第128話 帰還
レタスを適当に手でちぎり、湧き水で汚れを洗い流して振って水を飛ばす。
水切りがあれば便利だが…探索者の腕力があればこれぐらいどうってことはない。
マジックバックからバターロールを取り出し、お皿にバターロールとレタスを乗せたら…
ホットサンドメーカーの蓋を開ける。
ブワッとカレーの風味が空間を支配し、腹の虫を刺激する。
「うん、カレー風味のピカタ完成です!」
「「「「グー…」」」」
4人に増えた腹の虫が響く。
「みんな待ちきれないようなので、早速食べていきましょう!お酒飲む人います?」
「さ、酒?(英語)」
「ダンジョンで酒を飲むのか?(英語)」
「クレイジー…(英語)」
「ここはどこだ?深層じゃないのか?(英語)」
「えーっと…食べたらそこにあるポータルで帰るだけなんで、そこまで気にしなくてもいいと思いますよ?」
「そうなのか?…いや…いただこう。生き延びたことに感謝だ(英語)」
「私もいただけるかしら?ダンジョンでお酒なんて一生飲めると思えないですし…ね(英語)」
全員飲むことになり、みんなにビールを手渡す。
そして蓋を開けたら…
「では…かんぱーい!」
「「「「かんぱーい!!(英語)」」」」
グイっと飲むと、シュワシュワが喉を刺激する。
くーっ…!仕事した後の一杯は最高だ!!
「むっ、このピカタ…カレー味なのか…旨い…うますぎる!…こんなにも旨い食事は初めてだ…(英語)」
「そうだな…死ぬかもって思った後にこんなにうまい飯を食えるなんて…暖かい飯はこんなにも旨いものだったんだな…(英語)」
顔の濃いおっさん二人が涙を流しながら飯を食っている…。
うーん絵が…取れ高が…とここでいうのは無粋だろうか。
「フェンリルでこんな料理ができるものなのか…一流シェフに料理を任せようにも調理方法がわからず匙を投げた食材だというのに…これがクッキングモンスターの実力か…とりあえずただ焼いただけの肉も旨かったが…これは…うますぎる!!(英語)」
フェンリルも普通のレシピで料理できますよ?
「あっ、そうだ。パンにピカタとピザソースととろけーるチーズをのせたらバーナーで炙ってちょっと溶けたらパンで挟んだら…これがまたウマイと思うんです!試してみます?」
「「「「oh…!ぜひ頼む(英語)」」」」
ゴクリッと息をのむ音と、食いつくようにパンとピカタを差し出してくるアメリカ探索者の皆さん。
「うーん…チーズが伸びてジャンクな感じがマシマシ、ビールとあってサイコー!!(英語)」
「なんで…ピカタに追いチーズするという発想になるんだ!?最高すぎる(英語)」
「くー今までの人生を損した気分だ!(英語)」
<【666円】「絶許」絶許!絶許!絶許!>
<うらやましいが止まらない絶許氏ww>
<でも…わかるw俺も食べたい>
<助けられて、あったかい飯ってかずやん神対応だろ>
「ははは…ビールとピカタは相性抜群でイイですね!」
<ピカタ…めっちゃ簡単に作れそうだし今日の晩御飯にしようかな>
<粉チーズかー…パスタ用に買っては余らせてたから使ってみる!>
<俺はピカタドック作って食べてやる!!>
<ひゃっはー!炙りニストに俺はなる!>
<【50,000円】「姫っちゃん」師匠無事でよかったです!ピカタ…美味しそう…>
<姫っちゃんキタ――(゚∀゚)――!!>
<姫っちゃんだ!>
<姫降臨!>
<姫っちゃんキタ――(゚∀゚)――!!>
<姫っちゃんも配信乙ー!>
<下層ボス目前までソロ踏破とかマジ成長がヤバい>
<化け物の弟子…>
<ロマンスマダー?>
<【666円】「絶許」絶許!絶許!絶許!>
<そういうのはイケないと思います!とおっしゃっているようだ>
<なんでわかるんだよ!?>
<視聴者に噛みつく絶許氏キタ――(゚∀゚)――!!>
もう何でもありだな!!
