第50話 強制休み(2)
服屋や本屋に立ち立ち寄り買い物を済ませた後、地元に戻ってきた。
特にやりたいことがなかったのでブラブラしてたが、これはこれで良い息抜きになった。
途中、顔バレして大変なことになった。
こんなことがあるかもしれないと帽子とサングラスを念のため用意していたがまさか役に立つとは思っていなかった。
俺も知名度がかなり上がったんだなーっと実感すると共に、次からは変装して外出しないといけないのか…と気が重くなる。
しかし…マジックバックマジで便利だねー…。
手ぶらで買い物ができるのは人生が変わった気分になる。
「ただいまー!」
「おつかれっす。って休みなんだからわざわざ会社に寄らなくてもいいっすよ!」
「お疲れ様です!」
事務所に顔を出したら、パソコンで動画を編集しながら高尾が、デスクワーク中の国立さんも顔をのぞかせて声を掛けてくれる。
「いやーそれなんだけど…みんなここ最近結構忙しく頑張ってくれてるから、1泊2日で社員旅行に温泉でも行かないか?って思って相談に来たんだ。」
「「温泉ですか」っすか?」
「ああ、少し調べてたんだが、電車で1時間のところにあって、海鮮とお肉料理が絶品らしい。しかも温泉は源泉かけ流しなんだってさ。とりあえず見て見てくれよ。」
温泉宿のURLを社員用のチャットに張り付ける。
「ここ知ってるっす!各部屋に温泉があるめっちゃいいところじゃないっすか!」
「えっ、1泊1人5万…!?」
本当は1泊10万越えの宿が良いなーって思っていたんだが、あまり高いと経費で落とせないらしい。
ポケットマネーで出しても良いが…気を使わせてしまうと息抜きにならない。
「俺1部屋、高尾と国立さんで1部屋って感じでどうかな?それか高尾と国立さんも別々の部屋のほうがいいかな?」
「くにやんと一緒の部屋がいいっす!女子会っすね!」
「わ、私も…こんな広い部屋一人だと絶対落ち着かないです。」
「おっ乗り気ととらえていい感じ?良かったら日程調整したいんだけど…」
「私はいいっすよー!くにやんはどうっすか?」
「えっ、でもこんな金額の宿は流石に…予算は大丈夫なんですか?」
「亮、あー…うちの税理士に経費をどんどん計上しろってケツ叩かれてるんだ。ダンジョン配信者は経費にするものが少なすぎてね…金銭面はマジで気にしないでくれていい。」
武器は素手、時々サバイバルナイフとほぼ身一つでダンジョンに入ってモンスターを狩っては食べるのがメインの動画ということもあって、企画費がほとんど掛からないんだよね…。
「ご迷惑でなければ…ぜひ行ってみたいです!」
「おっ、ありがとう。明日からどうかと思ったんだけど、流石に予定がシビアだし準備もあるだろうから、人も少ない来週月曜、火曜に温泉旅行を計画して問題ないか?」
「了解っす!明日で仕事終わり。マジでがんばるっすよー!あっパイセンは明日絶対休むんっすよ!」
「そうですね。高円寺さんはここ最近働きすぎです。日程助かるんですが、平日に旅行って大丈夫ですか?仕事とか…」
「納期が迫ってるものは調整してくれてるし大丈夫だよ。土日人が多い中で社員旅行をするのは満足度は低くなるだろうしね。せっかく旅行するんだから羽目を外すときは全力で、思いっきり息抜きしたあと仕事に励んでくれたらいいよ。あっ、この社員旅行は業務扱いにするから、有給とか消化しないから安心してね。」
急ぎの予定がなければ、高尾と国立さんは土日に休みをとってもらっていた。
配信者の俺は土日が稼ぎ時なので、俺が仕事したあと、休み明けの高尾に動画編集してもらうといい感じに回る。
国立さんは企業案件の調整をしてもらっているけど、だいたいの企業は土日休みなので都合がいい。
俺の休みは不定期だけど、国立さんの業務調整スキルが上がってきていて、イレギュラーがなければ週2休みで計画してくれている。でも実際は色々突発で起きるんだよね…。
それもあって今回は強制休みを設定されたんだけど…。
「あざーっす!旅行マジで楽しみっす!」
「ありがとうございます。」
従業員が笑顔で仕事してくれるのが一番だ。
「今日の分の仕事はあとどれぐらい残ってるんだ?」
「んー…あとちょっとキリのいいところまで動画の編集はしたいっすねー」
「私はあと30分ぐらいですね。ちょっとスケジュール調整しなおしたら終わりです。」
なるほど…。
「今日は七輪を買ってきたんだ。試運転もしたいし、食材が大量にあるから仕事終わったら晩飯食っていかないか?」
「まじっすか!くにやん30分って言ってたっすね。30分で支度するっす!」
「ありがとうございます。ぜひ頂きます!」
「おっけー!俺も焼き鳥作りたかったんだよねー。料理の準備するから皆仕事頑張ってくれ!」
「「了解です!(っす!)」」
そうと決まれば…前狩ったロック鳥を串打ちして、焼き鳥作っていくか!
―――――――――――
次回…社員旅行編
どうするか悩みましたが…10万pvは素直にうれしいので
今日まで2話更新します!(思い付きなので更新時間が微妙です…)
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