第101話 深層のフロアボス(2)

…最後の一体の魚のような見た目のモンスターを一撃で沈めて、唖然としているティアマトに再び大太刀を向けた。

大丈夫、大丈夫…話抜けはしてないですよ?


軽く回想するとすれば、サソリっぽい見た目の奴や、ミノタウロスに後光の差したような奴、グリフォンの部位を逆転させたような奴や、大きい犬や獅子や蛇、あと首が七本生えた蛇とか、ティアマトの劣化版とか、モフモフした奴とか…

なんか色々なモンスターが登場したが、なんというか…そこはあれだ、ティアマトが呼び出したモンスター。


ティアマトより強いわけもなく…大太刀を振るうだけでほぼほぼ一掃してしまった。

もう少し耐えてくれたならば…尺も稼げたかもしれないが…。

ただ、ピチピチ跳ねるぐらいしかしてなかった魚っぽいモンスターだけは仕留めそこなったので、そこで冒頭に戻るわけだ。


本来、ここまで数が多いと多勢に無勢なんて言葉はあるにはあるが…弱い相手が連携もまとも出来ていなくて、ただただ襲い掛かってこようとするだけだったので…戦闘にすらならなかった。


「あと…1,000匹ほど召喚できるようになってから出直してくるんだ…な!」

大太刀を力任せに振り回す、何が起きたか理解できずポカンとしたティアマト。


ブシュー!っとバーサークを解除し、短刀を鞘に収めた。


「ガァアアアアー!!」

こちらが何もしてこないことがわかったからか、それとも手を抜かれたと勘違いして逆上したのか…

隙だらけの俺に襲い掛かろうとする…が――


「あー…すまないが、もう…切れてるぞ?」

「がぁ?」

ズルリとティアマトの身体が滑り落ちて地面に落ちた。


そして…ピクピクッと痙攣したあと動かなくなった。


<本来、モンスターが召喚されたタイミングで、ほとんどの探索者は絶望するレベルだったんだろうな…>

<相手が悪かった>

<【10,000円】か…かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!>

<【50,000円】「パンプキン」やっぱりかずやん最強ですね!>

<【30,000円】かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!>

<【10,000円】面白かったです!>

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<【3,000円】ついにかずやんも世界のかずやんになるときが来たのか!>

<【50,000円】「姫っちゃん」いつも以上にヤバかったです!>

<たしかに…ぶっ飛びすぎw>


「スパチャありがとうございます!」

そう言いながら、モザイクを入れて解体作業を開始した。

今回はフロアボスだけでなく、色々なジャンルの食材が一度にまとめて手に入ったので解体に大忙し、その分後々が楽しみだ。

ティアマトの肉はフェンリル同様光ってるので、この配信で食べるしかないが、モブ食材に関してはそんなことはかったので、別枠の料理配信で使えそうだ。


「うーん…全く味が想像つかないので、何を作りましょうかね?」

そう竜なんて調理したことがないので味のイメージができないでいる。

鳥、豚、牛…それぞれの肉にあう料理はたくさんあるわけだが…まったく味がわからないと方向性に悩む。

オリジナルスパイスを使えばハズレはないが……。


「うんっ…!食べたいものが決まりました!」

<【8,989円】今日の料理はなにー?>

<竜で何を作るんだ!?>

<全く味の想像ができない>


マジックバックから七輪、小葱と、醤油とみりん、料理酒と砂糖を取り出しておく。

「さて、調理を始めますよ!

七輪に炭を入れて火をつけて、フライパンにみりんと料理酒を入れて、アルコールを飛ばしておきましょう。

次に砂糖と醤油をいれて後は火加減に注意しながら煮詰めて少しトロっとしてきたら…タレの完成です。


タレは少し冷ましておきましょう。

その間に、ティアマトの尻尾を取り出して、鱗をはぎ取ったら半分に割って骨を抜いていきます。

ほう…魚みたいに小さい骨はなさそうですね。とりあえず目についた骨を抜いたら等間隔に金串を指していきましょう。

これをもう一つ同じ要領でつくって、金串に刺した切り身を二つ用意します。

片方に塩を振ったら…下準備は完了です。


今回はですね…見てのとおりですが、炭火を使った料理をしていきたいと思います!」

<炭火料理ってなんであんなに旨いんだろうね!>

<家だと中々できないから裏山>

<炭火の香ばしい香りとタレごはんで飯何杯もいけそうw>


「ですよね!炭火って食欲を刺激しますよねー!


さて、網を使うと身が網に張り付いてしまいそうなので、七輪の両端にレンガを乗せて火と距離を置けるようにしたら、皮目を下にしてティアマトの身を焼いていきます。」


少しするとジュッっと余分な油が溶けだし、七輪に落ちる。

炭の焼ける音が心地よいが、油で火の勢いが増すので火が入りすぎないように注意しつつ、塩を振ってない方にはタレを付けてひっくり返して、身のほうを焼いていく。

一回程度では中まで火は通らないので、表裏をひっくり返しタレを付けて焼くが、火加減が難しく、焼きに集中しすぎて無言になってしまった。


じっくり丁寧に何度も何度も繰り返していくうちに、タレの香ばしい匂いが腹にダイレクトに効いてくる。


塩のみ振った身には焼くときに軽く日本酒を振りかけて、裏表をじっくり焼いていく。


皮目がパリッと、身はふっくらと仕上がってきたら七輪から引き揚げて、金串を抜いたら…完成だ。


―――――――――――

「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!


さて…ようやく料理回!

いやー…書き終わったら4000文字を軽くオーバーしてました

流石に読みにくいので、今日明日2話でお届けします!

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