第9話:告白。
友達という関係のまま、それ以上進展も見られず、僕は少し、その関係に
マンネリしてきていた。
僕は紗凪ちゃんと恋人関係になりたいんだ・・・友達じゃなくね。
たしかに紗凪ちゃんと仲良くはなれたけど僕の想いは気持ちは満たされてない。
最近は友達ってことがネックになってきてる。
かと言って、やっぱり彼女になってと告白する勇気が出ない。
もし自分の気持ちを紗凪ちゃんに告白して「友達のままじゃいけない」って
言われたら・・・。
もうそれ以上はないわけで・・・・まじで絶望的な結果になっちゃう。
それより紗凪ちゃんは僕のことをどう思ってるんだろう?
その気持ちも知りたい。
僕のことをただの友達って思ってるのかな?
何も言えないまま。相変わらずベランダでの会話は続いていき、学校の
登校下校時は、傘があろうがなかろうがいつも一緒だった。
だからクラスの中でちょとした噂になった。
ふたりは付き合ってるんじゃないのか?
恋人どうしなんじゃないか?って・・・。
僕はベランダで彼女に聞いてみた。
「あのさ・・・僕たちクラス中でちょっとした噂になってるけど・・・ 」
「知ってる・・・」
「愛彦くん、あんな噂、気にしてるの?」
「いや、いろいろ言われて紗凪ちゃんが 迷惑してるんじゃないかと思って・・・ 」 「しばらく距離取ったほうがいいのかなって思って」
「そんなことしたって同じだよ、変わんないよ・・・私は別に気にして
ないけど・・・友達と仲良くしてなにが悪いの? 」
「みんな勝手に面白おかしくあれこれ想像してるだけでしょ」
「それだってイジメの一種だよね」
「そんなのに負けたくないし・・・」
「愛彦くんは気になるんでしょ、友達解消したほうが いいって思ってる?」
「解消って・・・そんなこと思ってないよ」
だいいち友達って解消とかそういう もんじゃないでしょ」
「絶交って形はあるかもしれないけど・・・」
「いいよ別に・・・愛彦くんが私と仲良くするのがイヤなら・・・」
「イヤなんて言ってないだろ?」
「だって気になるんでしょ?・・・」
そうじゃなくて、さっきも言ったけど紗凪ちゃんに迷惑かけてるんじゃ
ないかって思うから・・・ 」
「ほら、気にしてるんじゃない・・・」
「もういいよ・・・おやすみ」
友達って気薄な関係・・・誰かの干渉でもろくも崩れ去る・・・ そんな
もんかもしれない。
僕たちは親友でも恋人でもないない、ただの友達、ただの話相手。
紗凪ちゃんはそれ以上なにも言わないまま自分の部屋に引っ込んでいった。
だから僕は紗凪ちゃんにLINEを送った。
LINEなら思ったことを言える・・・そう思ったから・・・。
僕の心に紗凪ちゃんへの想いをとじ込めておくことにもう限界が来ていた。
本当はダメなんだよね、言いたいことは直接伝えないと・・・。
それが今の僕にはできないんだ・・・彼女の答えが怖くて。
《紗凪ちゃん、僕は紗凪ちゃんとはずっと友達でいたいって思ってるよ 》
《でもね、ほんとはね・・・こう言うことは面と向かってちゃんと
伝えなきゃいけないないことなんだけど、勇気がでないからメッセージ
送ってる・・・僕は紗凪ちゃんとは、友達以上の関係になりたいって
ずっと思ってる・・・》
《こんな形でしか僕の気持ちを君に告白できない自分が情けないと思うけど・・・
どうしても君に伝えたいんだ、僕の想いを・・・。
もしよかったら友達じゃなくて僕の恋人に彼女になってほしい 》
《嘘偽りなく・・・よろしくお願いします》
とうとう我慢できなくて告っちゃったよ。
もう後戻りはできないよな・・・これでもう友達関係も終わりになるかも・・・。
紗凪ちゃんからのいい返事は正直期待はしてなかった。
そしたら、しばらくして、紗凪ちゃんからメッセージが届いた。
「ベランダ・・・」
届いたのはその四文字だった。
僕は覚悟してベランダに出て紗凪ちゃんちのベランダのほうを見た。
そしたらベランダを遮断してる薄い板の向こうから紗凪ちゃんの手が
見えて指で丸を作った、OKサインが出ていた。
「今夜は遅くなるから明日、ちゃんと話そうね・・・おやすみ愛彦」
紗凪ちゃんの声が震えていた。
僕もつられて目から涙がこぼれた・・・。
「あ、ありがとう紗凪ちゃん・・・おやすみ・・・また明日ね、紗凪」
心臓が飛び出しそうだった。
僕は興奮のあまり、そのままベランダにしゃがみ込んで空を見上げた。
星を見たかったからじゃない。
これ以上涙がこぼれおちないように・・・。
その夜、僕はまたもやテンションが上がりっぱなしで一睡もできなかった。
つづく。
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