第5話.魔法
「剣や魔法の説明に入るために、まずはステータスについて説明しますね!」
「へぇ……ステータスとかもあるんだな……」
ゲームやアニメが好きなこの兄妹にとっては、目を輝かせるような言葉だった。
「大地震によってダンジョンができると同時に、世界中の人たちがステータスを開けるようになっていますよ! それでは、まずは遥斗様からいきましょうか! ステータスオープン、と言ってみて下さい!」
サラに言われるがまま、遥斗は言葉を反復する。
「ステータスオープン!」
すると、目の前に透明な光の板が現れ、文字が書いてあった。
名前 :佐藤遥斗
レベル :1
職業 :未選択
スキル :なし
特殊スキル:なし
魔法 :なし
技術 :なし
恩恵 :なし
称号 :なし
「お、おぉ……」
(見事なほどの初期値……)
ステータスを開けたことへの感動と、初期値ということへの悲しみが遥斗を襲う。
「この職業ってのは、いわゆる剣士とかってことだよな? じゃなかったら、俺会社やめさせられてることになるし」
「そうですそうです! では紬様も開けますか?」
「やってみる! ステータスオープン!」
紬も同じようにすると、遥斗と同じく初期値のステータスが表示された。
「オーケーですね! クローズと言ったら閉じられます。では、本題の剣や魔法についてです! 大前提として、剣は剣術スキル、魔法は魔法スキルといったように、専用スキルがないと使うことはできません。獲得方法は至ってシンプルです! レベル1の状態のスキルでしたら、剣術スキルなら魔物を一体剣で倒す。魔法スキルはイメージ力です!」
(よくあるやつだな)
「イメージ力?」
「そうです! 試しにやってみましょうか! 紬様、手のひらを上にして、その上に水の玉があるのを強く想像してください!」
「こ、こう、かな……?」
頭の柔軟性が高い紬は、すぐに成功する。
「で、できた!」
「お、おぉ……。すげーよ、紬!」
「早いですね……。才能があるかもしれないですよ! ちなみに魔法は、魔法スキルのレベルとイメージ力、詠唱や魔法杖などの方法でダメージを上げれますよ! ではステータスを確認してみてください!」
「うん! ステータスオープン!」
名前 :佐藤紬
レベル :1
職業 :未選択
スキル :魔法スキル(1)
特殊スキル:なし
魔法 :
技術 :なし
恩恵 :なし
称号 :世界初の魔法使い
「わっ! お兄ちゃん、見て見て! 世界初の魔法使いだって!」
「おぉ! よかったな!」
「世界初系統の称号がもらえましたね! 称号の効果は結構強いですから、遥斗さんも取ってみましょう! 少々お待ちを〜!」
サラはそう言って、奥の部屋に入っていった。
それを見届けたあと、紬が遥斗に話しかける。
「……お兄ちゃん」
「ん? どした?」
「わたし、まだ驚きもあるけど、この世界を楽しめるかもっ!」
「奇遇だな、俺もだ」
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