落ちこぼれの私が手にしたたった1つの存在 (基作:廃棄勇者! 壊れた勇者はご主人様の幸せだけを考えています。)

石のやっさん

第1話 落ちこぼれのマリル

「何処かに居る、気高く強く美しい存在よ…我が願い、希望を聞き、今ここに現れよ 召喚」


何故、私が召喚魔法を使っているか?


魔法学園の召喚式…違うわ。


世界を救う魔法少女でパートナーが必要だから…違うわ。


答えは家を追い出されたからよ…追い出されたのよ…その出来損ないだからね。


私はこれでも、お嬢様だったのよ。


バルドール侯爵家の三女。


マリル、フランソワ、バルドール。


それが私…


でももう家を追い出されたから、今はマリルね。


アントニーお兄ちゃんは既に16歳で宮廷騎士に入団。

お姉ちゃんのシャルは、アカデミーに入って今や有名な研究者だ。


それなのに私は辛うじて魔法学園には入ったものの…成績は最下位。


家の面汚しと言われ...とうとう、金貨10枚(約100万円)を持たされ絶縁されて追い出されたわ。


本当の馬鹿というのは私の事を言うのよ。


いい? 大抵自分で馬鹿って言っている人は…努力不足なの。


私みたいに18時間勉強や訓練をしても最下位だった人間が初めて言って良い言葉なのよ?


つまり、私みたいに本当の馬鹿はまず居ないのよ?


そして私は…お金がないから大変なのよ。


アルバイトを掛け持ちしながら、どうにか生活をしているわ。


金貨10枚…これが私の生命線…これが無くなったら、人生詰むわね。


そんな私の唯一の楽しみは、この召喚魔法を唱える事なのよ。


行き掛けの駄賃に実家からこっそりと持ち出した『召喚魔法の書』。


そして、杖。


何回唱えても、何も出て来ない…いくら求めても出て来てくれない。


何時も私は一人ボッチだ。


だから、何でも良い…犬でも猫でも、私の傍に居てくれる存在が欲しいのよ。


一番欲しいのは…王子様かナイトタイプの美少年ね。


まぁ、私みたいな未熟者には無理ね。


お兄様もお姉さまも小動物なんだもん。


私みたいな落ちこぼれには無理…それでもあきらめきれないのよ。


だけど、幾ら頑張っても何も出て来ない…呼び出す事すら出来ない…やっぱり私は大馬鹿だわ。







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