もう一度

  マノク世界の君へ



 本当に、ぼくを見つけてくれたんだね。

 ありがとう。

 無数にある世界の中で、もう一度君に会えるなんて、奇跡みたいなことだよ。

 今回の旅も、とっても楽しかった。

 色んな君と、色んな場所へ行って、色んなことをして。

 ひとりだったら、全然楽しくなかったよ。

 でもぼくは、マノク世界の君には、やっぱり、何も知らないで、静かに暮らしてほしいんだ。

 だってそれが、マノクが平和でいられる理由なんだもの。

 マノクが異世界の存在を知ったら、マノクから、異世界と連絡を取ろうとして、強い異世界に、見つかっちゃうでしょ。

 たとえ、そこまでの事態にはならなかったとしても、これが本当の思い出になっちゃったら、弱いマノク世界に住む君は、とても不安になるんじゃないかな。

 だからまた、旅のことは忘れさせて、過ぎてしまった時間も、おおよそは元に戻させてもらうね。

 だけど、ぼくは、本当に友達ができたみたいって思ってる。

 君との旅の途中でこれを書いている今も、君に会いたいんだもの。

 でも、やっぱりぼくは、君の本当の顔を覚えていない。

 だって、その方が安全だし、幸せなんだ。

 だから、また。

 また、ぼくに会いたいって思ってくれたら、ぼくを探して。

 それで、もしぼくを見つけたら、アーロって呼んで、手を振って。

 そしたら、分かるから。

 今は、お別れだね。

 本当に、ありがとうね。

 ねえ、きっとだよ。

 ぼくに会いたくなったら、きっとまた、ぼくを見つけてよ。

 約束だよ。

 またね。



       アルロイスタシヤ・ヌウェラ・ハディ・アジュバーンより

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