第142話 かずやんの春休み(12) 深淵層で料理配信
深淵層にもセーフゾーンはあったので、移動した後マジックバックから調理器具を取り出していく。
鶏肉に近い肉質の肉を手に入れたら作ろうと思っていた料理はいくつかあるが…。
腹の虫が作れ!作れ!と訴えてきたので、欲望のまま料理を開始することにした。
「では…早速ですが料理を始めますね!」
<手術室で料理をするかずやん…>
<めっちゃシュールww>
<何作るんだろう?>
「まずは…新ジャガが美味しい季節なので、皮はそのままにして8分割にカットしましょう!
カットしたジャガイモは色が変わらないように水にさらしておきます。
ついでに、プチトマトも冷やしておきましょうか。
あとはシャイニーサニーレタスを手で一口大にちぎったら、サっと洗って水気を切っておきましょう。
お次はリザードマンの肉、これはまず切れ込みを入れて腕の太い骨はひっこ抜きます。
あとは肉の厚みを均等に開きつつ、ほど良い大きさにカットしておきます。
ボールを二つ取り出して、片方にはロック鳥の溶き卵と、牛乳あとすりおろしたニンニクを混ぜ合わせたバッター液を作ったらカットした肉を入れてしっかりと混ぜ合わせて置いておきます。
もう片方のボールには、薄力粉、塩、オールスパイス、黒コショウと、辛いのが好きな人はここにチリパウダーを入れると刺激があって美味しいですよ!
さて、粉も準備できたら下準備はこれで完了です!
ではサクッと料理していきますよ!
水にさらした新じゃがの水気をしっかりとりながら、フライパンに並べ終わったら油を注ぎ入れて火を入れます。
160度ぐらいまで温度が上がったら3~4分ほど揚げて一度ジャガイモを取り出しておきます。
その間に、油の温度を190度に上げて先ほどのジャガイモを二度揚げしていきましょう!
揚げ終わったら、油切りに上げて塩を振りかけたら…外はカリっと、中はホクホク新ジャガの素揚げの完成です!一つつまみまずが…おっ熱!うまっ!
…次の料理のために火を切って油の温度を下げていきます。」
丁度いいから火を外したフライパンをひんやり冷える病院の床に置いて油の温度を下げることにした。
「油の温度を下げている間に…
良い感じに肉も浸かったので、肉を取り出したら粉類が入ったボールに入れてまんべんなくまぶしていきます。
さらにもう一度バッター液につけて、追い粉をまぶしてしっかり味を付けましょう。
他の肉にも同様の手順を実施して揚げる準備ができたら、お皿にシャイニーサニーレタスとプチトマトを盛り付けておきます」
さて、油の温度は…160度か。
イイ感じに下がってるね。
「…うん、油の温度も160度とほど良く下がってきてますね。
お肉を油の海に放り込み、これ以上温度が下がらないように火を入れながら中までしっかり火を通りしていきます。
一つお肉を取り出して爪楊枝を刺して透明な汁が出てきたのを確認したら、一度取り出して、先ほどと同様に油の温度を190度まで上げて二度揚げしていきます」
この二度上げの工程が非常に重要で高温で揚げることで、外はカリっと香ばしい香りが付加される。
「…二度上げしたらイイ感じですねーこんがりキツネ色…そそられますね!
しっかり油を切ったら、素揚げしたジャガイモと一緒に皿に盛りつけて…完成です!」
<おおー!>
<フライドチキン!>
<フライドチキンとからあげの違いって何?>
<唐揚げは鶏肉に下味がついてて、フライドチキンは衣に味が付いてるとかだったはず>
<へぇーなるほど>
<カリっと仕上げるならタッパー液を何度もつけて衣を厚くするのがおススメだよ!>
<確かにかずやんも二度漬けしてた!>
<フライドチキンっていうけど…チキンじゃなくてリザードマンだよな?>
<フライドリザードマン…長いな!?>
<フライドマン…>
<それは…なんかこう…ちゃうやろ?>
コメント欄で細かい説明の補足をしてくれている。
このチャットには野生の料理人がいるのだろうか?
フライドマン…一瞬思ったけどさ…流石にスルーするわ!
