第56話 下層配信~神の調理器具~(2)

<ゴブリンの集落を10分掛からず壊滅って…>

狂暴化バーサークはやっぱりチートだろ…>

<いつもだとモンスターの核摂取してたのに、ゴブリンは有無を言わさず殲滅してて草>

<めっちゃ腹の音が聞こえる>

<燃費悪そうだからなー>


「はぁ…はぁ…ゴブリン壊滅しました…はぁはぁ…」

狂暴化バーサークモードを解除…、核を摂取しないとめちゃくちゃ氣を消費して腹が減った。


「そろそろ3層…フロアボスですね!早く食べたいです!!」

湧き水を飲んで腹の減りを紛らわす。


<フロアボス=食材で草>

<欲望に忠実すぎw>

<【500円】緊張感どこいった>

<下層のフロアボスの討伐水準って?>

<ソロだとSランク、パーティーでAランクとかだったはず>

<でもAランクパーティーで下層フロアボス討伐失敗して逃げてる配信あったよな…>

<えっ、Aランクパーティーだからって討伐できるってもんじゃないのか…>

<そりゃそうだろ。依頼を一定数こなしてAランクになった奴には荷が重いと思うぞ?>

<ハイエナとか腰巾着で成り上がったパーティーもあるしな…どことは言わんが>

<そういう意味だとパンプキンが下層フロアボス討伐は狙えそうって感じ?>

<いけるんじゃないかな?メンバ全員Aランクで連携もしっかりしてるし>

<【50,000円】「パンプキン」ははは…次ぐらいに下層のフロアボスに挑戦しようと思ってます!>

<うぉー本人降臨!>

<まじ?頑張ってください!>

<応援してます!>


「おっ、パンプキンの皆さん赤スパありがとうございます!下層のフロアボスに挑戦するんですねー応援してます!頑張ってください。」


<【1,000円】おいおい…フロアボスのフロアに入ったんだから集中しろー!>

<緊張感仕事しろ!>

<なんか画面騒がしくない?>

<フロアボスって1体じゃないの?>

<手下とか居たら複数いてもおかしくないと思うけど…>

<あっ…この音ってもしかして…>


フロアに足を踏み入れてから、ブヒッブヒッという音がフロア内を木霊している。

そして足音が近付いてくる――


足音を隠すことなくこちらに迫ってきた剣を持ったオークソルジャーが左右からはさみ打つように攻撃を仕掛けてくる。

そしてその背後からオークタンクに守られた、オークメイジが火の玉、雷の玉を打ってくる。


ここはオークが支配するフロア、キングオーク率いるオークパレードだ。


火の玉、雷の玉は氣を纏った手のひらではたき落とし、左右から切りかかってきた剣は刃をつかみとって、剣ごとオークをぶん投げる。

所詮Bランクモンスターの集まりだ。

2匹のソルジャーはオークタンクにぶつかると、勢いを殺しきれずオークメイジごと壁まで吹き飛びピクリとも動かなくなった。


「ストラーイクッ!」

<オークでボーリングw>

<発想がぶっ飛びすぎだw>

<かずやんにボーリングさせたら1投目で店壊しそう>

<ボールに氣を纏わせて…えいっ!って感じ?>

<クッソワロタw>

<見てみたいけど修繕費ヤバそう>

<「パンプキン」流石に…これは真似できないです>

<マネしないで…パンプキンはまだ…人間辞めないで…>

人を怪物みたいに言ってはいけませんよ?


「さて、アチラさんもこの音を聞いたら飛び出てくるんじゃないですかね?」

ちなみに無印オークはDランクのモンスターで100グラム150~200円ぐらいで流通しているので食べたことのある人も多いはず。

油がしっかり乗ってるので、角煮とかにするとめっちゃおいしい。


ソルジャーとかタンクは身体動かしているからか、全身が豚の肩肉みたいに肉質が固く無印オークと同じぐらいの値段で流通してる。

脂身が少ないので切り落としとかでよく売られている。

メイジは適度に動くので刺しの入りが良く、希少性もあるのでブランド豚ぐらいの値段になる。


「おっ!言ってたら来ましたよー!キングオーク!」

音を聞きつけたキングオークが部下を20体ほど引き連れてこちらに向かってやってきた。


ぐぉおおおおおー!

先兵の亡骸がダンジョンに吸い込まれていくシーンを目撃し、キングオークが咆哮する。

周りのオークが殺気立ち、全員が血走った目でこちらを見ている。


「さて…第二ラウンド開始です!あと本日の食材がこちらに来てくれました!カモネギですね!」

<【100円】どっちがカモでどっちがネギだよw>

<どっちもカモだろ>

<ネギ要素なくて草>


キングオークが全体に発破を掛けたようで、周りのオークのタガが外れたようだ。

バフが掛かった反面理性を失ったのか、涎を垂れ流しながら猪突猛進してくる。


単調な攻撃しかしてこないオークの群れを相手するのは配信の出来高が足りないように感じてしまう。

連携技を繰り出した先発隊のほうがまだマシだったかもしれない。


仕方がないので、氣の刃を打ち出し雑魚を一掃する。

こうなったらキングオークに期待するしかない。


―――――――――――

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