第65話 カニパ(2)

「では皆様!カニパのお供といえば…じゃん金色のヤツ!」


全員にビールを手渡していく、三鷹さんは車で来ているのでノンアルコールビールだ。

「ではでは…カンパーイ!!」

「「「「「カンパーイ(っす)!」」」」」


皆で鍋を囲み皆でカニをしゃぶしゃぶしていく。


「じゃあ…た、食べるっすよ…」

プリっぷりで極太のカニの足にかぶりつくはじめ。

もぐもぐ…目がカッと見開く!


「うーまーいーっす!なんっすかこれ。デカいから大味かもって思ったんっすが、めっちゃ繊細でしかも噛めば噛むほどカニの甘みが口の中に広がるっす。こんなカニ食べたことないっす!たまらんっす!」

「カニ甘くて美味しいですー!口の中でホロホロ溶けていきます」

二人はグビグビッとビールを流し込む。

「カーッこれビールが最高っすー!!最高っす!」

「プハーッ!」


それを横目にしながら髪をかき分けて、神田さんもしゃぶしゃぶしたカニ肉を口に運ぶ。

「あら…本当に美味しいです」

<神田さん食べ方上品>

<神田さんのそこはかとなく漂うエロス>

<はじめちゃんにはない大人の魅力…>

<【5,000円】負けるなはじめちゃん!姫っちゃん!>

<だが…はじめちゃんと姫っちゃんのビール飲むシーン爽快感があっていいー!>

<目の保養すぎる>

<永久保存だ>



食べるシーンにどれだけ需要があるんだよ!?

国立さんも、カニをしゃぶしゃぶして、恐る恐る一口パクリ。

「おいしい!幸せ―」

<【1,000円】ええんやで(ニッコリ>

<くにやんもいい表情や>

<【500円】カニ食いたいー!>

<かに三昧にいる俺、高みの見物>

<くーっ!うらやましい>


男性陣もカニをしゃぶしゃぶして堪能した。

カニの出汁も鍋に溶けただろうから、野菜や豆腐、キノコ類を入れていく。

最後に追いガニすれば…カニ鍋の完成だ!


「サラマンダーの唐揚げをいただこうかな!」

グリルができるまでもう少し時間が掛かりそうなので、唐揚げをいただくことにする。


「外はパリッと、中はジューシーで、鶏肉のような味というのがしっくりくる。

鳥もも肉よりジューシーで、咀嚼すると溢れる肉汁、味も凝縮されていて濃厚…

これは…ビールが合いますねー」

サラマンダーは、ウーパールーパーよりワニの味に近いっと…メモメモ。


っと忘れちゃいけない。

「えーとですね!今回配信の最初に重大発表があるって言ったじゃないですか?」

<言ってた!>

<何?誰と結婚するの?>

<結婚はないって言ってたから、彼女できました宣言!?>

<SSSランク昇格とか?>


えー…皆ハードル上げすぎじゃない…。

「いやー…実はいちむらさんとコラボしまして…この度、かずやん監修のオリジナルスパイスが完成しました!」

じゃん!っとカメラに向かってオリジナルスパイスを映す。

<えっ?マジ?>

<かずやん監修!>

<こだわりポイントは!?>

<確かに重大かも>

<ベクトル違ったけど、どこで売ってるの?>

<味は?>

<これは買うしかない!>


「はい、これ試作に施策を重ねて結構な期間開発に掛かったんですよ。いちむらの皆さんご協力ありがとうございます!味ですね…味は粉末にした燻製醤油と燻製塩をほど良くブレンドした和風の味がベースとなっていて、それに合うスパイスを調合することで、お肉料理や魚料理、スープの隠し味やチャーハンの味付けなど、その他色々な料理に合うようになってます!ちなみに燻製感を表に出したかったのでガーリックは少な目にしてます。例えばこの唐揚げも十分美味しいんですが、このスパイスを振りかけて食べると…」


うーん…燻製の香りが鼻を抜け、元の味を殺さずプラスワンしてくれ味がまとまる。

最後に燻製醤油の出汁感がワンランク上の食べ物に昇華してくれているようだ。


「うん!旨い!そしてビールを流し込む!はーやっぱりうまい!燻製料理が好きな方はぜひ試してみてください!」

<Konozamaで予約できるぞ!>

<マジか!ポチった>

<俺もポチったぞー!>


「ちなみに…これの売れ行きが良かったら…次はガーリックマシマシ悪魔のスパイスも販売予定となってます!皆さんよろしくお願いします!」

<重大発表って、新商品じゃなくて続編のこと含めてかw>

<でも普通に買うでしょ>

<商売上手かw>

<スパチャ代わりにポチったー!>


俺は燻製好きだけど、やっぱり結構クセ強めだから人を選ぶ調味料なんだよね…。

でもいちむらのスパイスと比較すると、普通のオリジナルスパイスだと差別化しにくくて…

そう考えると、この路線はニッチだけど需要があると思うんだよね。


「うーん…燻製の奥ゆかしい風味と味の深み、サラマンダーの唐揚げ自体も美味しいですが、掛けるだけで大人の味ですねー」

三鷹さんがノンアルコールハイボールを飲みながら唐揚げを食べる。

<きゃー!三鷹さんよ!>

<唐揚げ食べる姿も様になってるわ!>

<大人の味ですって…私も買ってくるわ>

<私も!>


どうやら…三鷹さんが食べるシーンを流すだけで女性層の購買意欲が刺激されるらしい。

べ、別にう、うらやましくないんだからね!


「うーん、この唐揚げ…肉汁がすごいな。満足感がハンパないぞ」

ガハハと笑いながら、唐揚げをつまみながらビールを流し込む亮。

<食べ方がワイルドだなー>

<食べっぷりが良いから、めっちゃ旨そうに見える>

「うん、このスパイスもいいなー!燻製ってこう…うんとりあえず酒を飲みたくなる味に仕上がるな!」

表現を途中で諦めるなよ!

やれやれ…大味な男だから仕方がないか。


―――――――――――


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