第90話 はじめの実家訪問(7)
「さて…高円寺くん。せっかく来てくれたんだ。どうだね一杯?」
昼食を食べ終えた後、せっかく遠いところから来てくれたんだ。
休みの日ぐらい昼から飲まないか?と剛三郎さんに誘われた。
「それではいただきます」
「かあさん、あれ…だしてくれるかい?」
「やれやれ…わかりましたよ」
肩をすくめながら剛三郎さんの奥さんが、食後の酒盛りセットを用意してくれた。
用意されたのは何かの肉のジャーキーと徳利とおちょこが二つ。
中の酒が日本酒だとしたら、肴はちょっと合わないようにも感じるが…。
「武蔵境にもこうやって振舞ってやったなー。あいつは下戸だから無理やり飲ませてやったが…飲んでもトコトン不愛想だからいけねぇー」
それってアルハラってやつじゃ…と思ったが、おちょこに酒を注がれたので考えを中断、そして…。
「じゃあ、これからも…よろしく頼むよ」
おちょこで乾杯、そしてグイっと飲み干す。
「飲んだことのないお酒ですね」
今まで飲んだお酒のどれにも当てはまらないハーブなどが複雑に混ざり合った風味と後味、アルコール度数が高いのか喉を焼いた後、全身を一気に熱くする。
「酒を飲んだら、このジャーキーを食いな」
進められるままにジャーキーを食べる。
しっとりとした肉噛むたびに旨みがあふれ出る、後味にピリッっと香辛料が効いていてこれは酒に合うなと思った。
「この組み合わせいいですn…」
「そうだろう?まあ…荒療治だがな。器を広げてやるにはこれが一番手っ取り早い。」
剛三郎さんがニヤリと笑いながら酒をあおり、ジャーキーを口にする。
急に何を言ってるんだ?そう思ったときにはぐらりっ視界が揺れるアルコールが回った感覚とは程遠く。
「ガァアア!!!」
遅れて全身に激しい痛みが身体を襲う。
フェンリル戦後の回復の時と比較にならず…声にならなず、その場でもがき苦しむ。
「パ、パイセン!?お、おじいちゃん…な、なんなんっすか!毒を食わせたんっすか!?」
はじめが慌てふためている。
どうやら何も知らなかったらしい…。
「ニーチェって野郎は面白い名言を残したもんだ。
『自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。』
…
今高円寺くんの肉体は己の器を広げるために破壊と再生を繰り返していることだろう。
…肉体を破壊してるから名言とは異なるのか?まあ些細な事だな!
SSSランクに近い君の実力なら耐えられる…はずじゃ…多分…いやきっと。
だ、大丈夫じゃよな?うーん…とりあえず…今日は泊っていきなさい」
どっちなんだい!と激痛のなか声にならないツッコミを入れつつ…。
もがき苦しむ俺の精神力は限界に達して…意識を失った。
―――――――――――
ジャンプ流に修行シーンは省く風潮がありますが…
かずやん意識飛ばすこと多くなったな(棒)
「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!
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