第105話 時間の掛かる料理を作りきった

魚みたいなモンスターをマジックバックから取り出し、動画撮影を開始した。


「魚と言えば…海付近にあるダンジョンは中層のフロアボスがミノタウロスじゃないみたいですね。

魚やタコっぽいモンスターというのも興味があるので、また次の機会に挑んでみたいと思います。


魚を三枚おろしにして、半身はピタットで包む、こうしておくと後々の工程でいい感じに水分が抜けて魚の旨みが引き出されるんですよね。

このピタッとで包んだ身は別の配信で利用しますね。

今回利用するのは魚のあら、と身ですねこちらを使って料理をしていきたいと思います。


まず最初に、あらを使った料理をしていきたいと思います。

今回使用する頭…これかなり大きいサイズですね…一先ず頭は半分に割っておいて血を洗います。


血を流せたら、カマと頭を分割して、さらにぶつ切りにしておきます。

生臭さを取るために塩をサッと振ってこの状態でしばらく置いておきます。


その間に、クリスタルダイコンを輪切りにして、面取りしたら、味シミように十字に切れ込みを入れて、水一杯に張った鍋に入れて水の状態から火を入れていきます。

米汁で茹でるといいっていう話もあったりしますが、今の大根そこまで臭くないので水で下茹でするだけで十分だと個人的には思ってます。


時短のために、ここでは圧力なべに火を入れつつ、たっぷりのお湯を沸かしておきます。

イイ感じに加圧できたら、しばらく置いておいて…。


沸いたお湯をぶつ切りにしたアラにぶっかけて塩を洗い流しつつ、霜降りにしましょう。

表面の色が変わったら、冷水とって鱗と残りの血の汚れをぬぐいます。


さて…大根とアラの下ごしらえが終わったので味付けしていきます。


アラと水と気持ち多めのお酒に、輪切りにしたショウガを入れて水を沸騰させます。

こうすると、さらに魚臭さを抜くことができます。

そして沸騰してきたら弱火にして、魚からでたアクを取ったら、大根と砂糖、みりん、しょうゆの順に入れて落としぶたをしてしばらく煮込みましょう」



さて、10分ぐらい煮込む間に使った調理器具を洗ったり片付けていく。

連続して料理する場合、気を付けたいのは使った料理器具をそのままにしてしまうことだ。

使いたいときに使いたい調理器具が使えなくなってしまう。

そうなるだけで、料理の幅が狭まってしまうので、空いた時間は片づけを済ませることにしているのだ。


そして…。

「あらを使ったので、もう一品、サクッとこの魚の身を使って料理をしてきます。

フライパンに水、酒、みりんと醤油、あと紫蘇梅を加えて軽く煮立たせたら魚の切り身を入れて軽く煮立たせます。

最後に中火で煮汁をかけながら味を絡めて、ほど良く煮汁が減ってきたら…完成です!」


さっきのアラもいい塩梅に仕上がってきたので、二品同時に完成だ。

出来上がった二品の料理を容器によそって、カメラで物撮りを実施する。


「一品目はアラ大根、二品目は梅煮ですね。

アラ大根は魚の旨味を大根が十分に吸って噛めばジュワっと魚の旨みがあふれだして良い感じです。

これは大根がメインで、魚がサブといっても間違いじゃないように思います。

梅煮は青魚系、脂ののったサバやイワシを使うと良いと思います。

普通の白梅でもいいんですが、個人的には紫蘇漬けの梅が合うと思ってます。

白梅で作って大葉を載せてやれば爽やかに仕上がるので、正直好みの問題かもしれないですね。

梅の身を崩してもいいですが、個人的にはそのまま入れてじっくり煮込んだ後の梅をかじるのが好きなんですよね」

日本酒を飲みたくなるのをぐっと我慢する、いやこの際、白米でもいい。

どちらにせよ、飲んだり食べたりすると後に響くので…我慢だ…。


一日に何品も作る場合、辛いのはガッツきたい欲望を我慢しないといけないことだ。

だがそれも…そろそろ限界かもしれない。


時計を見ると時刻は13時を回り、そろそろ昼の配信を始めても良いかもしれない。

録画をしているから、息をひそめてくれているが、はじめも国立さんも仕事を終えてこちらを見ている。


「では、今回の料理も良かったら試してみてくださいね!」

そう言って録画を止めた。


「パイセン…もう…もう…お腹がすきすぎたっす…」

「いい匂いが部屋中に充満してて…ほとんど仕事が手につかず…テロでしたよ…」

ジト目の二人がこちらを見る。


「すまんな…つい飯を作るつもりが、色々作りたくなって気付いたら何品も作ってしまっていた」

「まあ…録画もしていたみたいっすから、いいっすけど…まあ、この後色々な料理とお酒を楽しめそうっすしね!」

「他にも人は来られるんですか?」


「あぁ…これる人たちは昼過ぎに来るって言ってたから…そろそろ来ると思うんだけど…どうだろう?」

とりあえず…酒も今回は色々用意している。

赤は北海道産のピノ・ノワールを使った余市ピノ・ノワールを、白は山梨甲州のシャルドネの白を用意してみた。

ワインと言えばイタリアやフランスが有名ではあるが、最近はチリワインの価格の安さとクオリティの高さにも驚かされる。

ただ、最近の国産のワインも価格帯は様々だが、どれも飲んでいて美味しいと思うぐらいクオリティが高くなってきている。

せっかくなので今回は日本のワインをチョイスしてみた。

あとは日本酒だな。

今回はくるま坂の山廃純米大吟醸をチョイスしてみた。

ひやと熱燗の二パターンを用意して、料理によって飲み分けてもらえればと思っている。

ビールはいつもの金色のやつ、これはスポンサーから提供してもらっている品だ。

いつも飲んでるから今更別のビールを飲むという気にはならないんだよね…。


「遅くなりましたー師匠ー!」

「いつもお世話になっております」

元気の良い声が聞こえてきた。

「今回もお呼びいただきありがとうございます」

「自分たちも…いいんですか?」

姫っちゃんをはじめ、三鷹さん、神田さん…の後ろに四ツ谷さん!?

そして今回はパンプキンの面々と…。


「場違い感があるが…俺もいいのか?」

といいつつ、亮も来てくれた。


「ふむ…こういう場に呼ばれることは滅多にないが、年の瀬の挨拶ぐらいはしておこう」

…えっ?まじ?武蔵境さんがきてくれた…だと?


―――――――――――

あけましておめでとうございます!

本年もよろしくお願いいたします。


本当は年末に投稿するか悩んだんですが…

2話仕上げることができなかったので年始の挨拶として投稿します!


日本のワインも美味しいですよねー…

ウィスキー沼にもハマってるので、ウィスキーも取り上げたいんですが…

ロックと合わせる食事っていうのが思いつかず…

ハイボールにするとビールが霞んじゃうんですよね…

ハイカラは…至高ですよ?(異論は認めます)


「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!

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