俺が俺なりの青春を謳歌する物語。

水鳥川倫理

第1話、強制入部させられる。

今、俺のいる教室は、

皆彼氏、彼女の良いところを自慢しあったり、

友達同士でカラオケ行こうとか、(いついつどこで遊ぼうか)とかの話で賑わっている。


そんな中俺、船橋 柊ふなばし しゅうは、いつも通り教室の隅の自分の席で小説を読んでていた。


誰とも関りを持ちたくない。

ただひたすらに一人で知識を取り入れた方がましという少し歪んだ考え方である。


その結果、


高校に入学して友達になろうと話しかけてきた人たちは

皆、俺なんか気にせずそれぞれ作ったコミュニティーの中で日々を過ごしている。


まぁ当然の結果である。


そして今、切りのいいところまで小説を読み終え、教室を出ていつも通り帰ろうとしたところで

俺は、とある先生に呼び止められた。



「柊、ちょっといいか?」

それは生徒指導兼、倫理の先生の

袖ヶ浦 美波そでがうら みなみ先生だった。


(その容姿は黒髪ロングでスタイルも良く、20代後半なのに肌はきめ細かく、

背も168cm前後くらいで凄く美人で生徒からも人気な先生だが、

倫理の先生なのになぜか私服の上に丈の長い白衣を着ていて

しかも、白衣に着いているその胸ポケットにはタバコとライターが見える。)


どうしても一刻も早く帰りたかった俺は、

「今帰るところだったんすけど...。」


とだるそうに言った。


すると袖ヶ浦先生は、

「君はいつも誰とも話さないし、関りを持とうとしない。

もう、2年生なんだから、少しは友達を作って人と仲良くしてみたらどうだ?」


(あたかも俺は、動物としか馴れ合わないみたいじゃないか。)

なんて思ったが、実際問題

俺はそういう人との馴れ合いは嫌いだった。とてつもなく嫌だったけれど俺にも意地がある。


そして、先生に対してめちゃくちゃな言い訳を並べた。

「実は俺、学校では関わりないだけで友達たくさんいるんすよぉ~」

「じゃあ、そのお前の友達とやらの連絡先を見せてもらおうか、

本当に友達がいるのならLineくらい持っているよなぁ?」


俺からしたら脅しにしか聞こえなかったが、

言われたことがあまりにも予想外過ぎる先生の回答にしぶしぶ登録欄を見せた。


すると驚くことにそこには、柊の両親と姉の連絡先しかなかった。

これを見た先生は、笑うのを通り過ぎてあまりにもショックを受けた。


(俺は、なんてものを見せてしまったんだ...。

先生が俺のことを思ってこんなにショックを受けるとは

あまりにも哀れすぎる。もう二度と見せないでおこう)

と思ってそっとスマホをしまった。


そんなことを考えていたら、先生に

「ちょっと柊に頼みたいことがある」と言われとある部屋に連れていかれた。


その部屋は、全然使われていなそうな空き教室っぽい見た目で

もぬけの殻かと思ったが、

そこには一人の少女がいた。


その少女の名は花見川 美羽はなみがわ みう


(黒髪ショートのモデルみたいな体形で、ただし貧乳。同じ二年生の美羽は

みんなからも信頼の厚い明るい性格で頭脳明晰だが、たまに毒舌。

場の空気を乱すものなら

冷徹な氷の女王と化してその人を徹底的に陥れるくらいの冷たさとなる。)


俺からしたら苦手そのものだが、

先生はこの人と何をさせる気なのかめちゃくちゃ不安だった。


そんなことを考えていると袖ケ浦先生は、

「君はここで生徒会、部活、委員会そして先生からお願いされた書類の整理や相談などの

お手伝いをする部活に参加してもらう。

そして、必要とあればそこの委員会の予備委員として働いてもらう。

そうすることで君は、ボッチの脱却することができるし

委員会や部活の活動もスムーズに行くしお互いにWINWINとなる。

いやぁー!わたしって天才?」




と言って先生が一人で笑いのツボに入った。

20秒くらい先生が一人で笑って、場の空気を完全に乱した。

その間俺と美羽は完全に呆れていた。

そして、花見川美羽は完全に呆れた感じで袖ケ浦先生に

「じゃあ私は、その引きこもり系根暗陰キャボッチ君の面倒を見ればいいんですね?」


(なんだこいつ...。初対面の人にいきなりなんていう名前を付けてくれるんだ?。

まぁ、間違っていないから何も言い返せないけど。)


「そう、その通りだ美羽。

そして彼をボッチ脱却させてくれ。

そして彼に最高の高校生活だったなと思わせられるようにしてほしいのが私のお願いだ。」


「わかりました。」

と冷たい感じで言われた。


「では、今日から頼む。

あと今日家帰ってからでいいが、休んでる2人にも連絡しといてくれ。

ちなみに彼の名前は船橋柊だ。」


と言って先生は教室を出て行ってしまった。


(なんだ最後のおまけみたいな感じは...。)


とそんなことを思ったが、いきなり美羽がさっきまでと違った明るい雰囲気で


「では、早速だが、仕事に取り掛かってもらいます!

今日は、運動部系の部費の計算をするよ!」」

と言われたので俺は机を出して仕事に取り掛かった。


その作業中

(なにこの人多重人格?先生がいた時と比べて雰囲気が違いすぎるんだが...。)

なんて思ったが口には出さなかった。


そんなことを考えていたら手が止まっていたみたいで

「ちょっと!柊!手が止まっていますよー!」

と言われてしまった。


俺は「はいはい、やればいいんでしょ?」

と言ってめんどくさそうに作業の続きをした。


そして、無事に今日の業務が終了したので俺はすぐに帰ろうとした。

けれど美羽に呼び止められてしまった。


すると美羽は

「今日はありがとうね!今日から君はここで作業することになって

大変だけどそのうちなれると思うから大丈夫!

明日も部活あるからまたよろしくね!

一応忠告だけしておくけど来なかったら『殺す。』

ここに来たからには卒業するまで働くと契約上決まっているからね。

それじゃまた明日!」


と言われたので、俺は速やかに教室を出て行った。


(何あの子怖すぎ、やっぱあれは二重人格だよなぁ

俺は、あと二年ここでの強制労働を強いられるのかぁ。

嫌だ怖い、あの人怖すぎる。」


と考えながら家に帰った。

家に着いてもなおずっとそのことばかり考えていて

落ち着けなかった。


俺はずっと風呂に入る時も夕食を食べている時もベッドに入って眠る時も

そのことを考えていたら気が付いていたら眠っていて目が覚めたら朝だった。


俺は、今日もこの地獄と戦うのかと考えながら学校へ行く支度をした。

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俺が俺なりの青春を謳歌する物語。 水鳥川倫理 @mitorikawarinri

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