第124話 五大ダンジョン

「急に呼び出してすまないね…」

目の下のクマを隠すように、化粧をしているようだが…にじみ出る疲労感は隠せていない。


「どうしたんですか?四ツ谷さん。…すごく疲れてそうですね?」

「ははは…そう見えるかい?少し困ったことになっててね…」

疲れたように笑う四ツ谷さん…


「呼び出したことと関係していたりします?」

「ああ…頭の痛い話でね…日本の未踏破ダンジョンの中でも最も危険な五大ダンジョンについて知っているかい?」

「五大ダンジョン…ですか?まあ最低限一般知識ぐらいは知ってますが…」

日本に住んでいて、五大ダンジョンについて知らない人はいないだろう。


・北海道五稜郭ダンジョン

・東京都新宿ダンジョン

・山梨県富士ダンジョン

・大阪県通天閣ダンジョン

・沖縄県首里城ダンジョン


いずれも踏破実績はなく、どこまで階層があるかもわかっていないとされている。

過去、新宿ダンジョン踏破を目指してアメリカのSSSランクパーティーが挑むも深層の30層で断念した記録が残っているぐらいだ。


「その中の沖縄県首里城ダンジョンに挑んだアメリカのSSSランクパーティーが帰ってこないらしい。勝手に探索者を派遣して、勝手に探索を初めて戻ってこなかったら、日本の探索者が闇討ちしただの喚き散らかすもんだから困ったものだよ」

やれやれと首を振る四ツ谷さん。


喚き散らかしているのがアメリカのギルドのお偉いさんとのことで、お前らがやってないというのであれば音信不通になったパーティーの行方を捜してこいという話になったとのことだ。


理不尽極まりないが、立場の弱い日本は逆らえず強制ミッションを発令したらしい。

ただ、日本で深層をある程度自由に探索できるのは今時点ではSSSランクの俺か武蔵境さんの2名しかおらず、武蔵境さんについては新宿ダンジョンに潜っていて音信不通の状態らしい。


「いやはや…少し前に強制ミッションに出てもらったばかりで申し訳ないんだが…沖縄県に向かって貰えないだろうか?」

「いいんですが…流石に俺の実力じゃSSSランクパーティーのところまでいけるかわからないですよ?」


「ははは、謙遜しなくていいよ。かずやんの実力は他国の並みのSSSランクパーティーより強いからね…私の目が保証するよ。さて羽田にプライベートジェットを用意しているからこれから向かって貰えるかな?」

「プライベートジェット…ですか?」

「ああ、少しでも早く現地に行ってもらう必要があるからね。神田君、すまないが後のサポートはよろしく頼むよ」

「わかりました。では和也様。羽田まで車を用意しているので車まで案内します」

「よろしくおねがいします」



そうして…沖縄に向かうことになったのであった。

とりあえずその旨をはじめと国立さんにはグループチャットで連絡を入れて置いた。


”沖縄!?なに自分だけ旅行を楽しんでるんっすか!?とりあえずお土産は…沖縄そばと泡盛頼むっすよ!?”

”旅行で行くわけじゃないんだぞ!?”

”わかってるっすよ!でも必ず買って帰ってくるっすよ!!”

”あらあら…まあまあ…”

”くにやん…”

”仕事はこちらで調整しておくので、高円寺さんは気にせず強制ミッションに注力してください”

まあ…平常運転だな。




飛行機を降りるとそこは南国、2月というのに暖かい。

「首里城までは車で移動します」

プライベートジェットを降りると、黒塗りの車に案内されて40分程度で首里城に到着していた。


首里城と言っても、ダンジョン化してからはそこに城はない。


とりあえず…、事故や問題が発生するかもしれないとのことで、強制ミッションは配信を行うことになっている。

「皆さんめんそーれ!本日は首里城ダンジョンの探索をしていきたいと思います!」

<…は?>

<おいおい…かずやん、首里城って五大ダンジョンの一つやんか>

<流石にヤバいって>

<なんで沖縄にいるんだww>

<急な配信でびっくりだ。感謝感謝>

<こんちゃー!>

<【8,989円】今日の配信なにー?>


「今日はですね…国からの強制ミッションが発令されたので来てます。本日はこのダンジョンで行方不明になった探索者パーティーの捜索なので、素材回収は二の次で探索を進めていこうと思います!」

<まじかよ…五大ダンジョンで行方不明って…>

<無謀すぎだろ…SSランクが背伸びして挑んだとかじゃないんだよな?>

<それで捜索は行われんだろ…>

<詳細を言わないってことは…察しろってことだろうな>


「…では、まずは下層踏破を目指します!」

中層のミノタを切り伏せ、下層に入る。

首里城の下層はダンジョン型なので、湧き水が普通に飲めるのは助かる。


とはいえだ、体力は極力温存しておかないといけないので、できる限り戦闘を避けながら先に進んでいく。

避けれない場合は、一太刀で仕留めつつ、下層のフロアボスがいるフロアに到達した。


―――――――――――

「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!


五大ダンジョン…ようやくここまで書けました


12年ぶりに9Sの最終巻が発売されてテンション上がってます。

1ポンドの福音が11年ぶり最終巻発売だったので、最終巻待ちの記録を更新しました。


3連休中には1巻は読み終わりたいところ…積読し続けているので消化しないとですね!

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