第29話 下層配信(4)

「さて、お目当ての巣を見つけました!」


道中に遭遇したオーガは、蹴り倒し張り倒し。

1体で出てきたゴーレムは狂暴化バーサークを使わず、手数を早めにコアの破壊を行った。


そして…ようやく山の頂上でお目当ての巣を見つけた。


「お目当ての食材は…じゃーん!ロックちょうです!」

ロック鳥は頂上の岩のごつごつ集合しているところに巣を作る。

まあ巣を作るというか、地形を利用しているだけとも言えそうだ。

その岩場に3個ほど卵を産んで、卵が羽化するまで親鳥が巣を守っている。

<ロック鳥!!…って知ってる?>

<あれだよ、めっちゃデカい白い鳥、グリフォンと間違われることもあるとか>

<ロック鳥ってたしか、Aランクモンスターだよな…>

<でもこの緊張感のなさよ>


「失礼な!これでも緊張はしてますよー!ロック鳥は巣穴にある卵に手を出したら最後、死ぬまで追いかけてくる執念深さを持ってるのと、あとは滅茶苦茶するどいかぎ爪。あれで掴まれるとグリフォンすらも絶命するぐらいですからね…」

<ぱねぇ…>

<グリフォンを狩るロック鳥…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル>

<【1,000円】でも絶品なんでしょ?>


「そうですね…あの卵とロック鳥のプリッとした肉質…思い出しただけでよだれが…」

<めっちゃ旨そう。>

<食べたことあるのかよ笑>


卵があるかどうかは、ロック鳥が巣にいるかどうかで判断できる。

卵がないときは巣に戻らないので、非常にわかりやすい。

「さあ…卵はあるのでしょう…か!」

巣の中を覗き込むとロック鳥とバチっと目が合った。

一発目でロック鳥が見つかるとは…ラッキー!

<バッチリ目があった>

<鳥「なんじゃいワレ」>

<これいただけるのかよ…>


ムクッと立ち上がると、その下からちらりと純白の卵のチラリズム。

状態良し、では早速…


「ロック鳥の脅威は先ほど言ったかぎ爪と、あのくちばしです。かぎ爪を避けようとしてくちばしでとどめを刺されるなんて事例もあります。あとはあの両翼ですかね…一振りで周りの物を問答無用で吹き飛ばしてくるんですよね。」

ひらけた場所だし、岩がゴロゴロしているので一振りで岩の雪崩が襲ってくる。

速度はさっきのゴーレムと比較にならず、吹き飛ばされながら岩の衝撃で致命傷…なんてことも…。

とはいえ、弱点が全くないわけではなく…

「弱点、というか攻撃パターンが単調なんですよね。巣の外にいると空を飛んで翼での一振り、巣の中にいるとかぎ爪とくちばしを使って執拗に攻撃を仕掛けてきます。それを理解しておくだけで結構簡単に攻略できますよ!」

<単調だけど、攻略できるのか?>

<破壊力の塊のかぎ爪攻略が鍵のような気がするけど…>

<実は攻撃のスピードが遅いとか?インファイトでごり押しとかになりそう>

<遠距離は無双されそうだし、やっぱり近距離攻略だよね>


ふむふむ。結構みんな考察しているようだ。

「そうですね。ロック鳥を遠距離から相手するのは結構大変なので、簡単に攻略したいときは近距離で相手するのが必須になります。ちなみに攻撃速度はですね…」

ドンッ!


巣に足を踏み入れた瞬間、前方から土煙が吹き荒れる。

どうやらロック鳥が地を蹴ったようだ。


たった数舜――

眼前にロック鳥が迫り、かぎ爪が届く間合いに入ったのか勢いよく足が振り落とされる。


サバイバルナイフに氣を込め、迎え撃つ。

ナイフと爪とがぶつかり、激しい火花が散る、辺りに鈍い鋼の音が舞い上がった。


ただの鋼ではこの一撃に耐えることは不可能なので氣による補強は必須だ。


左右交互に振るわれるかぎ爪をサバイバルナイフで何度も弾き、隙間を縫うように迫るくちばしの攻撃を避けては氣を込めた掌底を打ち込む。

4度の掌底を打ち込んだところで、ロック鳥の動きがピタリと止まる。


「ようやく、効いてくれたようですね…」

<誰だよ。攻撃速度スピード遅いって言ったやつ。あんな速度どうやって対処しろって言うんだよ…>

<下層パネェ…>

<【1,500円】なんで止まったの?>


「あぁ、それはですね。氣を込めた掌底を鳥の頭に何度か打ち込んで脳震盪のうしんとうを起したんですよ。衝撃耐性を持っていたのか効くまでに時間が掛かりましたね…。とはいえこれが一番いい状態のお肉を食べられるんです!」

<超人の挙動きょどうやん…>

<あの戦闘で、まだ食材の心配できるのか…>


「ではちょっと絞めちゃいますね。結構グロいのでBANされると困っちゃうのでしばらく映像を切り替えまーす!」

放送事故時に画面を切り替えられる機能が追加されたので、試しに使ってみることにした。

「どうですか?画面は見えてないですかー?」

<おけ!>

<大丈夫>

<まさか音は聞こえるのか?>


「終わったら、通常画面に切り替えるので苦手な人はミュートにしててくださいね!」

<Thx>

<ミュートした>


少し待って、解体を始めることにした。

それぞれの部位に解体し、部位ごとに分ける。

今回使用するのはモモ肉だ。

今回使用しない他の部位と、何かに使えるかもとかぎ爪とくちばしをマジックバックに詰め込んだ。

<なかなかえぐい音が聞こえた>

<これは音だけでも十分グロい>

<※ヘッドホン推奨>

<ふwざwけwるwなww>



「はい、お肉の解体が終わりました!ではお肉と卵を確保したので、セーフゾーンに移動しましょう!」

映像を切り替えて、今回使うお肉と卵を視聴者に軽く見せた後、全部マジックバックに詰め込んでセーフゾーンを目指すのであった。


―――――――――――

モザイク処理があってもグロいものはグロいので、見えなくするっていう機能はあっても良いかなって思ってます。

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