第26話 教皇は急いで帰りたい


「クリフ王、パルドール家の者を引き渡して貰おうか?」


挨拶そうそう、私はすぐに要件に入った。


折角、勇者様達が居る、建物のお二人以外の部屋を購入したのに…こんな場所で油売っている場合ではない。


「いかにロマーニ教皇様とはいえ、これは内政干渉です。引き渡す訳にはいきませんな」


この男は何を言っているのだ?


私はすぐに帰りたいと言うのに…


「では、クリフ王、貴方は破門にしましょう…今後、そしてこの国から教会は手を引かせて頂きます…そうですな、この国の人間は全員破門という..」


「なっ何を言われるのですか?…なんの冗談でしょうか?」


いえ、私は本気なのですが…クリフ王は何を言っているのでしょうか?


「冗談ではありませんよ! 私、貴方が許可した決闘で死にましたからね? 教皇と大司祭に聖騎士を殺したのですから重罪ですよ…場合によってはクリフ王、貴方の首すら要求しても可笑しくない筈ですが」


「ですが…その」


「私が生きているのはセレス殿のおかげ、この国のおかげではないのです…この国が私にした事は『私を殺す原因を作った』それだけですね…あっマリル様には責はありません、この国の王クリフ王にパルドールにその責があるのです。 教皇が死ぬ原因を作った原因の者を聖教国が貰うのは当たり前だと思いませんか?」


忘れてはいけませんよ。


私を殺してしまった事を。


「解りました…パルドールの4名を引き渡します。ですが他の者は流石に」


「ええっ要りませんよ…これはあくまで提案ですが、その人間を死刑にして、関わりのある一族から爵位や財産を取り上げるのが宜しいかと思います…そうすれば少しは王城の再建の足しにはなるのではないでしょうか?」


「それは、今検討中で…」


「私を…殺した…それを忘れてはいけませんよ」


「確かにその通りです…必ずや重罪として裁かせて頂きます」


《彼らは優秀な存在だから、どうにかしたかったが…教皇様にこう言われたからには庇いきれない》


「そうそう、あと、セレス様にマリル様だが、ドラゴンスレイヤーは認めますが、勲章や貴族の地位を与える事は認めません」


「な、何故でございますか?」


「良いですかな? 彼らは貴方より、いえ私より偉いのです! そんなお二人に、たかが王が勲章を授けたり、自分より下の地位を与える等、言語道断です」


「一体、何を言い出すのですか…それは幾らなんでも」


「セレス様は勇者様です…そしてマリル様は賢者様、もし話す機会があったら必ず敬語を使い、必ず上座を譲りなさい…解りましたか?」


「はい?」


「それじゃ…聖騎士にパルドールの方をお引渡し下さい。私は忙しいので直ぐに帰ります」


「あの…」


「帰ります…忙しいのです、引き止めないで下さい!」


さぁ早く家に帰りセレス様に伝えてあげて安心させなければ。


最速で帰りましょう。



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