第108話 納会(3)
次に取り出したるのは…首が7本生えた蛇。
「蛇と言えば、味は鳥っぽいとも魚っぽいとも、その中間ぐらいとも言われていて、結構淡白なので味付けに左右されるようですね。
とりあえず…蛇を食べる機会はなかったので…今回は普段作らない料理を作ってみようと思います。
まず蛇の皮をはいで、出汁が取れる太い中骨を取り除きます。
中骨を取るのはハサミを使うとよいかもです。
身には細い骨が無数にあるので骨を断ち切るように粗目のミンチにしておくことで、骨っぽさを感じさせないようにしておきましょう。
蛇のミンチ肉とダンタマを粗みじんにしたものを炒めて、そこに塩と胡椒、ニンニクのすりおろし、クミン、ジンジャーパウダー、あとコリアンダーとチリペッパーを加えたら肉と野菜の水分を飛ばすように炒めます。
炒め終わったら、少しバットに広げて冷ませば具の完成です。
冷ましている間に、春巻きの皮の下準備をしましょう。
っても、春巻きの皮を縦に四等分にするだけなんですけどね。
あとは四等分した春巻きの皮の端に具を乗せて三角形になるように包んでいきます。
ひき肉の具のみのものや、チーズを入れたもの、ほかにアボカドを入れたものを用意すると味のレパートリーが生まれていいですよ。
一口サイズの三角形がいくつも作り終えたら、170度の油で揚げていきます。
具は火が通ってたり生で食べられる食材がメインなので、皮がきつね色になれば完成です。」
<なにこの料理?>
<見たことないな>
<肉に結構スパイス効かせてるように見えたけど…>
「モロッコ風ブリワットの完成です!本家はワルカで包むんですが、流石に近所で手に入らないので春巻きの皮で代用したものになります。チーズと砕いたアーモンドとか、エビアボカドとか具はアレンジし放題で、おかずにもおやつにもなったりします。今回は酒の肴として香辛料を効かせて作ってみました」
<ブリワット…>
<聞いたことないな>
<でもスパイス効いてビールが進みそうだな…>
<カレー粉とかオールスパイス入れても美味しそう>
<サイズも大きすぎないから、こういう集まりには丁度よさそうかも>
「香辛料の匂いがいい感じで美味しそうっすね!出来立てをいただくっすよ!」
一つ手に取ってパクっと食べるはじめ。ブリワットのいいところは素手で気軽につまめるところだ。
「春巻きの皮をミルフィーユみたいにしてるから、ぱりぱり食感がすごいっす!中の肉もスパイスが効いてて…ビール!これはビールっすよ!」
グビグビビールを飲んでア”ーッ!!と叫ぶはじめ。
「ちなみにだが…レモンを絞ればまた一段と違った感じに仕上がるぞ?」
「まじっすか!?試してみるっす…あー!からあげレモンみたいに味が引き締まってめちゃくちゃ旨いっす!」
俺も一つ食べてみる。俺が食べたのはひき肉にアボカドが入ったブリワットだった。
サクサクの春巻きの皮の食感に、スパイスの効いた肉の味がガツンと来る。アボカドのねっとり感とバター感が合わさって濃厚で旨い。
肉は淡白だが鳥と魚を合わせた味わいで調味料がしっかり絡んでるし、骨は粗みじんにすることで、軟骨を食べた時のようなコリっとした食感が加わっていた。
軟骨入りつくねをもし春巻きの皮で揚げた場合、油x油でジューシーには仕上がるが油っぽさが強調されて何個も食べたり、アボカドと合わせるとくどくなりそうだが、この蛇肉は淡白なのでそういう心配はなく何個でも食べられそうだ。
「これ、美味しいですね。肉自体に味がしっかりついているのと、ダンタマが合わさって淡白だけどパサついた感じにはなってなくて何個も食べられそうです」
三鷹さんが一つ食べて、ノンアルコールビールを飲んでいた。
今日もこの後運転する必要があるとかで、アルコールは控えているようだ。
<うーん…気になって春巻き買ってきたが…これは全然別物の料理なんだろうな…>
