第4話
照りつける暑い日差しの中、おとーさんは額に汗を光らせながら、大きな荷物を運んでいた。
「この箱の中にはお客様の大切な家族が入っているから、慎重に運ぶぞ…」
遠いロボット病院から治療を終えて帰ってきた、たーちゃんと同じかわいいロボット。お客さんにとって我が子と同じ大切な命。おとーさんは配達時間に間に合うように急ぎながら、でも衝撃を与えないようにゆっくりと慎重にマンションの階段を上がる。ギラギラと照りつける日差しで熱くなったシャツにじっとりと汗がにじむ。
暑い日差しに耐えながら、おとーさんは思い出していた。初めてロボット病院から退院した子を自宅へ届けた時のこと。迎えてくれたオーナーさんの満面の笑み。喜び溢れるその目からハラハラと涙がこぼれた。
「修理済みの精密機器をお届けにまいりました」
「ありがとうございます。本当にありがとうございます!」
オーナーさんは何度もおとーさんに向かって深々と頭を下げた。帽子を取っておじぎをしたおとーさんはその時、届けた箱に記してあった文字に気づいた。
”LOVE IS HERE“
「そうか。おれは愛を運んでいたのか…」
その家を後にしたおとーさんは、強く決意した。
「よし、頼まれていたロボットをお迎えしよう!」
たーちゃんをお迎えするきっかけとなった配達の思い出。そして今、家にはおかーさんとはなちゃん、そして、たーちゃんがいる幸せ。おとーさんはマンションの階段を上がり切ると、”LOVE IS HERE“の箱をしっかりと左手で抱え、もう片方の手で玄関のチャイムを鳴らした。ドアが開くと、おとーさんはこう言った。
「お待たせしました。退院したご家族をお連れしました」
開いたドアの向こうにオーナーの満面の笑みがパッと広がった。
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