11回 立花翔、VSパンチャーカンガルー ROUND2

あれからどれだけの時間が流れただろうか

実際は10分もたってないのだが、それが何時間にも錯覚するほどの技と技術の応酬

カナと視聴者はその光景に目を奪われていた


そして、誰かがこのことをSNSで流したのか同接数がグングン伸びているのだがそれに気づかないほどの素晴らしい決闘

お互い一撃で沈められるほどのパンチを防ぎ、受け流し、避ける

そんな精神をすり減らせる状況が永遠と続けられることなくパンチは当たりだし、ついにお互いの足は止まってしまう


『いけ!がんばれ相手は疲れているぞ!』

『ショウ!男をみせろ!』

『動け!一発でいいんだ撃て!』


お互いに自分の状況を理解し、ゆっくりと歩み寄る

超至近距離、お互いの拳が届く範囲

この素晴らしく心躍る決闘を、そしてこの素晴らしい男を己の拳で沈めるためにとった行動だった


「そうか・・・お前も限界が近いんだな」


「シュッ」


もはやそこには人間とモンスターという敵同士ではなくお互いに強敵(とも)と認め合う男達がいた


「じゃあ・・いくぞおおおおお!!!」


「シュッ!!」


足を止め男のプライドと、根性の殴り合がはじまる

お互いが目で追えないほどの速さでの連打、連打、連打

殴るたびに嫌な音が響くが手を止めない


顔が飛び、拳同士がぶつかり合う

ダメージが蓄積され、意識が飛びそうになるが意地でも殴る

このまま後ろに倒れ寝てしまえば楽になるだろう

しかし目の前の強敵を倒すまでは倒れることはできない

それが例えこの場で死んでしまってもこいつに勝ちたい!!

その気持ちがパンチャーカンガルーを動かした


「オラァ!!な!?」


翔のパンチに合わせてしゃがみ込む

急に目の前からパンチャーカンガルーが消えた

そして下から物凄い圧を感じだ


翔の目に映ったのは拳を構え、しゃがみ込むパンチャーカンガルーの姿

これ以上ない完璧なタイミング

物凄い殺気と共に顎に痛みを感じた



カンガルーの強靭な脚力と全身を使った強烈なアッパー

その威力は凄まじく翔の顎にヒットし一回転しながら殴り飛ばされる

成人男性が縦に回転したのだ


「ショウさん!!」



『うわ、クリーンヒットした。こりゃ立てないぞ』

『カエルパンチじゃなくてカンガルーパンチってか?』

『むしろ死んだんじゃないのか?』

『縁起でもないこと言うな!』


深層モンスターの攻撃をもろに食らってしまっては上級冒険者でも簡単に死んでしまう

その攻撃を数えきれないほど受けたうえに、さらに完璧なタイミングでの必殺のパンチ

誰もが立てないと思っていたし、実際に殴り飛ばされた翔もピクリとも動かない



しかし必殺のパンチを出したパンチャーカンガルーは自分の右拳を見て首を傾げていた

タイミングも体の動かし方もばっちりだった

これ以上ない完璧なパンチ、だが感触がおかしいような

何だか軽かったような・・・

その違和感が引っかかっていた


そしてパンチャーカンガルーは理解した

まだこの強敵(とも)は終わってない、必ず立ち上がり自分を倒しに来る

長年戦い続けてきた戦士としての勘がつげている

この戦いは終わってない!!



なら、今すべきことは



『おいパンチャーカンガルーがファイティングポーズをとったぞ!?』

『まさかまだ終わってないのか!?』

『立て!立つんだショーーーー!!』


流れるコメントの滝

皆再び立ち上がってくれると信じて応援のコメント

手に汗握る名勝負はまだ終わってない


「立ってえええ!!ショウさあああん!!」

「ワオオオオオン!!」






さぁ、続きを始めようぜ強敵(とも)よ

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