第82話 最後の晩餐(え?)
ここのポテサラはジャガイモに味玉、細切れのベーコン、あとは塩コショウとマヨネーズにマスタードが少々入っていて濃厚だけど後味がサッパリとしている。
マカロニや玉ねぎ、きゅうりなども入っているとアクセントになっていいが、入ってないとパンチのある一品に仕上がっていてこれがなかなか酒の肴になっていい。
ジャイアントオクトパスは弾力がありつつも、みずみずしく噛めば噛むほど甘みが出てくる。
これがまたわさび醤油とマッチしてうまい。
スライスしたタマネギも添えられていて、あっさん手作りのレモン醤油にオリーブオイル、胡椒の入ったカルパッチョ風の漬けタレを付けて食べるとこれまた旨い!
山賊焼きは焼きというが揚げ料理だ。
にんにく醤油のたれに漬け込んだジャックウルフの胸肉を薄く延ばして、片栗粉をまぶして揚げ焼きしてつくる。
皮をしっかり焼くことで、皮はバリっと、身はジューシーに仕上がってて食感のコントラストが楽しい一品に仕上がっている。
後味にニンニクの風味が広がって…ついついビールに手が伸びていた。
食べては飲んでを繰り返し…ビールが進みすぎてヤバいヤバい。
「くぁー!うまいっすねー!やっぱりあっさんおススメ料理にハズレなしっすよ!」
「おう、そうか!なら…今日は俺のとっておきを考えてたんだがどうする?」
あっさんの目が怪しく光る。
「あー…それはやめとくっす…自分で食ってから出してくれっす」
「そうか…残念だな」
あっさんの表情が悲しげなものに変わったが、はじめは華麗にスルーした。
あっさんのおススメは本当に旨いが、とっておきは当たりとハズレの振れ幅がひどい。
昔の漫画で見たって言って、ゲソにピーナツソースを絡めた料理を出してきたときには戦慄を覚えたものだ。
味?
うん、オモイダシタクナイヨ。
「このだし巻き卵とても美味しいですね!」
持ち込み食材で作るあっさん特製のだし巻き卵。
巻いた卵を箸で割るとドパッと出汁が染み出てくる。
他の店でもここまで出汁感のあるだし巻き卵を食べたことはないし、自分で作っても再現すらできない。
作り方を教えて欲しいと聞いたことはあるが、「企業秘密だ」の一言で教えてもらうことはできなかった。
今回はロック鳥の卵を使ってもらったが、普通の卵でもめちゃくちゃ旨い。
色々食べたので、浅漬けと山芋のわさび醤油漬けを頼んで、ちょっと箸休め。
学生時代は、こってりしたものを食べて、酒で洗い流してができたが今はちょっと箸休めを挟みたくなってしまうようになった。
まだまだ20代なのに年を取ったなー…っと感じてしまう。
「あっさん、今日モツ焼きってある?」
「ん?新鮮なモツが入ってるぞ?」
「じゃあそれを一つ、後そうだな…特製レモンサワーで!」
「あいよ!」
「あっさん!私もレモンサワーをお願いするっす!」
「あっ…私もお願いします!」
「あいよ!レモンサワー3つね!」
ここのレモンサワーはこだわりがあって、レモンの爽やかさと、果肉の酸味と皮のほろ苦さをふんだんに詰め込んだ焼酎ベースのスパークリングレモン酒に追い焼酎をしてアルコール度数を足した後、炭酸水を入れて、最後に塩漬けレモンを一切れ乗せたレモンサワー。
一口飲むとレモンの酸味と、ほんのりとした苦み、そして最後に感じる爽やかさ。
味変の塩漬けレモンがこれまたいい味を出している。
レモンサワーでサッパリとしていたところに、やってきたのはモツ焼きだ。
モツ焼きというが、あっさんの店ではモツを含む色々な部位をぶつ切りにしたものを特性のタレで漬け込んで焼いたものを提供してくれる。
コリコリした食感や、ジューシーなハラミ感、レバーの濃厚な味など食べるごとに異なる感想を引き出してくれるこの一品は食べる楽しみがある。
しかもこのタレがまた良い。一口食べたらまた一口食べたくなるいい塩梅の味付けだ。
この中毒性のあるタレも企業秘密とのことで教えてはもらえなかった。
ちなみに俺はこれに七味を掛けて食べるのが好きだ。
口の中をホルモンの味の濃厚さと七味のピリ辛で満足したところに、レモンサワーで一気にサッパリさせるとマジで箸が止まらなくなる。
「パイセン…これ…まじでウマいっすよ!」
「コリコリとしたこれは…ハツモトですか?あとレバーの濃厚さ…食べる度に違う食感でたまらないです」
どうやらはじめも国立さんも気に入ってくれたようだ。
ホルモンは好きな人は好きだけど、嫌いな人は嫌いだからね。
モツ煮も旨いけど、個人的にはモツ焼きのほうが好きかもしれない。
ただモツ煮と日本酒や焼酎ってこれまた旨いんだよねー…。
こればかりは飲む酒に合わせて頼む一品を検討すればいいと思う。
この後も、色々飲んでは食べて最後に〆のシャーベットを食べてこの日は解散した。
明日は…はじめの実家に挨拶か…。
もちろん仕事の挨拶ですよ?
―――――――――――
卵を割ったら出汁が出るだし巻き卵
昔食べた時は感動しました…
どうやったら作れるんですかねー…
「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!
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