第62話 下層配信~火山フロア~(4)
ヴァンパイアは血を吸い、コウモリを手足のように扱うモンスターだ。
攻撃手段は翼で風を起こして攻撃するぐらいなんだが…炎の要素が加わるとなると…。
「ギギギ…」
氣の刃が身体を両断する…が、しかし下半身が砂のように粉となると意思を持つように上半身にくっついて下半身が再生していく。
戻りかけの下半身をかばいつつ翼でマグマ嵐を起こしたファイアバンパイアが、こちらに向かってマグマ嵐を飛ばしてくる。
速度自体は早くないこともあってマグマ嵐を難なく避けつつ、先ほどの光景からふとした違和感を感じていた。
再生していくシーンだけを見ると、ダメージが通っていないように見える。
しかし、これはゴーレムと同様に体のどこかにコアがあって、それにより再生しているだけではないか…と。
翼を振ってファイアバットが飛び出してきたが、自分の身を削って出しただけの可能性も考えてみる。
それであれば、いくら切っても倒せるはずがない。なぜならそこにコアはないのだから。
であれば…俺は両腕をブンブン回し、氣の刃を無数に放つ。
目の前のヴァンパイアに避ける暇を与えず、そして粉々にしていく。
「さて…どうでしょうか?もしこの中にコアがあれば再生しないと思うんですよね…」
<かずやん…俺たちの心配を返せー!>
<粉々にして終わりとか…>
<スキルってなんだったんだよ!>
<ファイアバンパイア:えっ俺の出番終わり?>
<かずやん:俺はまだ本気出してない(キリッ>
<下層でそのセリフ言ってみたいわー>
<一般人だと死亡フラグだからな>
<ファイアバンパイアは死亡したけど>
しばらくして、砂となったファイアバンパイアが再生することなく風に舞って消える。
うーん、これは…倒した手応えがない。
「どうやら…まだ仕留められていなかったようですね…」
<ふぁっ!?>
<マジで?>
<確かに砂になったとはいえダンジョンに吸い込まれなかったよな…>
全神経を集中し、周りのモンスターの気配を探る。
俺とファイアバンパイアが戦っていた近くに、1匹のモンスターの気配があった。
歩みを早め、モンスターがいる場所へと向かった。
「どうやらファイアバンパイアではなく、ファイアバットのイレギュラーだったようですね。再生能力があるように見せかけた
<イレギュラーのファイアバット、
<それはそれでヤバいだろ>
<でもあのファイアバットは本体だとしたら…これで倒せるってことか>
逃げようとするファイアバットとの距離を詰め、手のひらをハエ叩きのようにしファイアバットを地面に叩きつけた。
翼で手のひらが熱いがそれも一瞬だ。
グェェエ…と何かを潰したような音と共に動かなくなった。
うーん…群れないファイアバットか…イレギュラーモンスターとはいえ1体だと流石に弱いな。
「
ダンジョンに吸い込まれていくファイアバット。
<かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!>
<かずやん最強!>
<かずやん最強!かずやん最強!>
<【10,000円】「姫っちゃん」かずやん最強!…師匠最高でした!>
<【10,000円】「パンプキン」お見事です!が、ハエ叩きで倒せるんですね…>
<【500円】めっちゃ炎に触れてたけど熱くないのかな?>
<一瞬だからセーフとか?セーフなのか?>
「いやー手は熱かったですよ。でもまあ一瞬だし氣を纏っていたので火傷とかは大丈夫です。」
カメラに向かって手をグーパーして見せる。
<きれいな手してるだろ?これさっきコウモリを叩いたんだぜ?>
<コウモリって結構雑菌多いって聞くんで手をキレイにしたほが良いですよ?>
<えんがちょ!>
「雑いじり!?」
そういいつつも、マジックバックから紙石鹸を取り出し湧き水で手を洗い、最後にアルコール消毒を済ませた。
「さて、手もきれいにしたので…フロアボスの…なんだっけ?とりあえずカニ狩りを行いたいと思います!」
<メルトシェルクラブなw>
<少し前自分で言ってたモンスターの名前忘れるって…草>
<まあ…そんな覚えてられないよね!>
<そういや探索者って道中、モンスターの名前どうやってわかるの?>
<かずやんは視聴者コメに頼ってそうw>
「失礼な…概ね間違ってないけどさ!私の場合、道中のモンスターはドローンとモンWikiのAI版をコネクトしていて、リアタイでモンスター情報を見れるようにしてますよ!」
<モンWikiは探索者必須だよな!情報量多いし!>
<AI版をドローンカメラと接続すればそういう使い方できるんだ>
<俺も試してみようかな!>
<バッテリーの消費量半端ないから気を付けろよ!>
さて視聴者の不安も取り除けたので…フロアボスに挑みますかな!
待ってろよーカニ―!!
―――――――――――
AIの精度も今ではかなり向上しているので、こういう使い方も十分できそうですね!
「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!
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