第146話 かずやんの春休み(16)飯回&完結編
気になったらば、善は急げだ。
狐は雑食だから癖が強いと聞くが、特に変わった臭いはしないので、もしかすると一般的な狐とは味が異なるのかもしれない。
鬼は…正直味のイメージが全くできない。
とりあえず…ものは試しでスライスした2つの肉を焼いて、塩コショウで食べてみる。
「うーん…なるほど?」
狐はなんというか癖のない肉質で、料理の邪魔をしないような味でいて若鳥の胸肉ような食感。
クセというクセはないので、どんな料理にもマッチしそうだ。
鬼は…うーん…そうだなラムよりのマトンみたいな感じだろうか?
少しクセを感じるが嫌な感じではない。
肉質は柔らかくも弾力があって、ほど良い歯ごたえも感じられる。
しかも噛めば噛むほどじんわりと味がでてきてウマイ。
どっちも面白いウマイ肉だ、どう調理しようか…。
いつものことだが、酒に合う料理を作りたい。
「…よし!決まりました今日は肉の宴をしちゃいましょう!」
<おっ!>
<作るもの決まったっぽいな>
「さてマジックバックから食材を取り出したら下準備をしていきますね!
フラッシュピーマンとダンタマは粗みじんにして、プチトマト4個ほど4等分にカットしてボールに入れます。
そこにオリーブオイル、ケチャップ、レモン果汁、塩コショウ、チリペッパー、タバスコを多めに入れたら軽く混ぜ合わせて野菜に味をなじませておきます。
これで後で使うソースの完成ですね。
あとはベビーリーフとかあればサッと洗って水気を切っておきましょう。
次に狐の肉は少し叩いて厚みを均一にしたら食べやすい大きさにカットして、すりおろしたニンニクと生姜、醤油に酒に塩コショウ、ロック鳥の溶き卵と牛乳を袋に入れたら揉み込んでちょっと置いておきます。
あとは鬼の肉を一口サイズにしたら串に刺して下準備は完了です!
あっ!後で使うスパイスを忘れてました。
袋にクミンシード、一味唐辛子、かずやん監修のニンニクマシマシオリジナルスパイスを混ぜ合わせておきます」
<うーん…普段料理しないから何を作るかさっぱりわからん>
<鬼の肉は焼き鳥っぽい感じにするのか?>
<…最後のスパイスは某イタリアンファミレスっぽいよな>
<ってことは一品は何となくわかったぞ!>
「…君たちのような勘のいい視聴者は嫌いだよ」
<おいw>
<ネタをパクるなw>
<急にディスってきたw>
「では皆が分かった料理は後回しにして、狐の肉から料理していきましょうか!
って言ってもこっちも知っている人は何となくイメージできちゃいそうですね。
まず袋から狐の肉を取り出して、薄力粉と小麦粉を混ぜたものをまぶしたら熱した油に入れて揚げていきます。
揚げ上がるまで時間があるので、ホットサンドメーカーにオリーブオイルを大匙一杯入れて熱したら、鬼の肉を並べて塩コショウをかけ蓋をせずに焼いていきましょう。
揚げつつ焼きつつしている間に、器にベビーリーフを盛り付けて、こんがりキツネ色に揚がった狐の肉は油をしっかり切ってベビーリーフの上に盛り付けていきます。
あとはさっき作ったソースをかけたら一品目はキツネサルサの完成です!
そうしている間に、二品目もイイ感じに焼けたので鬼肉のアロスティチーニの完成ですね!
熱いうちにたべていきますよー!」
そういうとマジックバックからいつもの金色のヤツを取り出す。
「では肉の宴をはじめますよー!カンパーイ!」
プシュと蓋を開けて泡立ってきたところをグイっと飲む。
やっぱり辛口でシュワシュワの麦ジュースは最高だぜ!
