第27話 下層配信(2)
ゴーレムがこちらに気付く前に、ゴーレムの背後から背を駆け上り、先手必勝1匹のゴーレムの頭部に飛び蹴りをぶちかます。
子供が大好きア〇パンマンのごとく、顔だけ遠くに吹っ飛んでいく。
<大変とは?>
<交通事故を超える衝突>
「んー…やっぱり倒せなかったですね…」
頭部を蹴ったあと地面に着地し、ゴーレムを見る。
頭部を吹っ飛ばされたゴーレムは近くの岩山を殴り、顔サイズの岩を作ると自身の頭に取り付けた。
<新しい顔よ!>
<まさか、自分で作るのか>
<いやいや…その発想はなかった>
そう、この山岳ダンジョンのゴーレムは周りが岩山なので、壊れたら自分で山を崩して復活してしまうんだ。
近くに岩があれば岩を使ってくるし、なければ山を削って直してしまうし。
しかも倒しても山の岩のみが残るので旨みは一切なし。
サクッと倒したいものだが…
三体揃っていて行動していたはずだが、一体のゴーレムを相手していた間に、三方向に別れトライアングルを狭めてくるように、こちらとの距離を詰めてくる。
そしてある一定の距離まで来ると拳や足を飛ばしてきた。
避けても、避けた先のゴーレムが飛んだ拳や足を受け取るので、攻撃の手が止まることがない。
四方八方岩が飛びかう、かすっただけで致命傷になるだろう。
んーこれは厄介だ。
速度はそこまでだが、死角からも飛んでくるので、氣を張り詰めて動きを把握していないと避けられない。
「あー…避け続けてもじり貧だし、これ以上足止め食らうのも尺なのでちょっと本気で戦います。ゴーレムは体のどこかにある
<かずやんの本気って…>
<かずやんのスキルって見たことない>
<過去動画もなかったはず…>
<氣はまとってるけど…それだけだよな>
<いや、それだけで下層までいけるのが異常だよ>
氣は自身の力そのもので、氣の総容量が多くなれば多くなるだけ身体能力が向上すると言われている。
また氣を放出できるのようになれば、出力された氣は無色透明なので何にでもなれる性質を持っていたりする。
例えば武器に流して攻撃力を引き上げたり、全身に氣を張り巡らせて周りの動きを把握したりってのが一般的だ。
みんながスキルと言ってるのは、自身の特性を理解したとき、氣が変質して具現化したものを指している。
例えば火を出したり、雷を出したりなんてことが可能となる。
面白いもので、姿を消したり、特定の場所に移動したりと特殊な力に目覚める人もいるらしい。
中には毒を飲み続けることで、氣で毒を作れるようになった人もいるらしいので理解の仕方は人それぞれ。
ここまで言っておきながら、先天性のものもあれば後天性のものもあったり、デュアルスキルのように複数のスキルを使う探索者もいたりするので一概には言えないんだけどね。
「スキルですか…あまり使いたくないんですよねー」
<【1,000円】なんで?>
<今の状況でなんで受け答えできるんだ!>
<岩の檻、竜巻、こんなの普通避けられないよ!>
<まあかずやんは普通とは程遠いし、仕方がないね>
<仕方がないで片付けられるのか!?>
<氣をまとって動きを理解できるのと、避けられるのは違うよな…>
「ただ、ゴーレムは食べられないのでスキル…使っちゃいますか!」
―――――――――――
どう頑張っても、流石に岩は食べれないので安心してください。
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