第61話 下層配信~火山フロア~(3)

さて、2層に到着した俺を待ち受けていたのは…


コウモリの翼に炎を纏い30匹ほど群れをなして宙を飛んでいる。


Bランクモンスター…ファイアバット



2層のフロアに足を踏み入れたときの音に反応したのか、自由に飛び回っていたはずのファイアバットの群れが急にこちらに向きを変えて一斉に飛んでくる。


「んー…コウモリは食べたくないので…サクッと倒しちゃいましょうか…」

<ファイアバットってBランクモンスターだっけ?>

<そそ、群れで生息していて、炎を纏った翼で攻撃してくるはず…>

<群れっていうのはロケットラビットみたいだな…>

<攻撃は群れで相手を囲って高温で相手を倒したり、翼の炎を飛ばして攻撃したりするみたい。それで倒した人やモンスターを吸血するんだってさ>

<熱で倒すってミツバチがスズメバチを倒す方法みたいだなー>

<コウモリ小さいし、大きい相手をするなら戦い方としては合理的だよなー>


とりあえず開幕一発目として氣を纏った腕を振りぬき氣の刃を飛ばす。


複数体のファイアバットをある程度まとめて処理するが一部を打ち漏らす。

続けてもう片方の腕を振りぬき打ち漏らしたファイアバットを一刀両断する。


「うーん…これで終わりだと流石に出来高が…」

<【500円】出来高って…十分大丈夫でしょ>

<近づく前に全部処理とか…>

<サクッとたおしてるけどファイアバットって雑魚なの?>

<うーん…普通は攻撃が当たらないし、防護服着てても熱さでやられて撤退することが多い鬼門のはずなんだけどなー…>

<「パンプキン」自分たちもファイアバットには苦戦させられて、恥ずかしながら何度も撤退してますね。小さくて数が多くて…氣で攻撃するにしても中々当たらないのに向こうは炎の翼で攻撃してくるんですよ…。かずやんさんみたいに2撃で殲滅するのは現実的ではないですよ…>

<やっぱりかずやんは、かずやんってことかー…>

<パンプキンは悪くない!かずやんが異常なだけだって!>

<そそ!だからそんな落ち込む必要はないですって!>


うーん…やっぱり俺化け物扱いされてる?

ただ…ファイアバットを殲滅したはずなんだけど…倒した感が全くしない。

というのも、倒したのに亡骸が残ってないんだよねー…。

ダンジョンに吸い込まれるにしてももう少し時間が掛かるはず…。


「おかしい。倒したはずの残骸が残ってないですね…」


その時、背後からマグマを巻き込んだ砂嵐が巻き起こる。

この砂嵐というより、マグマ嵐は流石に巻き込まれたら一溜りもない。


マグマ嵐から距離を置くと、マグマが1つの塊に収束していく。


「えーとこれは…」

マグマが人型に整形され、そして――


ファイアヴァンパイアが姿を現した。


<ファイアバットがファイアヴァンパイアになるの!?>

<いやいや、それはない…ないはずだよな?>

<いや、そうなったら火山フロアの攻略難易度…跳ね上がるだろ!?>

<ファイアヴァンパイアってフロアボスレベルだろ…>

<確かAランクの中でもかなり上位って聞くけど…>

<元々のフロアボスのカニさんの扱いどうなるんだよ…>


こちらの存在に気付いているファイアヴァンパイアが翼を振るうと、ファイアバットが無数に飛び出し炎をまき散らしながらこちらに向かって飛んでくる。

氣の刃で両断するが…やはり倒した手応えがない。


それもそのはずで、斬った残骸はヴァンパイアの元に集約し取りこまれていた。


「うーん…これはやっかいですね…単純な氣じゃファイアバットにすらダメージが通らないかもしれないです…」

<いやいや、普通のファイアバットは狩れるから!?>

<ってことは、まさか…これイレギュラーか!?>

<イレギュラー遭遇率の高さよw>

<流石かずやんだなー>

<いやいや…氣でダメージが通らないとなると…かなりヤバいだろ…>

<確かに物理と氣で戦うかずやんでしょ?これ攻略方法なくね?>

狂暴化バーサークも物理攻撃だし…ピンチかも?>

<これは無理だ…かずやん逃げてー!>

<ファイアバット基準だとSランクだけど、ファイアヴァンパイア基準だとSSランクってことになるよな…>

<ってことは格上の可能性があるってこと!?>

<いやいや…ヤバすぎだろ!?>

<ここで逃げたら…ダンジョンブレイクするんじゃ…>

<いや…それは…でもその可能性もあるのか…>


困ったな…料理配信なのにダンジョン探索の配信がメインになりそうだ。

配信の出来高としては十分なんだけど…流石にこの状況は望んでない。


「えーっとですね。この配信は料理がメインの配信なので、食材外のモンスターは…早々にお引き取り願いたいかなーって思います。」

うーん…普通のヴァンパイアであれば、光に弱いはずなんだけど…。

目の前のヴァンパイアは炎を纏い、光に対して耐性があるように感じる。

ファイアバットをやりたい放題扱うけど…ファイアヴァンパイア自体の耐久値はどうなんだろうか…?


うーん…色々考えてみたが…とりあえず本体叩いて、それでも解決しないようならば…使

とりあえず方針が決まったので、ファイアヴァンパイアに氣の刃を放った。


―――――――――――

あれ?食材配信どこいきました?


「★★★」や「ブクマ」いつもありがとうございます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る