ビールと飯で、腹を満たし大満足でダンジョンポータルから地上に戻る。
<なあ…ダンジョン…まだ続いてないか?>
<ああ見えたな…深層踏破で完全制覇かと思ったんだが…まだその先があるっていうのか?>
<いやいや…マジかよ…深層のその先って…どんな魔境だよ>
<五大ダンジョンだからなのかな?>
<深層の次、魔境…悪魔学的に言うと深淵なんて…な?>
<深淵層…>
ポータルを出ると神田さんが待ってくれていた。
「和也様、お疲れさまでした」
笑みを浮かべているが…目が笑っていない?
「強制ミッション中なので、お酒を飲む前に…まず救助した人を地上に戻すのが先だと思うんです」
…ですよねー。
「すまない。ギルド職員、ただ彼を責めないでくれないか?(英語)」
「あなた方にも話があるとアメリカのギルド職員から連絡がありましたよ?」
ニッコリと笑みを浮かべる神田さん。
それと対照的に顔を青ざめていくアメリカのパーティーメンバー…。
震える手で、湧き水をがぶ飲みし始めた…。
「まあ…和也様は平常運転で、今更感もあるので…問題にはならないと思いますが、次回からは少しだけ気を付けていただければと思います」
<かずやん怒られてるwww>
<そりゃそうだろww>
<救出ミッションは終わったとはいえ、酒盛り配信したもんなー>
<まあでもかずやんですし笑>
<かずやんしかできない芸当www>
「視聴者の皆さんも煽るのはほどほどでお願いします…ね?」
<<<はーいww>>>
「で、では配信はここで終わりにしたいと思います!」
<おつーwww>
<オチまで楽しめたよw>
<【50,000円】次回の配信期待!>
<【50,000円】つ 深層の情報料>
………
……
…
最後に赤スパラッシュを受け取りつつ、配信を終了した。
「さて、和也様。この度は強制ミッションの完遂ありがとうございます。まさか深層の最下層まで探索することになるとは思ってなかったですが無事で良かったです」
神田さんも心配してくれていたようだ。
「ははは…自分の力で何とかなるレベルで良かったですよ。ただ気になる点が…」
「深層のその先ですよね?これについては四ツ谷から話があるとのことです。この後お時間よろしいですか?」
「大丈夫ですよ」
流石、四ツ谷さん話が早い。
車に乗り込もうとしたとき、声を掛けられる。
「今回は本当にありがとう。かずやんのおかげで俺たちは命を救われた。感謝してもしきれない(英語)」
失った腕が少し生えてきているように見える片腕の探索者が握手を求めて手を伸ばしてくる。
その手を取り、ガシッと握手を交わした。
「君の料理は最高だったよ。次回は俺がごちそうさせてくれ。アメリカのフルコースをごちそうしたい(英語)」
「俺たちがここにいられるのはかずやんのおかげだ。本当にありがとう(英語)」
「私たちを救ってくれてありがとう…(英語)」
そして金髪の女性の…不意打ち。
頬にふれる感触――
「感謝のしるしってことで、もし次回があるなら…連絡待ってるわ(英語)」
「和也様…金髪がよろしいので?」
「ソンナコトハナイデスヨ?」
「そういうことにしておきましょう…ではいきましょうか」
「ハイ、イキマショウ」
外国人のスキンシップってすごいね!?
ダンジョン探索とは違った衝撃を受けて、湧き水いらずで酔いが醒めた。
―――――――――――
「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!
ピカタをピタカと間違える作者デス
粉チーズの消費に困ったら作る料理…それがピタ…ピカタ
手軽に作れるのでぜひお試しを笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます