第2話 そして物語は始まる。

「何処かに居る、気高く強く美しい存在よ…我が願い、希望を聞き、今ここに現れよ 召喚」


もう、何回唱えたか解らないわ。


恐らく数千回という単位で唱えているのに、何も出て来ないわ。


兄姉どちらも10回以内で成功させたのに…魔法陣は間違っていないわ。


私はやっぱり…落ちこぼれだわ…死ぬまで唱えても何もでないのかしら。


なんでもいいのよ…私の傍に居てくれる存在、それが欲しいの。


ひとりボッチはもう嫌だ。


猫でも良い、犬でも良い…私を見てくれる存在、それが欲しいのよ。


多分、出て来ない…


解っているわ。


それでも、それでも…私は諦めきれない。


「何処かに居る、気高く強く美しい存在よ…我が願い、希望を聞き、今ここに現れよ 召喚」


嘘…魔法陣がキラキラと輝きだした。


しかもかなり大きい。


この大きさなら、最低でも犬位の大きさのパートナーが来る。


これで一人じゃない。


嘘…嘘…なんで、幾らなんでも輝きすぎだわ。


まさか…魔法の暴走…不味いわ、不味いわよ。


ドゴーンッ、バーンッ。


大きな音を立てて光は消えていた。


『失敗?』


「うるせーぞこら、何時だと思っているんだーーーっ」


「静かにしろっ」


怒鳴り声が聞こえてきたが、まぁ放って置けば終わるわ。


どの部屋が大きな音を出したかなんて解らない物。


それより…嘘、何かが居る。


私は直ぐに魔法陣に駆け寄った。


嘘…綺麗な銀髪に女の私から見ても綺麗な白い肌。


目を瞑っているけど…それでもこの少年が凄く綺麗なのが解かる。


月に照らされた姿は正に物語の王子様にしか見えないわ!


まさか、本当に来てくれた、なんて信じられないわ!


「ううん…貴方は誰?」


「私の名はマリル…貴方のご主人様よ!」


「ご主人様?」


首をかしげる姿は...うん凄く可愛いわ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る