第141話 かずやんの春休み(11)リザードマン

振り下ろされたシミターを短刀で受けとめると、鈍い金属音が部屋に響き渡る。


牛鬼を屠ったであろう一撃――


ゾンビと比べるまでもなく…圧倒的に強い!


とはいえまだまだ余裕がありそうなので、辺りを見渡す。


この空間、先ほどと異なり腐臭が全くしない。

ゾンビがいないだけでこうも変わるのか…。


ただ…病院の中で料理を作って食べるというのも異様な光景だろうが…

そこは腹が減るので背に腹は代えられない。

ゾンビの腐臭が無くなっただけ良しとしよう。

病院特有の薬臭もしないので…見た目だけを再現しているだけなのだろうか?


そんな考え事をしている間も、リザードマンは手を休めることなくシミターを振りまわし、たまに蹴りを交えて攻撃を繰り返す。

フェイントをかけることもできることから、モンスターの中でも知能は比較的高いのかもしれないな。


冷静に動きを追いながら攻撃を避けつつ、シミターに短剣をぶつけて距離を取らせた。


<早すぎて目で追えねぇ…>

<いや…さっきまでのモンスターと全く動きが違うな!?>

<リザードマンって食えるの?>

<どうだろ?でもかずやんの目が食材を見る目になってない?>

<目というかヨダレが…>


そんな馬鹿な!?

そう思いながら…口を拭う。


「ヨダレなんて出てないじゃないですか!?」

<食材としては見てたのかよww>

<流石というかなんというか…>

<コメント追うことできんのかww>

<きんちょうかーん!!>


ぐるるぅ…思ったようにいかず…喉を鳴らし苛立ちをあらわにするリザードマンは腰に下げていたもう一刀のシミターを構えた。


GYAAAA!!


手術室に咆哮が響き渡り、リザードマンの腕や胸、足の筋肉がパンパンに膨らむと、先ほどとは比べ物にならない圧を放ちながら二刀のシミターをクロスさせて振り下ろしてきた。


短刀で受けるも…先ほどより一撃が…重い!!

一撃の重さで手術室の地面にヒビが入る。



リザードマンの口元がニヤリと笑う。

叩き潰さんとばかりに力が込められているのを肌で感じ取れる。


「いやー…結構重い一撃ですねー」

<感想が雑!>

<えっ、結構を超えてない?>

<地面が割れる一撃の感想がそれか…>

<せめて両手で支えろよ。なんで片手で受けてんだ!>


「短刀って、両手で使うイメージがないじゃないですか。ついつい…」

そろそろ頃合いかな?


っと力量も知れたので腕に氣を込めて力任せに短刀を振り上げる。

こんな状況が起こることなど予想できなかったリザードマンが呆然としつつ…


何もできずに宙を舞う。


<まじかよ…>

<シミターをはじくだけじゃなくてリザードマンを投げ飛ばすんかいww>

<化け物か!?>

<それは元々やで>


空中で身動きの取れない相手に向かって氣の刃を放つも、なすがままにはならずシミターで器用に弾かれ決定打にはならなかったようだ。

ただ氣の刃の対処で手一杯といったところで、俺が接近していたのには気付けなかったようだ。


反応に遅れつつも、鞭のような尻尾の一撃悪あがきを放ってきたが、なんなく手のひらで受け止める。

そして…尻尾を掴んで引き寄せたところで短刀の一閃を放った。



勝負は有無を言わせず一瞬で決める。


倒れたリザードマンはピクリとも動かなくなった。


「いやー…スケルトンとか、ゾンビと比べるとめちゃくちゃ強かったですね!まあゾンビみたいに鼻がもげるような腐臭がないのは本当に良かったです!」

<さっきまで戦闘してたテンションなのかな?かな?>

<ゾンビってやっぱり臭かったんだ>

<さっきまで殺戮マシーンみたいだったしな…飯食う時以外能面だったよなw>

<ただ…やっぱりリザードマンって食えんの?>

<まあ…トカゲも食べられるしいけるんじゃないか?>

<トカゲってうまいの?>


「トカゲ料理…流石に私も食べたことはないですが…、カエルみたいな味とか?だとすると…鶏肉のような感じだと思うんですよねー」

そう言いながらグロフィルターを掛けて、うきうきうぉっちんぐー…リザードマンを解体していく。


<かずやんの顔が喜々としているなー>

<深淵層に入ってから…骨とゾンビばっかりだったしね…>

<リザードマンって…牛鬼を倒せる化け物のはずだよね…?>

<そのはずなんだけど…かずやんこの探索の中で強くなってる?>

<いやいや…だとしたら成長速度おかしいだろ!?>

<デバフありで牛鬼倒すような化け物を圧倒するんだもんなー…>

<まあかずやんも化け物ですし…あの表情をみるとねー…>

<<<ナットク>>>


「さーって!皆さんお待たせしました!待ちに待った…ご飯のお時間です!」

解体が終わり光り輝くリザードマンの腕の肉をドローンカメラに向かって掲げて映す。

<活き活きしてやがるww>

<目が輝いてる>

<今までの深淵層が苦行だったからなー>

<でも…なんでだろう。あのリザードマンから取れたとは思えない良質な肉だ…>

<わかる…イイ肉だな>


深層以来の食料ゲットだぜー!!!


―――――――――――

炎上対応中で書く頻度が減ってます

頭の中から書こうと思った内容が抜けては思い出しを繰り返して、遅筆に拍車が掛かってます

深淵層編ももう少しテンポを上げていきたいところ!

この後もまだまだ書きたい内容があるので炎上早く落ち着かないかな…


「★★★」「ブクマ」「コメント」いつもありがとうございます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る