第91話 はじめの実家訪問(8)
う…うん…。
日の光で目を覚ます。
目に入った時計の数字は6時を指していた。
どうやら…酒と肉を食べて飲んだら日をまたぐほど意識を失っていたらしい。
ゆっくりと意識が覚醒していき、色々頭が回り始めてくる。
剛三郎さん…食事と酒に一体何を仕込んだんだ…。
昨日はぶっ倒れるぐらい不調だったが、今は不調というよりは身体から力が溢れてくるような感覚が強く、慣れない感覚に戸惑いつつも身体を起こす。
「すぅ…すぅ…」
俺以外の声が聞こえると思ったら…布団に突っ伏すようにはじめが寝息を立てていた…。
そして俺が起き上がったことで、はじめにも振動が伝わってしまったようだ。
「ん……。あっパイセン起きたっすか!身体は大丈夫っすか?おじいちゃんなんか変なものを飲ませて食わせたみたいっす…体調に異変とかないっすか?」
ずいっと顔を近づけてくるはじめ。
「ち、近いぞ…はじめ」
「あっ…すまんっす」
顔を逸らして、距離をとるはじめ。
「それで…体調は大丈夫そうっすか?」
「ああ…なんか異様にスッキリしたような…なんとも言えないが…体調が悪いとかはなさそうだな…」
軽く腕を回してみるが、普段より身体が軽いように感じる。
「まあ…それなら良かったっす。起きたなら朝食にするっすよー。先に行って準備してくるっすからゆっくりしてから来てくださいっす」
そう言い残してはじめが部屋を出ていった。
「おはよう高円寺くん、いやーすまなかった!すまなかった!まあこうして無事だったんじゃ。結果オーライだな!こうして目を覚ましたんだ。せっかくだ…朝食を済ませたら軽く手合わせしようじゃないか!」
結果オーライって…実はヤバいものだったのか?
「お・じ・い・ちゃん…!反省してないっすね!」
「は、反省はしとるよ…だがな…はじめ。これはどうしても必要なことだったんじゃ」
「必要なことって…必要だからってやっていいことと悪いことがあるっすよ!しかもパイセンは昨日ぶっ倒れたんっすよ?それなのに昨日の今日で…」
「ははは、心配ありがとうは…高尾さん、でも大丈夫。俺も身体を動かしたくて仕方がないんだ…」
うーん、つい呼び間違えそうになるが、ただ…身体を動かしたいのは本当だ。
浮足立った感を感じる中で、いきなりダンジョンで試運転するよりは、剛三郎さんと手合わせさせてもらったほうが良い気がしていた。
「これだから脳筋どもは…」
ため息をつくはじめ、どうやらあきらめムードのようだ。
「すまんな」
「まーいいっすよ。ただ無茶はしちゃだめっすよ?昨日ぶっ倒れたのにまたぶっ倒れたらシャレにならないっす」
そして朝食を済ませた後、はじめはまだ仕事が残っているから仕事に向かうとのことだった。
仕事に行くついでに国立さんに今日は休むということを伝えておいてくれというと、めんどくさそうな顔をしつつも渋々了承し、そのままはじめはそのまま家を後にした。
―――――――――――
えっ?イベント?何も起きないですよ?
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