第118話 安心してください飲んでないですよ?

下層と深層をつなぐ通路の比較的気温が穏やかな空間で調理を開始する。


トド肉の料理を始めようとしたわけだが…

トド肉と言えば北海道のお土産屋で売ってるあの独特なカレーや大和煮の缶詰のイメージしかない。


というのも…調理する前から漂ってくる獣臭さをどう生かすべきか…これにつきるわけだ。


試しに少し切って塩、胡椒を振って焼いて食べてみる…。


ああ…これすっごいクセのある肉だ。

しかも肉質は硬く…ただ焼いて食べるをしようものなら食べる間に顎がおかしくなるかもしれない。


「うーん…」

<かずやんが料理で悩んでるww>

<食材が食材だからなー…>

<トド肉ってかなりクセ強いんでしょ?>

<肉質もかなり硬いって聞くけど、モンスターだとちょっとは違うのかな?>


「ははは…これは調理の腕が試されそうですね…。単純に肉を焼いただけだと…とりあえずくさい芋焼酎片手にイクにはいいかもしれないですが…この後のことを考えるとちょっと厳しいかもしれないですね」

<深層挑む前に酒まみれww>

<それはそれで面白そうだけど>

<流石に深層酔いどれ配信したら変人だよなw>


「ということで…今回はご飯のお供を作っていきます!

臭み抜きに、ネギの青い部分と、生姜をスライスしたものを準備した後、トド肉をぶつ切りにして湧き水と共に圧力なべに入れたら加圧していきます。


その間に、ダンタマと椎茸を薄切りにしたものと、千切り生姜を用意して、酒、しょうゆ、酒、湧き水を混ぜたタレを準備しておきましょう。」


加圧した後、肉を取り出して、竹串で刺してみる透明な脂が噴き出てきたのをみるといい感じに仕上がったようだ。


「フライパンでダンタマと椎茸を薄切りにしたものを軽く炒めたあと、パッと見ると豚の角煮のような肉の塊を加えて炒めていきます。火が通ったら用意していたタレと千切り生姜を入れて蓋をして煮込んでいきましょう。」


使った調理器具を片付けたあと、できたでご飯をマジックバックから取り出し丼に盛る。

あとは、胡麻と刻みのりをご飯の上にしいておく。


蓋を開けて、汁を少し飛ばしたら具は完成だ。

あとは、丼に具を盛り、白髪ねぎを添えたら…。


「トド肉の大和煮丼の完成です!」

多少の臭みは残ってるとはいえ、最初の頃と比べたら雲泥の差だ。


<大和煮って旨いよねー>

<大和煮丼ってまたチョイスが渋いw>

<酒が飲めるなら、絶対あうやつだわ>


「ではでは…いただきます!」

肉の塊をパクリッ、硬かった肉も圧力なべでホロっと、脂がジュワ―っと口の中で溶ける。

多少の獣臭さもこれはこれで悪くない。

味もしっかりしみこんでいて、胡麻のプチっと食感が入った米との相性がいい。

いいんだが……。


「んー…これは…じゃん金色のやつ(ノンアルコール)」

パカッと蓋を開けてグイっと飲むとシュワシュワの炭酸が体の中ではじけていく。


「くぁー!!!この獣臭さやっぱりビールが合いますね!米もいいけどこれは絶対酒がいい。普通に焼いたら強烈な酒を求めましたが…、この状態だとビールやハイボールでガッツリいきたいですね。肉に白髪ねぎを乗せて…」

パクリッ


少しピリ辛の白髪ねぎと、タレの味を吸った油と肉の旨味が口の中で相乗効果を生んでいる。

野菜も肉の旨味を吸っててこれだけで酒が飲めそうだ。

<なんだろう…トド肉なのにトド肉じゃない感>

<なんかめっちゃ旨そうなんだけど…>

<普通に飯くってるだけなのに旨そうだ…缶詰買うか>

<残念、Konozamaは売り切れだ>

<【666円】絶許!絶許!絶許!>

<絶許氏も嘆いておられるぞ!>

<ただ…缶詰のトド肉を食べて絶望するオチまでが見えた>

<そうだよな…あの肉肉しい感があるから出せる旨さっぽいよな>

<とりあえず豚の角煮に千切り生姜入れてパンチ増し増しにしてみたんが…それっぽい感があるかも?>

<なるほど、なんかに似てると思ったら角煮だったか。角煮丼…いいな>


「何か物足りないような…あっ!」

マジックバックから卵を取り出し、パカッと割って丼に乗せる。


<お…温泉卵…だと?>

<かずやん…それ以上はいけない>


温泉卵を割るとドロリとした黄身が姿を現す、その黄身を肉にたっぷりつけて…パクリッ。


「んー!!獣臭さがめちゃくちゃマイルドになって、これはヤバい」

そのあとは無言になって肉、米、肉、野菜、米をローテーションして掻っ込んだ。

最後に…金色のヤツを一滴残らず飲み干すとふぅっと息を吐いた。


「はぁー美味しかった。ごちそうさまでした」

<半熟煮卵もいいけど、温泉卵も絶対旨いやつだよな…>

<今回は大和煮って味濃そうだから、丁度よかったのかもしれない>


「さて…ご飯も食べたので、ちょっと休憩しますね!30分後に配信を再開します!」

<おつー!>

<急いで飯食ってこないと!>

<昼飯は豚の角煮だな!>

<トド肉…はスーパーで売ってないよな?>


配信を止めて、食後のコーヒーを入れたので少し休憩を入れるのであった。


―――――――――――

「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!


本作をメインに書こうと思ってたんですが…気付いたら新作を書いてました。

もし興味があれば読んでみてください。


クセ強い肉料理の後は普通の料理を作りたいなー…って思うわけです


次のモンスターどうするかなー…

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