第19話 戦の終わり

「「「「「ナ……ナニやって…………」」」」」


「あ、あのヴァカ……つっ、う、うわ……」


「しゅ、しゅごい……」



 全面戦争のように荒ぶってぶつかり合っていた、エクスタの兵たち、反逆に立ち上がった民衆、助太刀に入ったヴァギヌアやアマクリたちは手を止め、呆然としていた。

 自分たちの命がけの横で行われている行為に、誰もがポカンとしてしまうのは当然であり、そんな周囲の視線をタックたちは気づくことなく夢中のまま。

 普通ならだれもが激怒するところだろう。

 だが……



「「「「「す、すごい……ごくり……」」」」」



 その場にいた全ての女たちは目を離せず、ただただ興奮していた。

 自分たちもあんな風にしたい……いいや、されてみたいと。


「「♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」」


 そして、その場にいた女たちが羨むようなことをされていたエクスタとオルガスは、口を半開きに涎を垂らしながら……


「我が、すえながく……幸せにするぞ……ダーリンちゅきちゅき♡」

「タッくん……だいちゅき」


 もはや人格が変わってしまうほど壊れてしまっていた。






 そんなお腹いっぱい大絶頂で満足した乙女たち。

 しかし、オルガスは賢者タイムとなり、少し冷静になりながら自分の晒した醜態に恥ずかしさを感じながら、配下のプッシーたちに呟いた。



「……私は……タックくんと……シ、シたのだな」


「「「ぶっ壊れるまで」」」


「……これって……その……ややこてきなのは……」


「「「何を今更……」」」」


「うっ、い、いや、私だってデキてしまったら責任は取る! ちゃ、ちゃんと子を養い、タックくんも面倒を……ふ、ふむ、わ、私が母上になるのか……うへへへ」


「「「……あの……」」」


「ッと! そ、そうではなかった、そう、重要なことはそのことではなく……」



 快楽に負けて、よがり狂うほど果たして、肌もツルツルに満足したように満たされたオルガスではあったが、頑張って冷静になろうと努める。時折、顔が緩みそうになるのを懸命にこらえながら……


「姉上、とりあえず―――」

「ダーリン! とりあえず、式はすぐに! そして今夜も子作り―――」

「姉上! なな、なにを?!」

「えへへへへ、チューしようぞ、我がダーリン♥」


 大事なことを話そうとしたら、こんなエクスタ今まで見たことないと家族や臣下でも思うほど、デレデレにゆるみきった甘ったるい声と笑顔でタックを抱きしめるエクスタがいた。

 エクスタに関しては賢者タイムもなく、自己嫌悪もなく、羞恥もなく、ただタックラブに目覚めて猫のように甘えていた。


「あ、あの、俺、結婚はできなくて……」

「やーだー、我と結婚~、もう離さないもーん! 我とダーリンで、ちゅっ、もっとちゅ、もっとしよ~」

「あ、あのぉ、だ、そんな……」

「ぶーぶー、ダーリン冷たいぞォ~、我、ぷんぷん拗ね拗ねアタックしてダーリンを襲っちゃうもん♥ そして、孕む♥」


 オルガスなど、ましてや周囲の民や兵たちの姿など視界に入らないとばかりに、タックにスキンシップを続ける完堕ちエクスタ。

 周囲の者たちも色々とバカバカしくなって、呆れていた。


「姉上、タッくんが困っているだろう! だ、だだ、だいたい、孕むなどと簡単に言うな! わ、私だってもう孕んでいるだろうけども……し、しかし、一応私たちは敵同士だったわけで……」


 そう、どういうわけかタックとアレしてしまったが、本来の自分たちは敵同士である。

 そのために剣を抜いての殺し合いまでした。

 そんな相手と……

 しかし……


「別にいいんじゃないですか~? 敗戦国の男の子を犯して孕むなんて、皆さんよくやってることじゃないですか~」

「そうにゃあ。それをいうなら私たちだって、昨日のスッケベで、私もこの子の子供ができたかもしれないにゃぁ」

「確かにわん。……姫様と腹違いの子を生む可能性があるわん……」


 サーオたちはそのことをあまり重要には捕らえていないが、つい最近まで生娘で生真面目だったオルガスにとっては頭の痛いことであった。



「まあ、そうだが……この場合、負けたのは私たちの方だがな……」


「「「「「あっ……………」」」」」


「そう……完敗……というわけか……」



 そう、徹底的な殲滅戦にまで発展しなかったものの、タックがオルガスとエクスタを倒したのは事実。

 そして、その勢いに乗った民たちにエクスタの部下たちも圧倒されたのも事実。

 さらには……



「へへへ、そーよ! ヴァカエッチなことしてたみたいだけど、結果は揺るがないわ!」


「あう~、私も勝ったご褒美あの子にしてほしいです……」



 豪傑として名高いヴァギヌアとアマクリもいるのである。

 既にオルガスもエクスタも戦えず、更に兵たちの戦意も薄れている以上、結果は明白。

 


「認めるしかない。我ら至高の種たるスケヴェルフ族が敗れたということを……」



 そう、自分たちは負けたのだ。そこに、オルガスは異論を唱えない。

 だが―――

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