第13話 サプライズ
僕は今、ギルドに来ている。
マリルに何か買ってあげたい…そう思って聞いたけど…
『別に要らないわ、セレスが居てくれたら充分なのよ』
と言って、本当に何も欲しがらない。
僕はマリルに色々買って欲しいんだ…
僕が一方的に貰うばかりだから、何か返してあげたい。
そう思っているのに『欲しがってくれない』
洋服だって、無理やり言ってようやく2着だけ買ってくれた。
それもお店で一番安い奴だ。
だから...僕はマリルにプレゼントをしてあげるつもりだ。
パン屋のお姉さん曰く…サプライズプレゼントをしてあげると女の子は喜んでくれると聞いた。
冒険者酒場のお姉さんから、どういう物を送ったら喜ばれるか聞いたら『そうね、私だったら家かな』そう言っていた。
他の人に聞いても『家が欲しい』という冒険者が多く居たから…うん、これが良い。
確かに今借りている部屋は凄く狭いし…設備も悪い。
受け付けに来た。
「セレス様今日はどう言ったご用件でしょうか? まさか買取りですか?」
「いや違うよ…家が欲しいんだ。マリルが喜ぶような家ってどんなんだろう?」
家や土地の販売は冒険者ギルドでしているらしい。
「マリルさんが喜ぶような家ですか…そうですね、女の子だったらやっぱりアパートメントタイプで、治安が良くて、魔道具を使ったお風呂にトイレ、キッチン付きに住むのが夢じゃないですか? 私もそんな家に住むのが夢なんですよ…そういう家に美少年と一緒に…ゴクリッ…ああすいません」
「そう言った物件ありますか?」
「それなら、このギルドの前にあるじゃないですか? 凄く大きな10階建ての建物、あれがそうですよ」
「昇るのが大変じゃないですか?」
「魔道具の昇降機がついていますから問題無いですよ…ちょうど10階が実は売りに出ていますよ」
「それで幾らなんですか?」
「それが急に田舎の家を引き継がなくちゃならなくて即金なら金貨200枚(約2千万)で良いそうです」
「それは安いんですか?」
「確か9階で同じような部屋が出た時金貨320枚だったから破格値です」
「それなら購入しようと思います…口座からの引き落としでお願いします」
「解りました…ハァ、マリルが羨ましいですね…イケメンで有能…あっなんでもありません…それで家具や必要な物はどうしますか?」
折角なのでそれらも頼む事にした。
マリルに相談するときっとまた遠慮すると思ったから。
ギルドに全部で金貨250枚払って、全て任した。
1週間後には引き渡しが出来るという話だ。
「それじゃ、よろしくお願いいたします」
「はぁ~本当に羨ましい…はい任されました」
◆◆◆
「マリル、実はプレゼントがあるんだ」
「セレスがプレゼント? 楽しみーーっはい」
手を出してくるマリルに…
「ごめん大きくて渡せないからちょっと一緒に出掛けよう」
「解かったわ、そう、お店で渡されるのね」
「そうかなぁ」
サプライズは解らない様にするのが良いって教わったからね。
「凄く楽しみだわ」
◆◆◆
「え~とギルド? 何?」
「違うよ、マリルこっち」
僕はあらかじめ購入したアパートメントの方に手を引っ張っていった。
「えーとアパート…何かしら?」
「良いから、良いから」
「なに? セレスどうしたの?」
「ここの10階を買ったんだ…行こう」
そのまま昇降機のマリルを乗せて10階を押した。
「え~とセレス…これ買ったの?」
「うん、どう、気に入ってくれた?」
「凄く嬉しい、だけど、どうしてこれを買ってくれたのよ」
「これから、死ぬまでマリルと一緒に居るんだから、部屋位は必要じゃないかと思って」
「確かにそうだけど…それだけ?」
「他の人に聞いたんだ! 結婚したらマイホームが必要だって」
「結婚」
死ぬまで一緒にいるんだから結婚したような物だよね…違うのかな。
「違うのかな? 僕の勘違い?」
「あははははっ、そうね、死ぬまで一緒に居るんだから結婚と同じね…うん、そうだわ」
なんで急にマリルは赤くなるんだろう? 呼吸も可笑しいし….
「マリル、鼻血が出ているよ」
「仕方ないじゃない! 私はこう言うのに免疫が無いんだからぁぁぁーーっ、全くもう」
顔を赤くしているがマリルが喜んでくれているのが解かる。
サプライズは成功したのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます