第106話 納会(1)

連絡先は知らなかったので、神田さんにダメ元で連絡してみたら…たまたま予定があったとのことで来てくれたらしい。


「えっ、本当に来てくれたんですか。こんな遠いところにありがとうございます」

「かまわない、SSSランク昇格おめでとう」

「いやいや…武蔵境さんもSSSランクに昇格しましたよね?」

「こうなると…軽く手合わせ…」

「ダ・メ・で・す・よ!」

ズイッと神田さんが登場する。

「戦闘民族じゃあるまいし、出会いがしらの挨拶に戦闘を始めようとしないでください!」

恐ろしいぐらいの圧が武蔵境さんに向けられる。

「す、すまない。つい滾りそうになってな…ああ、そうだ、これは手土産だ。つい最近まで新宿にいたんでな。食後のデザートでみんなで食べてほしい」

話題を変えた武蔵境さんから手渡された手土産を見る。

おっ、これは宗一郎のバームクーヘンじゃないか!?ねりん家とか、ユアハイムと有名どころはあるがほど良い硬さとしっとりさのバランスが良くて個人的にはここのバームクーヘンが好きだったりする。

「ありがとうございます!食後にみんなで食べたいと思います」


「うぉー…すげぇ…国内2人しかいないSSSランクが勢ぞろい。どんな豪華な集まりなんだよ…」

パンプキンのリーダー浦和が感嘆の声を上げていた。


「かずやんもまた一回り強くなっているが…武蔵境さん…これは…一体」

四ツ谷さんはこちらを見ながらぽつりと漏らす。

何かあったのだろうか?



「あー…ちなみになんですが、これから配信を始めるんですが、顔出しNGな人はいますか?」

「「「大丈夫でーす(っす)(だ)!」」」

ここまで人数がいると語尾の洪水だな。


「では…配信を開始します!」

配信を開始する。


「皆さんこんにちはー!」

<こんー!>

<キタ――(゚∀゚)――!!>

<まってた!>

<こんちゃー!>

<こんにちはー!>

<【8,989円】今日の配信なにー?>


「今回はサブチャンネルで料理配信をしていきたいと思います!そしてですね…今回は年末配信ということでいろいろな方に来てもらってます!」

<姫降臨!>

<えっ…>

<はっ…>

<姫降臨!>

<まじっ…>

<姫っちゃんキタ――(゚∀゚)――!!>

<うそやんっ…>

<武蔵境さんがいる!!??>

<姫っちゃんキタ――(゚∀゚)――!!>

<パンプキンだー!>

<めちゃくちゃ参加者が豪華w>

<神田さんもいたー!>

<はじめちゃんちーっす!>

<あれ?四ツ谷局長じゃね?>

<まじかよ…ギルドと探索者のトップが集まる配信って…マジでぶっ飛んでるw>

<サブチャンネルの登録者数500万人突破おめでとー!>

<メインチャンネルも2,000万人突破って…ハイペースで増えすぎw少し前に1000万突破したレベルじゃなかったっけ?>


今回来てもらった人に対してのコメントが一気に流れる。

武蔵境さんに対してはこの後も驚きのコメントが止まらない。気持ちはわかる俺もまさか!?ってなったぐらいだしね。


あとはメインチャンネルの登録者数は、海外の登録者数が急増したみたいで短期間で1000万人増となった。

深層の無料配信というのが他国でも珍しいらしい、自動翻訳で日本語のように見えているが、海外視聴者のスパチャの比率も高くなっていた。

シンデレラボーイとか、ミスタークレイジーとか、モンスターイーターとか色々呼ばれているようだ…何だろうどれもうれしくない。

そうは思いつつも、飯の準備だ。

「今回は、前回捕まえた魚のモンスターを事前に三枚おろしした半身を事前にピタットで包んで下準備しておいたものを使って前菜を作っていこうと思います。ちなみにほかの魚料理は編集ができ次第、投稿するのでお楽しみにしてください!」

っていうところに…圧を感じるっすねー」

「…気のせいだ。500万人の視聴者が待ってるぞ!」

「タメとダメ押しっす!横暴っす!」

<夫婦漫才かw>

<【50,000円】編集まってるよーはじめちゃんw>

<【50,000円】乗るしかないこのビックウェーブに!>

<【10,000円】先払いのお年玉やで?>

「ぎゃー!!やめるっす!期待が重いっす!!」

わーぎゃー叫びながらスパチャラッシュを受けるはじめを横目に、ピタットの包みを剥がして身を取り出した。


「前菜なんで、半分は刺身、もう半部カルパッチョにしたいと思います」

<あれ?先出しでメニュー言っちゃった?>

<たしかに…後だしスタイルじゃないのか?>

「流石に、刺身もカルパッチョも即わかっちゃいそうですからね。最初だけですよ?」

刺身包丁を取り出し、柵取りする。

刺身は気持ち厚めに、カルパッチョは薄く身を切る。

器に竹の葉を置いて、その上に切り身を並べた後、生わさびをすりおろして添えたら…刺身の完成!

次に事前に水にさらして辛味を抜いたダンタマを取り出しておき、お皿に薄く切った身を並べたら中央にダンタマをセットする。

味付けにピンク塩とこしょうを掛けて、オリーブオイルとレモン果汁、すりおろしたニンニクを混ぜたソースを回し掛けたらカルパッチョの完成だ。

ピンク塩がなければ普通の塩でも全然いいし、ニンニクが苦手だったら抜いても問題ない。

酸味が強いのが苦手だったらレモン果汁にみかん果汁を混ぜてやるとマイルドになって食べやすかったりするので試してみてほしい。


「はい、二品で来たので…まずは乾杯したいと思います!」

普段は金色のヤツスタートだが、年末の一杯ということでYUHI提供のシャンパンを開けることにした。

刺身を食べたい人向けに、日本酒と白ワインも準備しておく。


「では乾杯しますので、視聴者の皆さんも良ければ、ここにいる皆にもグラスが行き渡ったと思うので…今年もありがとうございました!かんばーい!!」

「「「「「「かんぱーい(っす)!!」」」」」」


―――――――――――

年明け早々、色々ありました。

今回の地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。


阪神淡路大震災、東日本大震災を身近で経験してきた過去もあり

他人事とは思えず…Yahoo!基金を通して少ないですが募金をさせていただきました。



更新の期間が少し開いてしまいすみません。

仕事始めや家族サービス、空いた時間は積読消化をしていました。

読む量より買う量が増えてしまっているので、しばらく読むメインの活動になるかもしれません(現在、プロジェクトシン・エヴァンゲリオンを読んでますが…面白いですね)


「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!


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