第57話 下層配信~神の調理器具~(3)

「さて…」

呆然と立ち尽くすキングオーク、何が起こったのか未だに理解できていないようだ。

あーこれはダメな奴……。

仕方がないので…フロアボスの戦闘は巻きにしよう。


「調理の時間だ」

解体もかねて取り出したサバイバルナイフを振るう。


<えーっと…>

<なんか一瞬で部位に切り分けられていってるんだけど…>

<グロさがないからグロフィルターが掛からないw>

<キングオークの俺に何か起きたん?顔が草>

<キングオークって雑魚なん?>

<並みの大剣で切り付けても傷一つつかないタフネスと、一撃で盤上をひっくり返す鉄拳が特徴だったはず…ブルッターズがAランクの時に討伐配信してたけど、ダメージ通らな過ぎてめちゃくちゃ苦戦してたぞ>

<まあ…もうかずやんですし…>

<かずやんですしって一言で片付くのがなー>

<かずやんのチャンネルって、討伐配信のジャンルじゃなくて料理配信チャンネルなんだよなー(震え)>


「さて!気を取り直して、食材も手に入ったので料理をしていきましょう!」

そう…討伐は過程でメインはこれからだ!

ポータルが出現したので、しばらくモンスターが湧くことのない。

このフロアは料理配信に丁度いい。


「今日の配信で最初に話した、神の調理器具の正解発表です。ブルルルルルージャーン!ホットサンドメーカー!」

<神の手じゃなかった…(´;ω;`)ウゥゥ>

<ホットサンドメーカーってなんか便利そうだけど買うに至らない調理器具か…>

<神って言いすぎじゃない?>

<いやいや、これ一度使うと病みつきになるぞ>

<使ってみろよ…飛ぶぞ?>

<うーん…決め手がない、今日の料理次第で買ってみるか考えるわ>


「では…本日の料理を作っていきます!使う材料はエメラルドキャベツ、小麦粉、パン粉と卵、あとはスライスチーズに食パンですね!普通の卵でもいいんですが…今回は…今回だけはロック鳥の溶き卵を使わせてください!な、なぜなら…使っても使ってもなくならないんです!」

いやマジであの卵1個でどんなけ卵焼き作れるんだよ…毎日卵焼き作ってもなくなる気配がないんだよー!!


<あー…あれめちゃくちゃ量多かったよな…>

<まぁ…作るものによるけど、卵料理じゃないんだよね?>

<何となく作るもの想像できたし、いいんじゃない?>

肯定的な意見が多くて助かります。


「ありがとうございます!

では…調理していきます!まずはエメラルドキャベツを千切りにして湧き水に浸しておきます。

次に今回ロースの部位を使うので筋切りしておきましょう。

食材の下準備はこれぐらいです。

次の工程ですが、溶き卵と小麦粉と水を混ぜてバッター液を作ります。

粉チーズがあれば入れるとコクがでていいと思いますが…今回は入れません。

ロース肉の両面に塩コショウを振ってからバッター液につけましょう。

ホットサンドメーカーにパン粉をしいてロース肉をダイブさせます。

両面にしっかりパン粉を付けたらオリーブオイルを振りかけます。

肉からも油がでるしホットサンドメーカーは両面ひっくり返して焼けるんで、油は片面にかけるだけで十分です。

ここまで出来たらあとは蓋を閉じて火にかけていきます!」


両面をじっくり焼いて、揚げ焼きにしていく。

パン粉が焼ける香ばしい匂い、蓋を閉じていることもあって、ただ焼くよりも中までしっかり火がはいり生焼けの心配が減るのが本当に助かる。

時々ひっくり返しながら、肉にじっくり火を入れつつ衣を揚げ焼きにしていく。



「両面カリっとするまで焼く間に、エメラルドキャベツをしっかり水切りしておきましょう。あとは食パンを2枚用意してマヨネーズをたっぷり塗ります!…さてそろそろいいかもですね…」


蓋を開けるとカリっといい感じに両面焼けたようだ。

「さーカツレツの完成です!」

<へぇー…両面焼くのホットサンドメーカーだと楽そう>

<これいいじゃん。真似したいかも>

<さっき用意した食材はどう使うんだ?>

ちなみに余分な脂は隙間から垂れ流して油切りも簡単にできるんだよね!


「カツレツはできたんですけど…ここからもうひと手間加えてきます。

カツレツにスライスチーズを乗せてその上に食パンを乗せて蓋をしてひっくり返して蓋を開けます。

カツレツ部分にトンカツソースをかけてマスタードをぬりぬり、その上にエメラルドキャベツの千切りを乗せその上に食パンで蓋をしたら…ホットサンドメーカーの蓋を閉じます。」

さあここからしっかりパンを焼いていく。

油切りしたとはいえ、ホットサンドメーカーの両面は油でコーティングされているので食パンもいい感じに火が入る。


「そろそろいいかもですね!」

蓋を開けるといい感じの出来栄えだ。


「これを半分に切って完成!カツレツサンド!」

上の蓋を外して、ホットサンドメーカーに置いた状態で半分にカットする。


ちなみにだが、カツレツを甘辛いタレとか、チキン南蛮風に甘酢にたっぷり付けてタルタルと一緒に挟んでも絶品サンドが出来上がる。

マスタード替わりに、からしとマヨネーズを混ぜたからしマヨネーズを使っても刺激が合って美味しい。

あとは…千切りキャベツをコールスローに変えても…っと考え出したらキリがない。


<これめっちゃ旨そう…>

<ホットサンドメーカー一つで調理が完結するのか…>

<カツレツ作ってその流れでサンドまでできるのかー>

<この発想はなかったなー>

<Konozamaでポチった!>

<みんなポチリすぎ!Konozama売り切れたぞ!?>

<ステマって言われても不思議じゃないだろ>


「ではでは皆さん…このカリっと仕上がったカツサンドのお供と言ったら…じゃん金色のヤツ!」

今では配信の定番になったウルトラドライ。

どんなビールより辛口のこれが一番好きだ。


「いただきまーす!」

豪快にかぶりつく。

カリっともちっとした食パンに、シャクシャクのキャベツとカリッカリ食感のカツレツ、脂身も赤身もサクッと噛み切れる柔らかいロース肉、あー…これはうまい!しっかり油を切ったので全然脂っこくないし、脂身も全然くどくないのでサクサク食べ進められそうだ。

そして…一口食べた後には、ビールを一口。

「ぷっはぁあーーーー!」

<…カツサンド買ってくる!>

<出来立て食べたいー!>

<作り方そんなに難しくないし、作ってみます!>

<あー!カツサンド…売り切れてた!>

<俺はゲットできたぞー!家で金色と楽しんでくるー!>

<カツサンドはなかったから、スーパーでオーク肉のトンカツ買ってきた!>

<!!…その手があったか!>



「ごちそうさまでした!いやーホットサンドメーカーマジで神です!」

今日の配信も、大満足で終えたのであった。


―――――――――――

あー…美味しいカツサンドが食べたいです。

10万文字突破しましたー!

カクヨムコン参加してみようかな?


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