第125話 フェンリル
<めちゃくちゃはえー!!>
<あれはサムライか…>
<人型モンスター…>
<っても中身入ってないんだっけ?>
<動く鎧みたいなもんだな>
「うーん…急いでなければ、相手の動きとか見てみたかったんですが…流石にそんな余裕はないので、先手必勝で仕留めます!」
短刀を抜いて氣の刃を飛ばす。
相手は俺の氣の刃を刀で切り落とそうとするが…、相手の刀ごと鎧を両断した。
<一撃かー…>
<あのサムライを相手して撤退した探索者の動画見たことあるけど、あんな倒し方普通はムリだよ…>
<まあ無理を可能にするのがSSSランクですし…>
<でも下層で行方不明じゃないってことは深層ってことになるよな?>
<そうなると…相手もSSSランク?>
<武蔵境さん…な、わけないよな…>
<きなくせー…>
「よし!下層も踏破したのでここからは深層ですね。改めて気を引き締めて行きたいと思います。今回はモンスターを食材として相手している余裕はないので結構グロい倒し方をするかもしれません。なのでグロフィルターをオンにしておきますがその点ご了承ください」
<おけ>
<緊張感のあるかずやん…初めて見た>
<普段はモンスターを食材としてしか見てないのか…>
<前のあのサイズのマンモスですら、食材として見てて全力出さなかったぐらいだしな…>
<食に対して異常すぎるだろww>
どれぐらいの層があるかわからない深層に挑む。
ゴブリンイーターみたいな町レベルのゴブリンの集落を滅ぼす存在を蹴り飛ばしつつも、マッハラビットの群れとの戦闘を極力避けて先に進む。
SSSランクパーティーということもあって、深層も浅い階層にはいないようだ。
そして…深層も20層を超えた辺りで一度休息をとることにした。
湧き水を飲んで肉体的な疲労は多少取れても、流石に精神的には疲弊する。
マジックバックから適当なモンスターの肉とダンタマを取り出し、サクッと牛丼を作って、インスタント味噌汁と一緒に食べた。
<20層って…普通のダンジョンなら攻略完了してるでしょ…>
<首里城ダンジョンめちゃくちゃ深いな…>
<ここまで潜って行方不明者が見つからないって…>
<やっぱりSSSランク?武蔵境さんじゃないとしたら海外の探索者か?>
<なんでそれでかずやんが救出に行くんだよ…日本はダンジョン後進国なんだから日本の探索者に頼るのおかしくね?>
<普通はそうなんだろうけど…普通じゃない人が相手なんでしょ…>
「皆さん落ち着いてください。とりあえず…どこまで続いているかわかりませんが探索を再開します。と言っても流石にここまで来ると結構疲れてきたので、あと10層下がったらセーフゾーンで野営したいと思います」
<あと10層って…30層って新宿ダンジョンだったら最深記録だろ?>
<一人で30層って…>
<深層20層までの速度も異常だよ>
<前のマンモスって何層だったんだ?>
<あれ確か15層とかじゃなかったっけ?>
<今時点であれより深く潜ってるのか…>
そして深層21層…
「いやー…まさかこういうめぐり合わせですか…」
<フェンリル!?>
<しかも2体…いないか?>
<前めちゃくちゃギリギリの戦いしてたやん…>
フェンリルが連携して挑んでくるとは思えないが…過去の戦闘が脳裏に浮かぶ。
「
反射的に発動し、フェンリルの牙の初撃を短刀で受ける。
バチリッ牙を短刀で受けると雷が爆ぜる。
少し前の俺だと多分この一撃でも相当ダメージを受けたかもしれないが…。
俺も多少なりとも成長しているらしい、気を纏って攻撃を受け流しつつ、受け流した勢いをそのまま短刀に乗せ斬り上げる。
ダンジョン内に悲鳴が響く。
そして…一刀両断したフェンリルがズルリと崩れ落ちた。
「これぐらいなら…バーサーク状態じゃなくても倒せたかもしれないですね…」
<これぐらいって…>
<マジかよ…この短期間でどれだけ強くなったんだよ>
<おっ、おい…奥からまだフェンリルが出てきたぞ!?>
二匹目のフェンリルを難なく倒して、バーサーク状態を解除したとき、奥からさらに追加で2体のフェンリルが姿を現した。
どうやら…先ほどの悲鳴を聞いてやってきたのかもしれない。
2匹のフェンリルがじりじりと距離を詰める。
息を合わせ…電気を纏った二匹の爪が襲い掛かる。
「うーん…遅いかな?」
一匹のフェンリルの前足を氣を纏った腕でつかみぶん投げつつ、もう一匹のフェンリルは短刀で切り裂いた。
そして短刀を振り切る寸前に気の刃を作り、ぶん投げたフェンリルに向かって刃を飛ばした。
本能的に何かを察したのか、雷をダンジョンの壁に放ちその反動で氣の刃を避けるフェンリル。
まあ想定通りなんだけど…。
回避したところに氣を纏わせた拳をぶつけた。
キャインっ!と短い悲鳴を上げ、ピクリとも動かなくなった。
<
<深層の浅いところのフロアボスだよな…>
<しかも一方的に…>
<フェンリルの雷撃すらも氣ではじくのか>
その後もフェンリルが数体出てきたが、先ほどと同様に倒しながら先へと進んでいった。
食材は取らないと言ったが…倒したついでで食べられる状態の食材はとりあえずマジックバックにツッコむことにした。
フェンリル…美味しかったしね!
―――――――――――
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