第129話 God knows
沖縄でお土産を買いこみ、観光することなく沖縄からとんぼ返り、家に帰ることなくギルドに足を運んだ。
「無事帰ってきてくれてありがとう…かずやん。しかも五大ダンジョンの深層最深部まで到達の記録のおまけつきだ。アメリカのギルドもソロであの層を踏破したのを見て驚いていたよ」
そういう四ツ谷さんは、安堵の表情を浮かべていた。
「それなんですが…あっそうだ。とりあえずこれお土産です」
雪塩をつかったちんすこう、他のちんすこうと少し違っていて最初サクッと最後はしっとり食感に、甘じょっぱい味が他にない。
まあ…水分泥棒なところは変わらないんだ…な。
「ああ、ありがとう。あと言いたいことはわかっているつもりだ。最深部と思っていたがその先がありそうだった…だろう?」
「その通りです」
「深淵層というのを聞いたことはあるかい?」
深く椅子に腰かけて、四ツ谷さんは考えるそぶりを見せた。
「深淵層…ですか?それは聞いたことはないですね」
視聴者がネタのように言ってはいたが…それ以外は聞いたことすらない。
「これはアメリカやダンジョン先進国とやり取りしている極秘の資料なんだが…深層最深部到達したかずやんには見る資格がある」
神田さんが棚から資料を取り出し、四ツ谷さんに資料を渡す。
ありがとうと受け取ると、資料を机に並べていった。
「…これは?」
難しいことはわからないが…、ごく一部のダンジョンで深淵層の存在を確認、アメリカのSSSランク探索者パーティー「God knows」が深淵層に挑んだ結果が記録されていた。
深層とは空気も空間も異なるらしい、深層がダンジョン型だから深淵層はダンジョン型とはならないらしい。
資料では、深層はダンジョン型だったが、深淵層は密林のようなフロアで重力デバフが常にかかっていたらしい。
…意味が分からない。
深淵層の1層では出てきたモンスターは深層最下層辺りで出てくるモンスターや、深層フロアボスが多くそのときの探索では深淵層独特のモンスターは見つけられなかったとのこと。
ただ単体で出てきた普通のモンスターが、複数出現したことで対処しきれなくなり撤退したと記載されていた。
デバフを食らった状態で、アルゲスみたいなのを複数相手するってことか…?
アルゲスのように食べられないモンスターであれば、
ただ…食材を相手するとなると力加減できなくなって駄目にしてしまうから…良い選択とは言えないだろうな。
「深淵層に挑むのは厳しそうかい?」
俺の考え込む姿をみた四ツ谷さんは声を掛けてくる。
「そうですね…食材として食べられる状態を維持するには、もう少し自力をつけないといけないかもですね」
「「……」」
ん?顔を上げるとポカーンとした顔をする二人。
「どうかしたんですか?」
「かずやん…君は時々ぶっ飛んだ発言をするね。倒せることが前提で話をできる探索者は世界中を探してもほぼいないだろう」
ふっと笑う四ツ谷さん
「そう…なんですかね?」
「ああ、あと五大ダンジョンの深淵層に挑戦するまえに…グンマー…いや群馬県に深淵層に続いているかもしれないダンジョンが発見されているんだ。すまないがそのダンジョンの探索と、もし深淵層があった場合、攻略をしてもらえないだろうか?ミッションではないから…深淵層に挑みたいと思ったときに行ってくれたらいいよ」
「わかりました」
「用事はそれだけだ。すまない神田君。かずやんを家まで送ってくれるかい?」
「わかりました。では行きましょう和也様」
「ああー忘れていた。そういえば探索者世界ランキングのことは覚えているかい?」
部屋を出ようとしたとき、四ツ谷さんが忘れていたことを思い出したようだ。
「あーシュワちゃん以降、連絡はなくなりましたね…あれどうなったんですか?」
「落ち目とはいえ、シュワちゃんを一撃で沈めただろ?あれもあって上位ランカーの人たちも日和ったらしいんだ…。
ようやく相手が決まるかと思ったら…五大ダンジョンの深層フロアボスをソロ踏破しただろ?
その瞬間に電話があってね…かずやんの不戦勝になったよ。
あれよあれよと4位の人も深層フロアボスに挑んで敗れた経験があったようで流れで不戦勝…
かずやんのランキングは上位ランカーと戦わずして世界4位になったんだよ」
「…は?」
「まあそういう反応になるよね。さっきの世界中探してもって言ったのは…世界ランキングですらこのレベルだからね。かずやんのスペックが異常すぎるってわかっただろう?」
「いやいや…それは世界ランキングに参加している探索者が弱いだけじゃ…」
「ははは…面白いことを言うね。疑いたくなるかもしれないが…ランカーの実力は本物だけど、かずやんが規格外なだけだよ。
ああ、引き留めてすまない。話はそれだけだ。お土産ありがとう。後でいただくよ」
そして部屋を後にして、車で家まで送ってもらった。
やっと…寝れる。
かずやんを見送ったあと、スピーカーモードにしていた電話に話し掛けた。
「ふぅ…俺にできるのはここまでだ。深淵層踏破のミッションは出さないぞ?」
『それでいい…遅かれ早かれあの男はきっと深淵層に挑むだろう。長老と武蔵境が以前踏破した群馬の深淵層ダンジョンを踏破できれば…ようやく入口に立てるだろう』
「お前たちは一体かずやん…いや探索者に何をさせようとしているんだ?」
『今は知る必要はない。だが…一つ言えるのは残された時間は少ない。しかるべき日に備え、お前はギルドの頭として探索者のレベルを底上げをしておくんだな』
そう言い終えると電話が切れた。
「言いたいことを言って切りやがった…」
ふう…深いため息を吐き出して、椅子に深く腰掛けた。
―――――――――――
対人バトルを書くのが嫌だから世界ランキングを書かない…
ってわけでは決してないんですよ?
ただ…かずやんが強くなりすぎて、選手とマッチできないんです
不戦勝でランキング1位…だけは避けなければ(フラグ)
「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます