第140話 かずやんの春休み(10)廃病院

「いやー食べた!食べた!これでまた動けそうですね!」

<いままでの食材で料理するだけの動画なのに…めっちゃ腹減った>

<色々な肉をミンチにして、ロック鳥の卵液とダンタマと混ぜたタネを使って、ホットサンドメーカーで豪快にメンチカツ作るとか…>

<パン粉に油からめて衣代わりにするのはなるほどが感あった>

<メンチカツのタネの間に挟んだスライスチーズの伸びがいい感じだったよねー>


うん、作るときのコツの説明までみんなコメントありがとう。

ホットサンドメーカーがあれば簡単に作れるからみんな試してみてね!


さて…しっかり飯を食べてお腹はいい感じ、これでまたしばらく探索できそうだ。


元々、狂暴化バーサークは氣をめちゃくちゃ消費していたはずなんだが…

今は氣に満ちていてその代わりにカロリーが消費にされているように感じている。

これは…スキル多用による変化なのだろうか?


まあ…モンスターのコアを食べなくてよくなったのはうれしい誤算ではある。

あれ…氣力は回復するけど、美味しくないんだよ。


そう思いながら深淵層二層目に突入した。



……

省略するが…二層、三層、四層と続けて出てきたのはスケルトン。

最初は人型、続いて動物のような見た目の骨、そして四層目はモンスターの骨。


何度も続く骨ラッシュ…正直げんなりしていた。


狂暴化バーサークの反動で腹が減るのに食材が手に入らず、不本意ながら今までの食材で料理するしかなかった。

そんな中、ホットサンドメーカーで作るとん平焼きレシピが案外ウケたので、その点だけは良かったと言えるかもしれない。


作り方も簡単で、キングオークのばら肉を薄くスライスしたものを塩コショウして焼いたら一旦皿に取り出して、残った油でもやしとエメラルドキャベツの千切りを炒める。焼き色が付いたら蓋をして蒸し焼きにしつつ、最後にキングオークの肉を戻して軽く混ぜ合わせたら皿に取り出しておく。


次に出汁を混ぜたロック鳥の卵液を入れ薄っすら色が変わるまで加熱する。

そのあとは炒めた具材を乗せて蓋をしたら、ひっくり返し卵と具材を少し絡め、卵の面を下にして焼き色を付ける。

卵の面を上にして蓋を開けたら、ソースとマヨネーズをかけて青のり、鰹節を振りかければ…完成だ。

手軽に作れてウマイとん平焼き!ビールのお供にぜひ試してほしい。


さて…と腹を満たして五層目に挑むと、今までのレトロお化け屋敷の景色が一変した。


デーンっと構える廃病院。


急に近代化したなー。

某遊園地のアトラクション張りに趣がある。


<うわぁ…マジもんのお化け屋敷じゃん…>

<流石に廃病院には…入りたくないな…>

<ここで人型以外のモンスターが出てきたらシュールすぎるわ>

<ってことはまだしばらく飯回お預け!?>

<いや…どうなんだろう。俺らの常識の範囲に収まるんかな?>

<【666円】「絶許」絶許!絶…許…!絶許!>

<この先見るのが怖い…夜トイレ行けなくなったらどうしてくれるんだ!とのこと>

<ダンジョンにまで噛みつくのかw>

<いや、だから翻訳さんのスキルが異常すぎw>

<心配する部分がかわいいw>

<くっ俺どうしちまったんだ…キレのある絶許氏もいいけど…乙女感のある絶許氏にもキュンとしてしまったんだが…疲れてるのか?>

<あるある…ねーよ!?>

<いやー…わかるかも?>


コメント欄が異常。


「さて…引き返すというのも選択肢としてはないので…進みますね?」


扉を開けた瞬間に、ゾンビっぽいモンスターがメスを片手に走ってきたので、心臓バックバクだったが…。

コメント欄が荒れたこともあって、なんとか平常心を取り戻した。

絶許氏のコメントが、表記揺れしまくって焦っている感だけは十二分に伝わった。

コピペだと思っていたが…実はあれ毎回手打ちだったのか…。


「いやー…スケルトンの次はゾンビ…。スケルトンより武器も使ってるから強いのかもしれないんですが…メス振るだけで動きが単調なんですよねー」

敵の強さは下手したら中層のモンスター並みかもしれない。

フロアボスが連想すると言ってたのは何だったのか?


通路を歩けば出てくるのはメスを持ったゾンビだけ…通路は単純一方通行、そして目の前に現れたのは手術室。


<手術室…(;゚д゚)ゴクリ…>

<この手の奴は絶対何かいるw>


さて…こういう時、この扉を開けて待っているのはゾンビの大群とかじゃないだろうか?

さっきまでの出来事に、期待せずに扉を開くと…。



外観の病院のサイズと比べても広い空間が現れた。

そしてその中央、どでかいベットの上に…牛鬼が乗せられていた。


あっ、俺がヤバいと思ったときにはAIがグロフィルターをONにしていた。

優秀だな…。


手術というには凄惨な状況。

牛鬼の足はすべて切り落とされ、腹も切り開かれていた。


二足歩行で歩くトカゲのような生物――


リザードマンがシミターを片手に立っていた。


そのシミターからは牛鬼の血がしたたり落ちて…狩ったのは俺だと言わんばかりだ。


リザードマンはこちらを気にした様子もなく切り開かれた腹に手を突っ込むと、牛鬼のコアを引きずり出しガリゴリと食べていた。



「あのー…?」

<いやいやモンスターに話しかけるんかいww>

<なにしてんだよw>

<あれ何くってんの?>

コアってモンスターも食べるの!?>

<リザードマンが牛鬼解体してんの!?>


いや猫又の件もあって、もしかして?

なんて思ったが…。



シミターを持ったリザードマンは何か喋るわけでもなく襲い掛かってきた。


―――――――――――

そろそろ食材が出ないと…禁断症状が…!?

ということで、骨と腐った肉以外のターンがやってキタ――(゚∀゚)――!!


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