第48話 強制ミッション(5)

<武藤さん…化け物だろ>

<足払いですらまともに目で追えないんだが…>

<武藤さんの足払いでかずやん浮いてた…>

<あの人、刀がメイン装備だったよな…>

<かずやんが遊ばれてる…>

<やっぱり、配信者と探索者って全然違うんだ…>

<【50,000円】「姫っちゃん」師匠!頑張ってください!>

<姫っちゃんからしたら師匠だもんな>

<俺もかずやんを応援するぞー!!>

<がんばれー!かずやーん!!>


うーん…相手の力量がわからないから…力を抑えていた部分もあるんだけど、あまり手を抜きすぎるも失礼になるよね…反省。

「師匠が弟子に情けない姿を見せるわけにはいかないよな…。すみません!武藤さんここからは本気で行きます。」

「いい目だ。掛かってきなさい。」


地面を蹴り、瞬時に武藤さんとの距離を詰める。

地面に軸足を縫い付け、右足に全力の氣を込め振りぬいた。


「ふんっ!!」

両腕をクロスし俺の蹴りを受け止めるが、それぐらいでは衝撃を殺しきれるわけもなく。

ズザァアアーっと武藤さんの身体が後ろに飛ばされる。


「まだまだ行きますよ!」

両腕に氣を貯め、左右に振りぬく。

氣が十字の斬撃のように武藤さん目掛けて飛ぶ。


<バーサーク状態でやってたやつ!>

<通常時でも使えるのか!>

<斬撃飛びすぎじゃね?>

<もう素手じゃねぇー!>

<これは武藤さん流石に厳しいんじゃ…>


「なるほど…これは大幅な上方修正だ。なっ!」

武藤さんに届く前に、斬撃を真正面から氣をぶつけて軌道を変える。

ズドンッ!破壊音と共にダンジョンの壁に十字の傷跡を残す。

しかし完璧に軌道をズラしきれたわけではなく、武藤さんの頬を掠めたか一筋の血が流れた。


<「ギルド公式」ストーーーーーーーップ!!!!!!!!!!!!!これ以上は駄目です!!!!SSランク同士で殺し合いでも始めるつもりですか!!!!>

普段の神田さんからは考えられない文章、結構焦っているのかな?


「ギルドに止められてしまっては、これ以上続けられない…か。かずやん、君は私が想像していた以上に強そうだ。できれば真剣を使った本気の勝負をしたいところだが…本当に殺し合いになってしまいそうだ。先ほどの非礼を詫びよう。良い滾りだった君の勝ちだ。」

武藤さんは笑い慣れていないのか、ぎこちない笑み(?)を浮かべた後、下層のポータルで地上に戻っていった。


<……>

<・・・うぉおおおおおーーーー!!!>

<【50,000円】かずやんが勝ったー!!!>

<【50,000円】かずやん最強!かずやん最強!かずやん最強!>

<【50,000円】「姫っちゃん」師匠ー!最高でした!!>

<マジでエグイ!>

<勝負続けてたらどっちか〇んでただろ…>

<めっちゃ鳥肌立った…>

<バーサーク状態だったら圧倒していた可能性あるかも?>

<それを言ったら武藤さんだって素手だったしな>

<武藤さんの顔怖すぎ…しょんべんちびりそうだった>

<たしかに…最後どうみても獲物を見る目でかずやん見てただろ…>


そんなこと言わないで…あれきっと普通に笑ったつもりだろうからさ…多分だけど…。

「今日の配信はこれぐらいにしようと思います!ダンジョンボスと戦うこともなく速度重視でモンスター狩ったりしちゃったから取れ高なさそうで心配ですが、次回配信は盛り上がるように頑張ります!」


<いやいや…ダンジョンブレイクの調査だからね?>

<普通は配信のこと気にしないだろ>

<上層~下層のモンスターのRTA、SSランク同士のぶつかり合いで取れ高ないって…んなわけねー>

<【5,000円】今回も神回でした!>

<【1,000円】めっちゃ盛り上がってましたよ!>

<【50,000円】「パンプキン」SSランクってマジですごいですね…自分たちも頑張って、まずはSランク目指します!>

<パンプキンもありがとう!>

<ダンジョンブレイクを防いでくれてありがとう!>

<ゆっくり休んで!>

<「パンプキン」皆さん…ありがとう!!>


「では…今日の配信は終わりますねー!」



下層のポータルから出た俺を、四ツ谷さんと神田さんが出迎えてくれる。

「あっ、待っててくれたんですね。ありがと…」

「和也様…まずはお疲れさまでした。ダンジョンブレイクを事前に防げて良かったです。さて…」

神田さんは笑顔を浮かべているが…目が笑っていない…


俺何かやっちゃいましたかー?

…思い当たる節しかない。


「では…ギルド本部でお話しましょうか。」

辞退できる空気はなく車に案内されると、車の中では武藤さんが先に座っていた。

その隣には専属サポーターが何か話をしているようだ。

武藤さんの顔色は悪そうだ…自分が戻るまでの間に何かあったのかもしれない。


その後、SSランク同士で何をやってるんだと、たっぷりしっかり絞られギルドから解放されたのは4時間経過したあとだった。


…対人戦闘はもう二度としないと心から誓った。


―――――――――――

神田さん…怒らせたらきっと怖そうですね。

お仕事編、これにて終了です。


本日2話目の更新です

というのも…本日10万pv達成しました!

皆さん読んでくださりありがとうございます!

次は20万pvを目指して頑張っていきます。


よければ「★★★」や「ブクマ」よろしくお願いします!

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