第96話 ミュート推奨
数日休んだ後、SSSランクの昇格の発表もあってしばらく仕事に追われる日々が続いた。
そうして疲弊し続けていたが、国立さんとはじめが通常業務以外の消化を手伝ってくれたこともあって、なんとか日常が戻ってきた。
「さて…ようやく配信ができるぞ!」
何日ぶりだ?今日は深層まであるダンジョンに来ていた。
未踏破ダンジョンということで、どういうモンスターが待ち受けているかは未知数だが、強くなった自分を試したいという気持ちで気分が高揚している。
「皆さん!おひさしぶりです!」
<こん>
<待ってた!>
<こんちゃー!>
<かずやん…SSSランクおめー!>
<マジでかずやんSSSランクになっちまったよ!>
<こんちゃーっす!>
<かずやんこんちゃー!>
<今日も深層>
<【8,989円】今日の配信なにー?>
「今日の配信は…深層の配信を行っていきたいと思います!正直ダンジョンに関する情報がなさ過ぎて、どういう絵になるかわからないんですがよろしくお願いします!」
<よろー!>
<未踏破ダンジョンに挑むかずやんパネェ!>
<【20,000円】深層を無料配信とかマジでヤバい>
<【50,000円】深層の情報料の前渡し>
<【5,000円】かずやんの動画を見ないと生きていけない…>
<ほかの配信者と一線を画すよなー>
<ほかの配信者も面白いけど、かずやんはマジの戦闘だからな…>
<緊張感は仕事してないけどw>
「ハイハイ…ではサクッと下層まで行きますね!あ…あと今回から武器を使うことにしました」
<鬼に金棒キタ――(゚∀゚)――!!>
<圧倒的火力に燃料投下w>
<マジかよ…ヌルゲーにならん?>
<まあでもそれはそれでありかも?>
「はい…ここにいるのはミノタウロスです。そして…」
スッっと鞘から短刀を引き抜き…そして鞘に戻した。
「終わりました」
<えっ?>
<はっ?>
<なに言ってんだ?>
<マジで?>
ミノタウロスが俺を敵を認識して動こうとするが、腕を振り上げたところで遅れて身体がズルっと落ちる…。
<マジかよ…切られたことに気付いてないって…>
<腕を振り上げてバランスが崩れたのか…>
<一撃がエグイ…>
<いやこれではもう驚かない自分がいる>
<前は体当たりで倒してたからな…>
「では、素材は回収しつつ…次々行きますよ!」
今回の下層はダンジョン型だ。
ということは深層もダンジョン型ということになる。
下層に足を踏み入れると、ダンジョンのいたるところに蜘蛛の巣が張られている。
どうやら…蜘蛛系のモンスターがこのフロアにいるようだ。
「蜘蛛嫌いなんですよね…。蜘蛛というより虫系モンスターは食べたくないし結構見た目もグロテスクなんですよね」
地面が所々えぐれていることから、どうやら…このフロア虫系モンスターがうじゃうじゃいそうで気が滅入る。
「あー…見てください。あの黒々とした背を…」
壁一面にビッシリと張り付いているそれは…
岩石のような外殻で覆われた虫型モンスターで、ダンジョンのいたるところを硬い前歯を器用に使って堀り進めている。
さっきの地面のえぐれもコイツがやったのだろう。
厄介なのは集団で行動していて、敵を見つけると一斉に襲ってくるという点だ。
案の定、俺の存在を感じ取ったのか、羽を震わせている。
岩石のような外殻ということもあり、周りの羽とぶつかることで、ダンジョン一面に耳をつんざく轟音が鳴り響く。
<俺の耳が死んだ!>
<ミュート推奨!>
<ヤバいって…下層でこれに出会ったら即退避だろ?>
<火系のスキルを使えるなら焼き払うとか?>
<それが出来たら苦労はしないんだよ…あの外殻火にめっちゃ強かったはず、しかも物理攻撃も効きにくいから厄介なんだよ>
短刀に氣を込めて放つ飛んできた岩甲虫を一閃で両断する。
たしかに…以前と異なって斬れたという手ごたえを感じた。
<は?>
<マジかよ。氣で両断できるの?>
<いやいや…普通は無理だって>
<まじかー…かずやんなんか強くなってないか?>
<いやいや、前から下層のモンスターはこんな感じだっただろ?>
打ち漏らしたモンスターは短刀に氣を纏わせて素早く振ることで、粉々にしていった。
「ふぅ…いやー…気持ち悪かったですね」
一通り片付け終わり息をつく。
虫しか出ないってのは…マジで勘弁してくれよ…。
っ!
腕を振るう、刃が何かを切り裂いた。
が…それは糸だった。
―――――――――――
久々のダンジョン回
普通のモンスターを出して…と思ったら虫…
昆虫食は…私には早すぎたんだ・・・
「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます