第12話 10年後の青山の気持ち

思いの通じ合った高校時代からはや10年。

僕はバース研究員になった。自分達のような境遇の人たちを助けたいというのはもちろん、千川がケーキだということに気づかなかった家族について調べたいと思ったからだ。


千川は迷える子供たちを救いたいとか言って教職についた。

学生時代に自分の殻に引きこもっていた僕みたいな子たちの力になりたいんだと。

バスケ部の顧問になったらしく、毎日忙しくも充実してるみたいだ。

僕としては、どこにフォークが潜んでいるか分からないからあまり体液を撒き散らさないでほしいが。


と、思っていたのだがようやく研究にひとすじの光が差してきた。

どうやら、お互いに恋愛感情を持ったフォークとケーキ同士が体液を交換することで、お互いのフェロモン濃度が高まり、他のバース持ち同士、反応しづらくなる可能性が高いという研究データが上がってきた。

まだ研究段階だし、反応しづらくなる可能性の話だから油断はできない。

しかし、あれからたくさんの日々を一緒に過ごしてきた僕たちなら……という期待をしてしまう。


期待を確信に変えるべく日々邁進して研究に取り組もう。

そして、僕を受け入れてくれた千川をもっと安心させてあげたい。

僕を受け入れてくれて、好きだと言ってくれた千川の幸せが、僕の夢であり感謝の気持ちだから。


END

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甘さを知って、甘えさせて 透メイ @tou_meimei

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