第95話 SSSランクの昇格(2)

「かずやん…すまないが君の能力を見せてもらった。

この話をする前に、私は探索者としてのスキルを持っていない。

ただ…探索者の能力を可視化してみることができる。

それもあって日本の上位探索者のランク付けを適切に行ってきた」


なんというか…いきなりぶっこんだ話をしてきたものだ。

能力の可視化なんてスキル今まで聞いたことがない。

「前回深層踏破した後にステータスを確認したときは、実績はあるとはいえSSSランクに昇格するにはもう一歩という実力だった。

だが、今回見せてもらうと、全ステータスが3している。

深層を何回踏破したとしても、この短期間にここまでステータスが伸びることなんてあり得ない…かずやん一体何があったんだい?」

四ツ谷の目はするどく、嘘は通じないだろう。

「きっかけになったかはわからないという前提ですが…長老の家で、お酒とジャーキーをいただきました。なんの肉かわかりませんが、お酒はたしか…神酒ソーマと言ってたような…痛みでのたうち回ってたので記憶が曖昧ですが…」

神酒ソーマ神酒ソーマだって!!?長老だったら持っていてもおかしくはないが…深層踏破したての探索者に飲ませるような代物じゃない。神の領域に踏み入れるための酒…下手したらかずやん君は死んでいた可能性があるぞ!?(一体あの組織は何を考えているんだ!?いや長老の独断か?)」

感情に任せドンッと机をたたき、頭をかく四ツ谷さん。

「…すまない。ただジャーキーっていうのも…普通のものではないだろう…良かったよ、かずやんがこうして生きていてくれて…」

椅子に深く腰掛けると息を吐きだした。


「今のかずやんのステータスであれば、深層も十分探索可能だろう。ただ約束してくれ。深層の光る食材は一般人に振舞わないように、研究のために少し貰ったフェンリルの肉の成分を確認したが…一般人の身体では耐えられないはずだ。逆にそれ以外のモンスターはそういう成分がないことを確認したから食べてくれて構わない」

「情報ありがとうございます。食材についても理解しました」


「食材を分析して、どの程度で探索者の力を底上げできるかがわかれば、日本の探索者が頭角を表していけるようになるはずだ。もしよかったら深層の光る食材についても、ギルドに卸してくれると助かるよ」

「わかりました。私も探索者として食べると思いますが…、一人で全部は食べきれないので卸させていただきます」


ドアがノックされる。話は終わりだと四ツ谷さんは入るように伝えた。

神田さんが入ってきて、俺にライセンスを手渡した。

そして、広報とマスコミ対応ということで、写真を撮らせてほしいとのことだった。


「ライセンスが見えるように手で持ってもらってこちらに立ってもらってよいですか?SSSランク誕生の写真を取らせていただきます」

「はい、大丈夫ですよ」

「すまないね。こういう写真をマスコミに渡さないと色々厄介なんだ」


写真を撮り終えると、車を出すから家まで送ってくれるとのことだった。

せっかくなのでお言葉に甘えることにした。


…ふぅ…色々ありすぎて流石に疲れたな。


―――――――――――

次回…配信回!


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