「リザードマンのフライドチキン風です!」
<~風で片付けたww>
<まあでも…旨そう>
<ちょっとゲンタッキーに行ってくる!>
<おいおい…もう近所のゲンタスマホ予約できんで?>
<まあ作れそうなレシピだったし…家で作るか…>
<揚げ物って…油を使うのがハードル高いんだよなー>
<ダンジョン内だと油跳ね気にせんでいいのがうらやましい>
「ははは、手軽なレシピなので皆さんぜひ試してみてください!では…出来立ては熱いうちを食べたいので…フライドチキンと言えば…じゃん!金色のヤツ!早速ですが…いただきまーす!」
蓋を開けて、グイっと飲む。
「プハーッ!!キンキンに冷えてやがる!!」
麦ジュースで戦闘準備を整えたら、本命のフライドチキン…
「んー!!外はザクッと中はしっとりジューシー肉は案外淡白だけど、噛むほどに肉の旨味が溢れてきますね。筋肉がしっかりついてたので弾力も抜群、食べ応えがありますね!」
ピリ辛に仕上げたフライドチキンは、ビールと相性バッチリだ。
肉を一つ食べ終えて、ポテトをつまむ。
外はカリっと中はホクホク、ヤックの細いポテトも旨いが、このホクホクしたポテトも旨いよね!
ポテトに追いオリジナルスパイスを振りかけて食べる。
うん、いい塩梅だ。
「ピリ辛フライドチキンも旨いが…もしかしたらこれが合うかも?」
マジックバックからハニーマスタードを取り出しつけて食べてみる。
うーん…辛味と甘みのバランスが丁度いい。
甘じょっぱいので酒が進む。
早々にビールを一本飲み干し、もう一本を開ける。
あとは無心になって肉&ビール、気持ち程度に野菜を食べての繰り返し、用意した肉もポテトも付け合わせの野菜もすべて食べ終えた。
「いやー…美味しかった。やっぱりフライドチキンはいいですねー!まー…チキンじゃないんですけどね!」
<ビールとフライドチキン…今夜の晩御飯は決まったな>
<かずやんの大食い動画だけでも需要ありそう>
<まじそれなwかずやんの飯配信見て似たもの食べてたら10kg太ったわ>
<それは流石に…食いすぎなだけだww>
旨いものを食べたら疲れが吹っ飛んだ。
「ごちそうさまでした!では本日の配信はこれぐらいにして…明日また配信しますね!」
<【50,000円】春休み毎日配信マジで…ヤバい!>
<【2,000円】おつー!>
<【50,000円】乙!>
<【50,000円】「姫っちゃん」明日も期待してます!>
<【50,000円】かずやんの成長がマジパネェです。今後も期待!>
・・・
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配信後のスパチャ&コメントラッシュ後を見届けて配信を終了した。
配信が止まったことを確認して、マジックバックからWASHBOXを取り出した。
長期間探索するときの懸念と言えば、お風呂問題だ。
2、3日程度であれば、ボディーペーパーでなんとかやりくりできるかもしれないが、ここまで長く探索を続けているとそれも限界がくる。
だがそれもWASHBOXを使えばシャワー入浴を可能にしてくれる。
使った水はろ過装置でリアルタイムにろ過される循環式になっているので少量の水で済むし、湧き水を使えば、きれいになりつつ疲れまで癒してくれるので、長期間の探索には必須アイテムといえる。
…まあ、ろ過装置が結構な重量なのでマジックバックがないと持ち運びできない装置ではあるんだけどね。
しっかりシャワーを浴び、疲れも取れたので…。
マジックバックからキンキンに冷やしたうすはりグラス、ウィスキー、ソーダを取り出したら…グラスにウィスキーを入れてゆっくりとソーダを流し入れる。
マドラーで混ぜる必要がない、神戸ハイボールの完成だ。
風呂上がりのビールも旨いが、ハイボールもこれまた旨い。
最後まで濃さが変わることなく、一口目からキンキンに冷えたそれは至高のハイボールなんていわれたりする。
プハーッっと一息ついてふと思う。
肌感覚としてはもうそろそろ深淵層も最下層に到達するのではないかと、探索者の感が告げている。
未知の食材とダンジョンの気まぐれに期待9割、不安1割を胸に抱きつつ、今はゆっくりと休むことにした。
―――――――――――
春キャベツに新玉ねぎ、新ジャガイモ…春って良い季節ですよねー
小玉新ジャガをレンチンして、バターとクレイジーソルト振りかけた一品とかもう酒が止まりません。
大きい新ジャガは四等分してレンチン、金のチーズハンバーグにぶっこんだら簡易チーズフォンデュのできあがり、あとは新玉のポトフを添えれば贅沢な一食になりますよー。
旬の食材は四季それぞれ。どの季節も食べたくなるものがありますよねー!
「★★★」「ブクマ」「コメント」いつもありがとうございます!
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