第122話 深層料理(2)漢のロマンを求めて

「そろそろいいですかね?」

アルミホイルを取り除くとそこから覗くはいい感じに火が入った塊肉、串を刺すと透明な肉汁が出てきたので中まで火が入ったようだ。

仕上げに炭火でじっくりと周りに焼き色をつけていくと共に、肉とニンニクの香ばしい匂いが洞窟内を充満していく。


…無意識のうちに、ゴクリッと喉が鳴る。


色々と料理を作って食べるのも美味しいが…マンモス肉と言えばロマンあふれる食べ方をするしかあるまいよ。


「二品目は…じゃん!まんが肉です!この匂いをお届けできないのが非常に悔しい」


両方から骨が飛びだし、その真ん中に肉の塊がドーン!

ニンニクの暴力的な匂いと、こんがり焼き色がついたことで香ばしい香りが胃袋を揺さぶる。

そして所々、閉じ込めきれずにあふれ出た肉汁が肉を輝かせ、見る者の心も揺さぶってくる。


<うっはー!!!>

<【10,000円】めちゃくちゃ食べたい!!>

<【5,000円】男のロマン肉!!>

<【10,000円】「姫っちゃん」師匠…かぶりつきたいです…じゅるり…>

<【666円】「絶許」絶許!絶許!絶許!>

<これはけしからん、エロい肉しているぜ…>

<エロい肉ってwwだがしかし…わからんでもない>


「では…あらためまして…いただきます!」


ガブリッ!!!


口いっぱいに肉を頬張る。

噛めば噛むほど、肉からどんどん肉汁があふれ出てきて口の中を幸せにしていく。


ゴクリっと飲み込んだら、もう一口が食べたくなる。


しっかり脂が乗っていて唇は肉の脂でテカテカ、配信的にはきれいにしたほうがいいのかもしれない…。

だが、そんな些細なことを気にしてられない!無言で肉に食らいついた。


そのまま肉を食べ進めていたが…

身体が急に思い出したかのように金色のヤツを求めだす。

マジックバックから勢いよく取り出して、蓋を開けたら泡立ちを待たずにグビグビ一気に飲み干してしまった。


「ぷはぁあああああー!!!!」

<【20,000円】あかん…これはあかんでかずやん!!!>

<飯テロや!!>

<無言で食べ続けるだけでも伝わる暴力的な肉の旨さ>

<めちゃくちゃ食いたい―!!!>

<あああああー!!!!ステーキだ!腹の虫が今宵ステーキをもとめてらぁあああー!>


「はっ!?俺は一体…無意識のうちに肉とビールをむさぼってしまってました…お、恐ろしい」

食べれば食べるほど湧き上がる食欲と、ビールがその欲望を加速させていく…これはもはや永久機関かもしれない。


味変にカレー粉を少しかけると、スパイスがまた食欲を刺激して、もう手も口も止まらない。


詰みあがるビールの空き缶、減っていくまんが肉…。


そして……。


「ぁあああ…ごちそうさまでした!」


圧倒的、多幸感ユーフォリア!!


これは…定期的に摂取したい成分かもしれない。


<なんだろう…戦闘シーンは前座でこの食事シーンが今回の配信のすべてだったかもしれない>

<この数分マジで神回だったかも>

<かずやんの身体に、あのまんが肉全部収まったのか…?>

<物理の法則どこ行った?>

<ここまで飲んだビールの本数に対してのツッコミなし>

<ストロング飲んでた時が懐かしい…>

<マジックバックヤバすぎww>


「いやー…満足しました。マンモス肉これはめちゃくちゃ美味しかったですねー…。特にまんが肉として食べることが重要までありました。食べるたびに異なる食感と濃淡のある肉の旨みで最後まで飽きずに美味しくいただけました。

さて、今日の配信はここまでにしたいと思います!また次回の配信もよろしくお願いします!」


<おつー!!>

<今夜はステーキだ!>

<おつー!>

<おつー>

<乙>

<まんが肉のレシピでなんちゃってまんが肉つくるぞー!>

<ミノタ狩ってまんが肉にしてやる!>

<おっつー!>


軽く見届けてから、配信を終了した。

めちゃくちゃ身体を動かしたというのも加味したとしても、流石に食べ過ぎた。


このあとマンモスを卸しにギルドに行くので、マジックバックからリンゴを取り出して食べておく。

リンゴを皮ごと食べることで、ニンニク臭をある程度抑えてくれる効果があったりするのだ。


深層ダンジョンを出ると、神田さんが黒塗りの車をダンジョン前まで運んできてくれていた。

「和也様、配信お疲れ様です」

「神田さんも、わざわざお迎えありがとうございます」

「ふふ、これも専属サポーターの仕事ですから、さてマンモスの受け渡し場所まで移動しますがどこか先に寄りたい場所はありますか?」

「いえ、特にないのでそのまま向かって貰えますか?」

「わかりました」

後部座席の扉を開けてもらい、車に乗り込むとゆっくりと車が走り出した。



その後、マンモス肉の受け渡し先で、肉の一部受け取りとミスリルアーマーの素材を使った配信用衣服の作成を依頼しつつ、残りの素材と食材は買取してもらうことにした。



後日、解体が完了したので買取金額を振り込んだと連絡を受け、振り込まれた金額を見て…目ん玉が飛び出るかと思った。

「よーし、はじめ!国立さん。今日は臨時収入が入ったから居酒屋「あっさん」で晩御飯食べないか?」


「臨時収入っすかいいっすねー!自分はいけるっすよ?くにやんはどうっすかー?」

「あっ…すみません。今日は予定があるんです…すみません」

「おお、そうか。ならはじめ仕事が終わったら声かけてくれー」

「了解っす!さーやるっすよー!今日もタダ飯っす!」


国立さんの口元がにやりと…いや…まさか…考えすぎだよな?


「ちょっ!くにやん!こっちくるっす!?!?」

考えすぎ…だよな?


―――――――――――

「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!


まんが肉…漢のロマンですよねー…

ガッツリ肉を食べたいです


さて…次回は居酒屋回

…えっそれはスキップ?

二人が居酒屋で色々飯食っている間に番外編を書くかも…だと?

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