第144話 かずやんの春休み(14)猫又リターンズ
この流れ…フロアボスと思った?
残念!
これは一体何でしょう!?
「えーっと…」
コメントに困るのは一層上がると待ち受けていたのはただの広いフロア
奥には屋上に続くであろう階段が続いている。
シンプルな構造のフロアに肩透かしを食らうのだが…。
それ以上に――。
「ここまできたでございやすか」
「ここまで来れないと娯楽として満足できないでござるよ」
チュー吉とチュー太がそこにいた。
えっ…さっきの意味深な別れ方から、もう会わないと思ったんだけど…。
<喋るモンスター!?>
<えっ!?めっちゃ可愛い!!!>
<【666円】「絶許」絶許!絶許!絶許!>
<ナニコレかわいい!家に連れて帰りたい!とのこと>
<なんでわかるんだよ!>
<許す許さないってレベルじゃねーぞ!>
<確かにかわいいけど…喋る猫ってどういうことよ?>
<この反応絶許氏ってまさか…>
<いや…そこは流石に翻訳の精度を疑おうぜ…>
<それもそうか…>
「…配信中だけど、映って大丈夫なんですか?」
「ここまで来たなら少しぐらいはサービスするでござるよ?ちなみにチュー太でござる」
「猫又のチュー吉といいやす。サービス!サービス!でございやす」
そういう二人は、新選組のような青と白のラインが入った羽織の背を見せる。
誠の文字の変わりに、猫の手のスタンプが押された羽織…。
<えっ?かずやんこの二匹…二人?は知ってるの???>
<【10,000円】猫又!?>
<【30,000円】喋る猫!?>
<【10,000円】その羽織めっちゃかわえええ!!!>
<学ラン猫を思い出すなー…懐かしい>
<いやいや、最近もブイブイ言わせてるからな!?>
<ブイブイは死語やで?>
<まじかよ…>
<おっさん予備軍へようこそ>
<予備軍じゃなくておっさんだよ!>
…うん。
何も言うまい。
「えーっと…知り合いというかですねー…」
ちらりとチュー太を見ると言いたいなら言っていいでござるよ?という反応をみせていた。
「実は今配信している機材はこのお二方から提供してもらったんです」
<ま?>
<うそやん>
<まじか!?>
<しれっと爆弾発言>
<ここ最近ようやく下層配信用カメラが新発売してたけど…それより前にかずやんが配信できてたのって…>
「反応が面白いでござるな」
「固定観念にとらわれすぎでございやす。この空飛ぶカラクリも深淵層のフロアボスの
<いやいや…今何かサラッとおかしなこと言ってないか?>
<深淵層のフロアボスの
<深層じゃなくて?>
<えっ、このかわい子ちゃん達…強いの?>
<考えてもみろよ…ここ深淵層だぞ>
<うーん…察した>
「それとクレイジースライムを薄く切って作った眼鏡もどきをちょちょいと改造すれば、眼鏡よりも使い勝手が良くて同様の機能を実現することぐらい容易でござるよ?それにこれのいいところは微力の氣力を常時吸い続けて永続的に稼働するから動力がいらないのでござる。ただ自分より弱いと判断されたら目玉から装着した者を食ってしまうのが難点でござるが…」
…???
「えと…それってまさかですが…今目に入れてるやつもクレイジースライムってことですか?」
「ん?言っておらんでござったか?その眼鏡もどきもスライムを薄く切って作ったでござるよ」
そんな危険なものを目に入れてたのかよ…。
<スライムを目に入れるかずやん…>
<そもそもその発想にはならんだろ…>
<クレイジースライム…モンWikiでみたけどSSランクモンスターらしい。どんな環境でも動き続けて物理攻撃以外に完全耐性あり…生を享けたときからダンジョンのゴミというゴミを食べ続けているらしい…>
<ゴミの基準が自分とダンジョン以外って…流石に草生えるわww>
いやいや…流石にそんな危険なコンタクトを外すか悩んだが…これがないとコメント見れないし…
…今のところ問題ないし…便利さを天秤にかけると装着するに天秤か傾き落ち着いた。
「まあ…実害ないですし…しばらくは使おうと思います!」
<まじかよ…>
<SSランクをテイムしてるってことになるのか?>
<かずやんならできると思ってしまった…>
<たしかに>
「ここのモンスターの素材が次のカラクリに必要でごさるがゆえ、すまぬが狩らせてもらったでござる」
「こっちにいられる時間が残り少なく、配信ネタを横取りしてすまないでございやす…」
その設定はまだ生きてるのね。中二的な何かと思ってました…。
しかし狩った素材ってなんなんだろう?
「一体ここまで来てわざわざ何を狩ったんですか?」
「ああ…ほらこれでござるよ?」
何もない空間から、のっそり取り出されたのは…。
<お、鬼だぁああああー!?!?>
<いかつすぎww>
<こんなんめっちゃ怖いやつやん>
「獲物を横取りさせてもらったでございやすから…肉ぐらいはおすそ分けするでございやす」
チュー太が取り出した鬼の腕をサクッと切り落として俺に渡してくるチュー吉…。
いやいや…切る瞬間を目で追えなかったんだが…。
<えっ?なんで鬼の腕が切れてんだ?>
<目で追えなくて草>
<マジパネェ>
<かずやんより強いとかあるのか…これ…>
チュー吉の加えた葉っぱがピンッと伸びる。
爪で鼻を擦り、照れているようだった。
<照れててかわええええー!!>
<うっはw>
<【666円】「絶許」絶許!絶許!絶許!>
<可愛すぎて許せない!>
<噛みつき方が異常www>
「では…我らの用事は終わったので、これで帰るでござるよ」
「ダンジョン外からここまで移動できないのは難点でございやす。ではかずやん、近い将来また会おうでございやす」
そう言い残すと、ポータルとは別の場所に突如、暗く先の見えない空間が現れる。
「五大ダンジョンを一つでも踏破することがあれば、我らが里に招待するでござる」
「お主が真の
見えてないのはお見通しですか…。
そう言いながらチュー太とチュー吉がいなくなった――
<「ギルド公式」ダンジョン踏破、未踏破関係なく…必ずギルドに来てくださいね?>
<ギルド公式キタ――(゚∀゚)――!!>
<神田さんちーっす!>
ふぅ…天を仰いだ。
―――――――――――
「★★★」「ブクマ」「コメント」いつもありがとうございます!
ご無沙汰しております
時間を見つけては書いてを繰り返しているんですが、まとまった時間が全く取れず…
コメント返しもできておりません
コメントは見てるので皆さん感想ありがとうございます!
まだまだ家庭環境の変化に追いついていない状況なので更新頻度はかなり下がると思いますが、今後もよろしくお願いします!
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