第85話 はじめの実家訪問(2)

応接間に案内されて席に座る。


しばらくして、剛三郎さんがお茶とお茶請けをお盆に乗せて持ってきた。


「すまないね。こんなものしか出せなくて、あとお土産もありがとう」

先ほどドタバタしてしまったが、最後に手土産を渡すことができた。


「いえいえ、つまらないものですが…、またお茶のご用意ありがとうございます」


剛三郎さんが席について、ふぅ…っとお茶をひとすすりする。


「さて…今日はわざわざ遠いところからありがとう。今日来てもらったのは君の実力がまっとうなものか確認させてもらいたかったからだ。配信者というのはよくわからないが、長く続けていくというならば探索者として十分な実力を有していないといかんと思っとる、孫娘を路頭に迷わせてしまうかもしれないからね。まー…わしとしてははじめには普通の会社で働いてくれているほうが良かったんだが…」


「あんなブラック企業…どこが普通の会社なんっすか?」

「(ブラック企業だったら根を上げてすぐ家に帰ってくると思ったんじゃ?なのに…なのに!なぜか土日もほとんど休みだし終電よりも全然早くに帰っているようじゃった。それでも十分異常だったが、急に会社を辞めたと思えば元上司のしかも野郎の会社に入るというではないか!?しかも立ち上げ当初は従業員ははじめのみ…配信者?ちゃらんぽらんな仕事だったら打ち首と思ったが…なんというか調べてみると非の打ち所がないホワイト企業顔負けの待遇のようじゃないか…勤め始めてからはじめが実家に帰ってくる頻度心なしか減ってるように感じるし、もしかしたら…ただの社長と従業員という関係じゃない可能性も…あぁ…おじいちゃんはかなしいぞ!!)」

「なにをブツブツ言ってるっすか…」

「ああ…なんでもない。はじめに何かあると思ったならば、あんな会社一捻りだから問題なかったんじゃ!」

「一捻りしちゃだめっすよ…。もう倒産してるっすけど…」



「えと…、そうですね。普通の会社と言われると、ちょっと変わっている事業のため剛三郎さんのおっしゃることはもっともだと思います。

大切なお孫さんをお預けいただいておりますし気になるのは重々理解できます。念のため私についてですが、配信者としては登録者数1,000万人、こちらは国内でも上位に位置しており今も増えています。

は…高尾さんが入社してから動画のクオリティが上がって再生数も右肩上がりで安定しています。

それもあって動画配信だけで従業員に十分な給料を払えています。

またリスクヘッジとして案件対応や、素材の販売による収入もあり、最悪の状況に陥った際の従業員に対する積み立ても行っています。

次に探索者としてですが、自惚れるわけではないですが国内でも数えるだけしかいないSSランク探索者という位置におりますし、つい先日に深層を踏破した実績もあるので、今後はSSSランクを目指して鍛えていきたいと思っています。

確かに一般的な会社とは異なるので不安に思われるかもしれませんが、比較的不安は少ないと思います」

ふむ…と値踏みするかのように剛三郎さんが俺を見る。


年齢は70歳ぐらいだろうか?彫が深い顔立ちに、年齢にそぐわない体つき。

絶対服の下は筋肉隆々だよなーそれもあって普通にこちらを見るだけでも威圧感を感じる。

どうみても…一般人には見えないんだよな…。


―――――――――――

遅筆なので1話あたりの文字数が減るかもしれないですが、

更新頻度は維持したいと思います!

ちょっと模索段階なのでご不便をおかけします…


「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!

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