第25話 アッーーーーー!!

新聞各社、テレビ、ネットニュースで号外、速報が報じられた。

『最悪凶悪なグリフォンを一撃で倒す偉業を経て、日本で10人目のSSランク探索者が誕生!』


「和也のダンジョン探索記」のチャンネル登録者数は軽々と100万人を突破し、サブチャンネルも1つしか動画を配信していないのに20万人を突破していた。


自分のこととは思えない環境の変化に、当事者が置いて行かれてしまっていた。

高尾も『いやーまじやばいっすね。』と、ここ数日の変化に頬を引きつらせていた。


そうなってくると本気で手が回らないのが、自身のスケジュール管理。

DMも飛んでくるがすべて見ている暇がない。

高尾も動画編集の作業の間にカバーしてくれているが、素人に毛が生えたレベルでは焼け石に水の状況だ。


そろそろ配信をしたいのだが、配信以外の対応に追われて身動きが取れない…。

これなんてブラック企業。


解決しないと会社と共に共倒れ、神頼みならぬ姫頼み、ダンジョン配信の大先輩姫っちゃんにお助けください連絡をしたのであった。



「コラボ配信する前に、すごいことになりましたね!」

こちらが助けを求めたのにも関わらず、田舎の事務所に来てくれる姫っちゃんと、こういう話だと絶対に頼りになるって無理を言ってマネージャーの三鷹みたかさんが来てくれることになった。


「わざわざ、すみません。しかも遠いところなのにご足労いただいてしまって…」

「いえ良いんです。(相手も確認しておきたかったですし、)私もかずやんさんの配信を心待ちにしている一ユーザなのでどうにか力になりたいと思ってるんです!」

途中聞き取れなかったが、配信を心待ちにしてくれているっていうのが伝わってきてとてもうれしい。

のだが…視線は俺ではなく、高尾を見ているように感じるのは気のせいだろうか?



「どもども姫っちゃん。動画見てるっすよ。配信初めて1年弱で登録者数500万人越え。しかもBランク探索者って同じ女性として憧れるっす!」

初対面なのにいつもの口調。色々と将来が心配になってしまう高尾。

姫っちゃんとにこやかに握手をしているように見えるが、お互い目が笑っていない…そんな気がして背筋が冷える――



「こほんっ、和也さんは、案件を取ってくるというよりは、スケジュール管理とか全体作業量の調整をメインに対応してくれるマネージャーを求めてますか?」

この空気どうすればいい?っと思っていたところに、ピシッとスーツを着こなし、おしゃれヒゲを生やしたイケオジの三鷹さんが本題を切り出してくれた。


「は、はい!」

渡りに船、つい声に気持ちがのってしまった。


「そうですねー…弊社の人間をサポートに入れることもできるんですが、今後のことを考えると社員として迎え入れたほうが良いとは思うんですよね。」

「な、なるほど…でもマネージャーの求人って難しいですよね?」

「んー…たしかに難しいかもしれません。経験者っていうのもレアですしね。社長は今後懇意にできるなら優秀なマネージャーを転籍出向させてもよいって言ってたんですが…恩を売って足かせにってのはお互い幸せにはなれないって思うんですよね。

丁度、配信者にあう案件を取ってきて調整するだけでは刺激が足りないってうちを辞めた優秀なマネージャーがいるんですが良かったら呼んでみましょうか?和也さんのところは刺激しかなさそうですし」

顎に手を当て考えながらしゃべる仕草はとても様になっている。

思わず見惚れてしまう、半袖、短パンの自分とは大違いだ。



「「かずやんさん(パイセン)はもしかして…」」

恐ろしい視線を感じたがスルーした。



後日、三鷹さんに紹介してもらった国立くにたちひびきさんに仕事内容を伝えたところ、「バリバリやれそうですね!」とマネージャーとして働いてもらえることになった。

動画の顔出しは…要検討とのこと。


―――――――――――

次はようやく配信回

朝6時配信か、今まで通り19時配信か…どっちがいいんでしょう?

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