第七日

村でいちばんの魔法使い。

使えない魔法なんて、ひとつもないと、彼女は言う。

けれど、そんな彼女にも、解けない魔法があるらしい。

それはなに?

「おもちゃの歌は魔法の呪文。おもちゃたちは生きていて、眠りについたら動き出す。いっしょに遊びたくってたまらないのに、私が眠りにつかないと、おもちゃたちも動かない」

それからね、と腕組みをして彼女は言う。

「サンタクロースもそうでしょう。ちゃんと眠った、良い子のもとにだけ来てくれる。ひとめ会いたいと思っているのに、私が眠りにつかないと、来てくれないなんて、なんとも、まあ、もどかしい」

そんなことをまだ信じているの?

誰かが言って、彼女は返す。

「私は他人の言うことなんて信じないの。みんながいないと言ったって、私はいないと思わない。だから今でも、おもちゃは動くし、サンタはいるって信じてる」

村でいちばんの長生きばあさん。

使える魔法なんて、ひとつもない、とみんなが言う。

彼女には、解けない魔法があるらしい。

ぼさぼさ伸びた、白髪頭になってても、子どもの頃に見た夢を未だ、彼女は信じてる。

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