第28話 下層配信(3)

飛んでくる岩を一つずつ叩き落し、ゴーレムの循環攻撃を一呼吸止める。

ただ地面に叩き落とすぐらいでは手足はすぐに元に戻るので焼け石に水、根本対策はほかにあるのかもしれないが、俺のスキルはこの一呼吸の時間で発動が可能。

なぜなら――



狂暴化バーサークLv1」

全身が燃えるように熱い。

血流が速くなり、鼓動が急激に鐘を打つ。

氣が身体能力の向上を促すものであれば、狂暴化は身体能力向上時のを取っ払う。

つまり、人間の筋肉は平時は3割程度しか力を発揮できないようにリミッターが機能している。

狂暴化バーサークはその制約を取っ払ってしまう。

しかも効果は身体能力向上後に適用されるので、SSランクの基礎能力の制約を取り除いてしまうのだ。


狂暴化バーサークLv1は氣を体内に巡らせ、アドレナリンの過剰分泌を促し、人間の限界スレスレまで身体能力の向上させる。

副作用は多少はあって視野が狭くなって、攻撃パターンが多少単調になってしまうこと。

配信だと魅せる攻撃も意識しないといけないので致命的かもしれない。

と思ったが、そこまで気をつかえないのでスキル発動前後の違いはそんなに…ない。


ドンッ


ただ地面を蹴っただけ、だけど地面は畳をひっくり返した可能ようにめくれ上がり、瞬間、俺は空気と同化した。

<えっ>

<かずやんが消えた?>

<えっ、なに?どういうこと?>


そして次の瞬間、1体のゴーレムが音を立てて崩れ落ちる。

俺の手の中には赤い小さな球が握られている。

ゴーレムのコア――それをためらうことなく口の中に含めると奥歯でガリっとかみ砕いた。

<ひぃ…>

コアって食えるの?>

<しらねーよ!>

<かずやん;;>

<かずやん…人間を辞めるの?>

<大丈夫。今も人間やめてるって…>


ゴーレムのコアをバリボリごくんっと飲み込むと、スキルで消耗した氣が急速に回復していくのを肌身で感じる。

その代償は…より身体が熱くなり、リミット開放に拍車をかけていくことだ。

リミット開放しきると、流石に配信できないよな――

と、頭の片隅で考えるが、恍惚とした顔を浮かべた俺は二体のゴーレムに向けて両手を振りかざした。



「ふぃー終わりました。」

最後2体のコアは理性で踏みつぶし、狂暴化バーサークを無理やり解除する。


ブシューー!!!

全身の熱が気化し一気に放出される。

高鳴った心音も少しづつだが落ち着きを取り戻す。

<【1,000円】煙で前見えない!>

<【10,000円】ゴーレムが一瞬で粉々に…>

<【5,000円】かずやんのスキルパネェ…>

<こんなスキル初めて見た。>

コメント欄も軽くパニックを起こしているようだ。


「さて、ゴーレムを倒したので、目当ての獲物を探しに行きましょうか!」

パンっと手を叩き、あえて視聴者のコメントを無視して、気を取り直す一言を放つ。

少し気だるさはあるが、数秒程度しかスキルを行使しなくて済んだのはある意味良かったかもしれない。


力加減できず、食材もドロップ品も破壊しつくしてしまう狂暴化バーサーク、過去の経験から食材相手には絶対に使わないと誓ったスキルだ。


―――――――――――

スキルって物語によって色々ありますね。一人1つとか、一人複数所持とか。

ユニークスキルとかもあってこの物語はスキルをどういう位置づけにするか実はまだ悩んでいたりします…

2万PVまであと少し…感謝の気持ちで本日2話更新です!


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