<(;゚д゚)ゴクリ…>
<うまそうにのむよなー>
<まだ仕事中なんだが…>
<先生…ビールが飲みたいです>
<アロスティチーニ買ってくる>
<サルサソースにタバスコ使うのは盲点だったわ>
<辛味と酢の酸味を足すには丁度いいんだな>
<チキンフライで代用できそうだけど…揚げ物するの面倒だから総菜コーナーで買って、サルサソースかけるだけでもイケそうだな>
<おいおい…近所のイタリアンファミレスに人が溢れてるんだが…>
<今回は調理段階でメニューわかったし仕方がないよね>
<コンビニのチキンが飛ぶように売れてて店員さんが悲鳴上げてるんだが>
<ドンマイ(´;ω;`)ブワッ>
コメントを見つつ、一本目のビールを秒で開け追加で一本を取り出した。
さて…喉も潤ったところでいただきますか!
最初はキツネサルサにするかな。
こんがりキツネ色に揚がったフライを一口ほうばる。
ザクッとした食感でフライ単体でもしっかりウマイ。
だが…やはりこのソースだ。
ダンタマ、フラッシュピーマンのシャキシャキの食感に、トマトの濃厚な甘みとその後感じるのはサッパリとした酸味としっかりした辛味が後を引く。
サルサと言えばトルティーヤで食べることが多いかもしれないが、フライにもしっかり合うんだよね。
最後にビールを流し込む。
…まさに至高。
「いやー…疲れた身体に酸味と辛味は染みますねー!ザクザクのフライとこのソースがマッチしていくらでも食べられそうです」
<全く疲れた感じが伝わってこないんだがw>
<まあかずやんですしw>
<めっちゃうまそう…>
「お次はアロスティチーニ、スパイスをたっぷりかけて…うん!肉とこのスパイスってなんでこう合うんですかね。
鬼の肉は結構噛み応えもあって噛むほどに旨みが出てきていいですねー!」
<かずやんのオリジナルスパイスのニンニクver売り切れてるww>
<マジだw>
<イタリアンファミレスでスパイスだけ買ってくるかな!>
<あれクセになるというか…中毒性があるよな!>
うんうんとコメントにうなずきながらも、あとは無心になって食べるのみ、アロスティチーニは味が濃い目だから酒が進む進む。
サルサキツネの酸味と辛味で食欲増進、あっという間に二品食べてしまった。
「ごちそうさまでした!」
ビールの空き缶の量に目をつぶり、満足いくまで食べて飲んだ。
<めっちゃビール飲んでるwww>
<飲みすぎww>
<「はじめ」キツネサルサ従業員食堂によろしく頼むっすよ>
<「姫っちゃん」師匠!アロスティチーニ食べてみたいです>
<【666円】「絶許」絶許!絶許!絶許!>
<立場を利用してかずやんの手料理食べられるとか絶対に許さない!と言ってますねー>
<まあ…気持ちはわからんでもない。かずやん飯食べたいよなー>
<翻訳に驚くことすらなくなってしまったか…>
<【10,000円】マグロ祭りみたいな、かずやん飯食べられるイベントまたやらないのー?>
<前回の競争率どれぐらいだったんだろう?次があるなら絶対参加したい!>
「ははは…料理についてはまた作るよ!イベントは何時かやりたいですねーマンモスみたいに可食部の多い食材を使ったイベントとかいいですよね!」
<ガタッ!まんが肉かっ!>
<マンモスとかめっちゃ旨そうなやつやったやん>
<【10,000円】期待してまーす!>
マグロ祭りも喜んでもらえたし、視聴者参加イベント本格的に検討しようかな?
ご飯も食べて満足したので、コメントのやり取りをしつつも配信を終了した。
気分もルンルンでフロアボスのポータルから地上に戻ると、神田さんが入口で仁王立ちして立っていた。
顔はにっくり笑っているが…にじみ出る気配は隠しきれていない。
……うん、ワスレテタヨ。
俺の1日はまだまだ終わりそうにないらしい。
―――――――――――
「★★★」「ブクマ」「コメント」いつもありがとうございます!
これにて、春休み編完結です!
サルサソースを使った料理がここ最近で最近ヒットしました
ソースがフライに合うんですよねー!
アロスティチーニは毎度頼む鉄板メニューです
あれとビールで永遠にイケます笑
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