第37話 姫っちゃんコラボ(4)

「さて…下層にやってきました!」

中層のダンジョンボスであるミノタウロスを瞬殺した姫っちゃんと共に下層に足を踏み入れる。

これでも…ミノタウロスは一応Cランク最強のモンスターなのよ?

氣のコントロールを身に着けただけで、ここまで強くなるとは…これはこれで驚きだ。


「下層って中層と全然違うんですね!」

うわーっと感嘆かんたんの声をもらしながら辺りを見渡す姫っちゃん。


「あれ?姫っちゃんって下層に来たことないんだっけ?」

「Bランクになってもソロ配信をメインで活動していると、下層は厳しいかなって思ってて…挑むきっかけもないしで実は一度も行けてなかったんです…。」


そもそも下層のモンスターの割合は体感だが、Cランク3割、Bランク5割、Aランク2割とBランクの比率が一番高いこともあって、経験の乏しいソロ探索者では厳しいかもしれない。


一般的な話になるが上層、中層でのモンスターの強さは大きく変化はないので比較的乗り越えやすいと言われている。

とはいえ、中層~下層と比べてなので、ある程度はふるいにかけられる。

では…中層~下層はというと、急激に難易度が跳ね上がる。

中層を無双できるAランク探索者を含むパーティーで挑んでも、下層1層を初見クリアできるパーティーはほとんどいない、それぐらいの壁になっている。

クリアできないだけだったらまだいい、下層から命からがら脱出できたとしても、心が折れて探索者としてやっていけなくなる人も少なくない。


話を戻すと、中層メインで活動していたソロ探索者が一人で下層に挑むのは清水の舞台から飛び降りる以上の覚悟が必要で、覚悟以上に実力を開花させ発揮できなければ早々に探索者人生を終えてしまうだろう。

(今となっては清水の舞台から飛び降りてもDランク探索者だったら無傷だろうけど…)


まあ…それ以前にソロでCランクモンスターを狩れるのであれば、ドロップ品や素材を売るだけでも十分余裕のある生活ができるので、危険を侵さず現状のランクを維持して活動する探索者は少なくはない。


「じゃあ初下層なんだ。来てみた感想はあったりする?」

「もう全部がビックリです!師匠の配信で下層はこんなところだって理解はしているつもりでしたが…実際に自分の目で見ると固定概念が覆りました!」


<【1,000円】普通、下層到達できる探索者のほうが少ないからな…>

<【1,000円】姫っちゃん下層進出おめー!!>

<二人で下層って普通は無謀なんだけどかずやんいるからなー>

<姫っちゃんの初めてをかずやんが奪った…>

<姫っちゃんは師匠呼びが定着した模様>

<【667円】絶許?>

<ただ今日は、下層で食料調達って言ってたよな…>

<何狩るんだろ?>


「皆さんお待ちかね!食材調達をしていきましょう!草原フロアには群れでいると思うんで探してみようと思います。」

「私の力が通じるか試したいと思います!」

両手をぐっと寄せてファイティングポーズをする姫っちゃん。


<かわい-!!>

<永久保存!>

<やったれ…姫っちゃん!>

<待ち受けにした!>

視聴者は姫っちゃんにデレデレだ。

まあ…わからなくはない。


「さて…見つかりましたよ。本日の獲物は――」


パァン!

言い終わる前に手を前に出したところで、手のひらに軽い衝撃が走り大きく音がはじけて毛が宙を舞う。

「といったところで、来ましたねー…ロケットラビットです。」

Bランクモンスターロケットラビット。

その名の通りめっちゃ早く飛んでくるうさぎだ。

ウサギの見た目で頭に角が生えていて、名前通りのスピードに身を任せ角で攻撃を行ってくる。

狙った獲物を外した場合は、方向転換ができないのでそのまま壁に衝突して、自分自身が衝撃に耐えられないので爆散してしまい消滅してしまうので、色々不憫なモンスターではある。


「どうして、姫っちゃんのほうがいっぱい取れるかというとですね…」

視聴者に向けて手のひらを見せると、ロケットラビットを倒した時にたまに手に入るうさぎ角のみ残っていた。


「ロケットラビットって紙装甲なんですよね…なので武器でどうこうする前につい手が出ちゃって、少しでも触れるとその瞬間に爆散して素材以外消えちゃうんですよね…」

素材が残るだけまだましだが、少し前まで素材を売れなかったので倒し損だった。

しかも群れで行動するので1匹いたら10匹ぐらいはいると思えと言われている。


<ロケットラビットってそんな紙装甲だっけ?>

<トップスピードが出た状態のロケットラビットの攻撃避けたら勝手に自爆するっていうしね…>

<でもそもそも、攻撃は避けられるスピードなの?>

<えぐい速度なんでしょ?普通は避けられなさそうだけど…>

<拳銃の玉ぐらいの速さって聞いたぞ?>

<でもさっきかずやん普通に反応してたよね?>

<※かずやんは特殊な訓練を受けています>

<ロケットラビット「なんでや…」>


「えと…私の方がドロップするかもっていうのは?」

「さっきみたいに普通にぶつかっちゃうと面での衝突になっちゃうから爆散しちゃうんだよね。だから、すれ違う瞬間に短剣で切ってやれば、食材自体は残せる可能性が高いんだよ…。」

「師匠が爆散させたウサギ…目では追えるかもだけど…体の反応が追いつくかな…」

<ですよねー…>

<普通の人間には無理でしょ>

<姫っちゃんはBランク探索者だから普通ではない>

<それでも微妙って…どれだけ早いんだよ…>


なるほど…目で追えると手が動くかはたしかに異なるな…。


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