12回 立花翔、VSパンチャーカンガルー ROUND3

その願いが通じたのか、ゆっくりと動き出す翔


「ショウさん!!」


『まじかよ!』

『あれを食らってまだ立ち上がるのか!?』

『俺、なんだか涙が出てきた』

『俺も』


ボロボロで、立ち上がるのもやっとな状態

何度もふらつきながらも立ち上がりファイティングポーズをとる


「まだ・・・終わってないぞ?来いよ」


そして大胆にも手招きをし挑発

翔の闘志もまだまだ燃え尽きてない


「シュッ!!」


その挑発に乗り、突っ込んで来るパンチャーカンガルー

終わりは近かった


突っ込んでるパンチャーカンガルーに翔は感謝していた

立ったものの足は動きそうにない

アッパーを受ける瞬間、翔も反射的に少しでも衝撃を逃がそうと動いていたのだ


数々の強大なモンスター達に己の身体のみで挑んできた男の戦士しての行動だった

それに救われたが全部の衝撃を流せれなかった

所詮は首の皮一つ繋がっているだけの状態

気を抜いたら簡単にちぎれてしまう


パンチャーカンガルーの猛攻にがっちりとガードを固め耐える

いつか来るであろうチャンスに全てを懸けた


反対にパンチャーカンガルーは押せば倒れるほどフラフラな人間を確実に沈めようと猛攻を仕掛けてきた

自分の体力的にもこのチャンスを逃してはならない

ガードの上からお構いなしに連打を浴びせる


あまりの連打に、もう二度と倒れまい踏ん張っているいるにもかかわらず、後ろにズルズルと下がってしまう


しかしそんな無理なことをしていると、疲れが出てきてパンチを撃つスピードが遅くなる

そうなると翔がチャンスを見逃すわけもなく、タイミングを合わせ右のボディで連打を止める

そしてガードの下がったパンチャーカンガルーの顎を狙い左のアッパーを狙う



『『『いけえええええ!!』』』




だが何度も言うようだが翔の相手は深層という地獄を生き抜く猛者、簡単には決めてくれない

驚異的な反応で後ろに下がりながらしゃがむ

パンチャーカンガルーがしゃがみ込むということは必殺のアッパーが飛んでくる


「ショウさああああん!!」


時間がゆっくりと感じ、まるでスローの世界に迷い込んだみたいだ

翔の目の前には下がりながらしゃがみ込むという予想だにしていない行動をとり、アッパーの発射準備が完了しているパンチャーカンガルー


そしてパンチャーカンガルーは地面を蹴りながらアッパーを放つ

ゆっくりと自分の拳が翔の顎を捉えにいく

勝った!!自分はこの人間の強者をたおすことができた!!

そう思った、そう思ってしまった


普段の戦いならこれで終わってしまっただろう

パンチャーカンガルーが強者なら翔だって強者

魔法という人類が唯一モンスター達に対抗できる武器を持たず、己の身体を武器に数々の強者達と死闘を繰り広げた戦士だ


パンチャーカンガルーのアッパーを寸前のところで避けた

驚愕の表情を見せるパンチャーカンガルー


ジャンプする勢いを使ったカンガルーパンチは急には止まれないし避けれない

下から突き上げるパンチャーカンガルーと左アッパーからの反動を使った右の振り下ろし

パンチャーカンガルーの顔面に翔の拳がめり込み、勢いそのまま地面にたたき込む


勝負は決した

完全に気を失っているパンチャーカンガルーに立っている翔

種族を超えた、ボクシングの神マッチングは翔の勝利に終わった


『うおおおおおお!!』

『なんだ今の全然見えなかった!』

『あれはホワイトファングをカウンターに使ったのか!?』

『それって漫画の技だろ!?できるものなのか!?』

『てか、ショウって身体強化使ったか?魔力の流れが見えなかったが・・・』

『素の身体能力で深層モンスターに殴り勝ったのか?どっちがバケモノかわかんねえ』

『んなことどうでもいい!カナンちゃん治療!』


「あ、そうだ治療!」








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