが他でもない、
この時の二人の心の内はどのようなものだったのか。様々な解釈があるでしょう。
そもそも、
ということで、妄想を
ああ、ちなみに、
前王朝の血を引く貴族階級なわけですから、幼少時の
妻子どころか孫までいる年齢ではありますが、かつての想い人の不遇を見過ごすことができず、この機に妻に迎えたいと願い出た、というのはどうでしょう。
迫りくるモンゴル軍の猛攻を耐えしのぎ、これを振り払って自らも無事生還。そして願うはかつての想い人の幸せ――。うん、まさにヒーロー。ロマンス小説用語としての「ヒーロー」というより、真の「
そして
ただまあ、いささか残念に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、彼女を散々踏みつけにした
ドアマットが「よくも散々踏みつけてくれたな」とか言って夜中に寝ている人間の顔に巻き付いて復讐したり、なんてことはそうそう無いのです。そりゃそうだ。
さて、次回はスウェーデンの女王クリスティーナ。若くして女王の座を捨て、自由に生きた女性です。乞うご期待!
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この李昭皇の生涯を異世界恋愛物に脚色したのが、拙作『ベルトラム王国物語~七歳で女王に立てられ、八歳で結婚相手に王位と国を譲らされ、父を殺され、母を奪われ、挙句に十九歳で子供ができないからと離縁されました。こんな私でも恋をしてもいいですか~』です。
ご興味を持たれました方はこちらもよろしく^^
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