<今から作るのはしんどいけど…試してみるか>
<モンゴル料理やってるところはどこだ!?>
<モンゴルじゃなくてモロッコな?>
<モロッコ…タジン鍋もそうだが、色々な料理がありそうだな>
<【10,000円】かずやんが多国籍料理を作り始めるなんて…いいぞもっとやれ>
まあ初めての蛇料理だったが…なかなか悪くない仕上がりだ。
そしてせっかく煽られたしもう一品ぐらい蛇料理を試しに作ってみるか…。
スープ系の料理も作ってみたいが、鍋系の料理も作ったし今回はやめておこう。
唐揚げも揚げ物の連続になるし…
「次の料理は…鱧みたいに骨を断ち切りながら身をぶつ切りにしたら片栗粉を軽くまぶしておきます。
パプリカを乱切りに、ダンタマをくし切りにしておきます。
あとはレモングラスとニンニクをみじん切りに、辛いと酒が進むので鷹の爪を一本を種を取り除いて薄切りにしたら下準備は完了です。
あとは…油とレモングラス、ニンニクと鷹の爪をフライパンに入れて火にかけて香りを移します。
香りがたってきたら、蛇肉を入れて焼き目を付けましょう。
きつね色になってきたら、パプリカを加えて火を通したらナンプラーに、オイスターソースで味を付けつつちょっと甘めに砂糖を入れます。時間があったら肉を漬け込んで下味をつけると良いですよ。最後にダンタマを加えてサッと火をとおしたら完成です!ベトナム風レモングラス炒めです!」
<全く味の想像ができないwww>
<こういう料理旨そうだよね!>
<これは…ビールなんかな?>
「これはビールと合うと思いますよー!…たぶん」
「ふむ…蛇か。ダンジョンで焼いて食べることはあるが…少しいただいてもいいか?」
「ぜひぜひ!」
そういうと、武蔵境さんが皿によそい肉とパプリカとダンタマを一緒に食べる。
「ふむ…ナンプラーとオイスターソースの旨みが肉に絡んでて旨いな。ダンタマの食感とみずみずしさがまた良い。あとはレモンピールが爽やかな後味がまたおもしろい。サッパリしたビールが合いそうだ。しかし…ダンジョンで食べる蛇はなんというか炭の味しかしないが、料理次第でここまで化けるとは…料理というものは奥が深い」
それはただ単に焼きすぎなだけでは…とは口が裂けても言えない。
「口にあいましたか?」
「ああ、普段食べ慣れない味ではあるが…旨い。塩を振って焼く以外の料理を覚えると、探索が楽しめるかもしれないと思ったぐらいだ」
<武蔵境氏、ダンジョンでは塩振ってモンスターを食している( ..)φメモメモ>
<料理に目覚める武蔵境さん…想像つかねーww>
<【666円】「絶許」ぜ・・・!!>
<ぜ、絶許氏…>
<そこで止まるのかw>
<そんな絶許氏は見たくない!>
<いやいや…絶許氏はここからだ!>
<【666円】「絶許」絶許!絶許!絶許!>
<まじパネェ!>
<うん、うへへへ。言った、言った、絶許氏が言ったー!いやっふぉー!>
ウララが立ったみたいに…言うなよ…。
自分で作った料理を食べて、酒を飲む。
たまにこういう料理を作るのも悪くないな。
ワイワイ、ガヤガヤしながら、自分が作った料理を食べて楽しんでくれている光景を見て頬が緩んだ。
「なあ…かずやん。俺に料理を教えてくれないか?」
顔の緩みが…一瞬で真顔になるのであった。
―――――――――――
「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!
あれ…次回かずやん飯作らない?
今回普段と違った料理を書いてみたいなーっと思って書いてみました。
ネパール料理のモモみたいなスパイスの効いた料理、結構好きなんですよー
といいつつ、ほどほどでいきたいと思います!
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